権威・権力の弱体化で目の前の世界が音を立てて崩れゆく動乱の時代に — 三碧木星甲辰は、様々な分野で次代を担う新しいイノベーションが起こる年
新年明けましておめでとうございます。昨年も一年間、この『TRINITY』紙上で私の文章を読んでいただき、誠にありがとうございました。
皆様、穏やかな令和6年のお正月を迎えられましたでしょうか。今年の干支は甲辰(きのえたつ)、三碧木星の年です。恵方(歳徳)は甲の方・東北東で、歳破は戌(西北西)の方となります。甲辰の“甲”は十干の始まりにあたり、生命の誕生と、物事の始まりを意味します。“辰”は、季節で言えば晩春。龍のイメージの通り、草木がどこまでも伸び、隆盛してゆくという意味があります。
様々な分野で旧い体制が終焉を迎え、新しい技術やアイディアが勃興し次世代を担うものの萌芽が見られる一年です。これまで社会で実権を握ってきた70代~80代の老人世代が第一線から退場を余儀なくされ、クリスタルチルドレン、レインボーチルドレンと呼ばれる冥王星射手座世代(1995~2008年に誕生した、肉体年齢は若くとも魂が成熟しているデジタルネイティブ世代)の行動、発想が、実社会を本格的に牽引してゆくムードが広がってゆきます。全般的に活気があり、社会は明るい雰囲気となりそうです。株式市場では“戌亥の借金、辰巳で返せ” という言葉があります。甲辰の今年は、龍の如く株価も上がる要素が強いでしょう。少しでも良い景気を、期待したいものです。
三碧木星は、“雷”を表す星です。“新芽、発芽、雷雨、雷鳴、爆発、噴火、顕現”といった象意があります。“木”と“雷”の星ですので、今年は社会面や国際情勢、個人では恋愛面、人間関係面で、まさに雷鳴のような出来事(善きにせよ悪きにせよ)や、これまで頑張ってきた成果が出る暗示の年となりそうです。また論争、短気、露見、喧嘩、銃声といった象意もあります。
昨年、海外に於いてはロシア—ウクライナ戦争に続き、パレスチナのガザ地区でイスラエルーハマス間で爆撃を伴う激しい戦闘が勃発し、現在進行形で多くの犠牲者を生んでいます。今年は、第三次世界大戦の端緒となる更なる紛争、侵略が起こる可能性も否定できません。また、パプアニューギニア、インドネシア、アイスランドで相次いで大規模な火山の噴火がありましたが、今年はより、(地震、津波も含め)天災への備えが必要となってくる一年と言えるでしょう。日本国内では、多文化共生政策の浸透からくる価値観の違いを理由とした様々な軋轢、事件の頻発に注意が必要と言えそうです。
2024年を表す漢字一文字は“革” — 激変する社会構造と価値観の只中で、真の仲間と手を携えて乗り切る覚悟を
今年の納音(なっちん)は、覆燈火(ふくとうか)。燈りが覆われているため、松明を掲げている人のごく周囲のみに、光が当たる暗示です。ある一定の分野では多くの注目を浴びるような発明や素晴らしい成果がクローズアップされ、希望が出てくる気配ですが、一方で光が当たらず、隠れたところでは不穏が動きがあったり、虐げられている人々に、救いの手が届かないといったことがあるかもしれません。
二十八宿は、鬼宿(きしゅく)。今年は、人智の及ばぬ天意によって、物事が運ばれ大きく状況が変わってゆく年の暗示です。いわゆる“神がかり”なことを誰もが感じることで、再び人間が“目に見えないもの”への畏怖を感じ、神仏への信仰心を強める一年となるかもしれません。
昨年は、政界に大きな影響を及ぼした新興宗教の“負”がクローズアップされ、大きな批判を浴びました。一連の批判的な報道でいわゆる“スピリチュアル的なもの”も攻撃の対象となり、日本人の共産化=唯物化が進んだ年と言えるかもしれません。日本人の霊性の低下=動物化を端的に表した事象が、全国で相次いだ熊による人間への襲撃であったとも言えましょう。日本人の波動の低下は、そのまま地球の波動の低下、人心の荒廃に繋がります。日本は、世界のひな型です。常に自己を陶冶し、高い波動を保ち穏やかに日々の生活を営みたいものです。
過去の“辰”の年を振り返ると、1868(明治元/戊辰)年→戊辰戦争、1904(明治37/甲辰)年→日露戦争、1940(昭和15/庚辰)年→大政翼賛会発足、1964(昭和39/甲辰)年→東京オリンピック開催/東海道新幹線開業、1976(昭和51/丙辰)年→ロッキード事件、1988(昭和63/戊辰)年→東京ドーム、瀬戸大橋、青函トンネル竣工、2000(平成12/庚辰)年→都営地下鉄・大江戸線開通、新札『二千円札』発行、2012(平成24/壬辰)年→東京スカイツリー開業と、国の方向性を決定づけた戦争やイベントの開催、大型建造物の開業など、その後の日本社会に大きな影響を与える出来事が起きています。今年も、世間を驚愕させ、将来の日本の歴史に残るなんらかの出来事が、発生する可能性が高いと言えるでしょう。
また、過去の“甲”の年には、1924(大正13/甲子)年=山本権兵衛→清浦圭吾→加藤高明、1934(昭和9/甲戌)年=齋藤實→岡田啓介、1944(昭和19/甲申)年=東条英機→小磯国昭、1954(昭和29/甲午)年=吉田茂→鳩山一郎、1964(昭和39/甲辰)年=池田勇人→佐藤栄作、1974(昭和49/甲寅)年=田中角栄→三木武夫、1994(平成6/甲戌)年=細川護熙→羽田孜→村山富市と、総理大臣の交代が数多く行われています。自民党内の有力派閥への相次ぐ裏金疑惑による強制捜査等で現在の岸田文雄政権は青息吐息ですが、再び巡ってきた“甲”の今年も、首相の交代或いは衆議院解散・総選挙の可能性が極めて高いとみて良いでしょう。長期に亘り政権を担った自民党という政党が著しく衰弱する過程に入るので、連立の組み替えや首相の複数回の交代、或いは総選挙後、自民党総裁ではなく他党の党首から新しい首相が選出される可能性も、ゼロではないでしょう。
西洋占星術の観点で言えば、令和6年の幕開けとともに逆行中だった木星、水星が順行に転じます。なんとも言えない疲労感、閉塞感が晴れ、物事がスムーズに動き心身ともに豊かさを感じられる新年の滑り出しとなるでしょう。今年の前半はちょっとした肉体改造、美容整形がブームとなるかもしれません。木星が双子座に移動する5/26以降は、風のエネルギーが強まり旅行したり、遠方にいる思い人に会いに行ったりということが増えるかもしれません。そして今年最大のイベントといえば、山羊座と水瓶座を行ったり来たりしていた破壊と再生の星・冥王星が、11/20に水瓶座へと完全に移動します。水瓶座はインターネット、新しいネットワーク、共に生きる仲間、フラットな人間関係、得意分野、予想外の変化、といったキーワードがあります。
昨年からの流れになりますが、今年は、昭和時代から各界、各分野で君臨してきた“カリスマ”が完全に一掃され、また大企業や大学、銀行、マスコミなど権威・権力を備え命脈を保ってきた巨大組織群の“闇”が白日の下に曝され、音を立てて崩れ去る大動乱の一年となるでしょう。これからの20年間で、国家や組織といった概念が溶解し、剥き出しの個人の実力が問われる時代に入ります。何かに寄り掛かって生きる時代ではなく、自らの人間性と実力を恃み、またSNSを通じて知り合った心を許し合える仲間と手を取り合い、助け合って生活を営む姿が、スタンダードとなるでしょう。また、昨年も記しましたが、風の時代は、“余計な事に首を突っ込まない、余計な事は言わない”が上手く生きる為のキーワードとなります。
ネット上でカジュアルに行われていた舌禍による名誉毀損の事案は今後、検挙数が爆発的に伸びるでしょう。誠実な人には生きやすい時代ですが、性格の悪い者、人徳なき者、常識に欠ける者は社会から淘汰され、脱落してゆく時代です。“業”(カルマ)は必ず自分に返ってくると肝に銘じて、“負”ではなく“正”の言葉を努めて使い、自らが放つ波動を高く保つ事を心掛けましょう。様々な意味で“格差”が拡大してゆく、厳しい時代に入ったという認識を、新たにしたいものです。
上記を挙げた上で、姓名学者として、令和6年/2024年を象徴する漢字一字挙げるなら、やはり“革”としたいと思います。沿革、改革、変革、革新、革命。私たちが生まれる前から、あたり前のようにあったもの。そして社会を動かしてきた巨大な“何か”が、力を失い、消え去ってゆきます。地の時代から風の時代へと完全に移行する混乱の最中で、様々な軋轢や鬩ぎ合いが発生することは避けられませんが、誠意ある言動、行動を心掛けて、善き“ムスビ”を得て、魂の旅路を続けたいものです。
年頭に当たり、今年から日本のお札に登場する、“日本資本主義の父”渋沢栄一(1840~1931)の『夢七訓』を引きたいと思います。
“夢なき者は理想なし、
理想なき者は信念なし、
信念なき者は計画なし、
計画なき者は実行なし、
実行なき者は成果なし、
成果なき者は幸福なし、
故に幸福を求める者は、
夢なかるべからず。”
幕末から昭和まで、91年の生涯を、激動の近代史と共に生き抜いた渋沢の言葉が、令和に生きる私たちの胸にも迫ってきます。人生に起きる喜びも悲しみも、それは自分が生まれる前に、全て魂の修行と課して、必然の如く起こるものです。
誰もが厳しい環境の中で“夢を見ること”すらも難しい時代ですが、それでもいつかやってくる幸福の日々を信じて、目の前の逆風を、自身を優しくつつむ雨上がりの“光風“へと、変えてゆきましょう。令和6年、皆様の魂が、雷鳴の向こう側に広がる希望で満たされる日々となりますことを、心より祈念しております。
(了)