Czary Maryポーランド~魔法と神秘の満ちた国より~vol.8

科学と理論を優先するヨーロッパにあって、未だに多くのポーランド人は霊や術を信じています。都会では多くの人が占い師を頼り、地方には「術使い」と呼ばれる能力者が数多く活躍するこの国の、スピリチュアルなレポート&こぼれ話をどうぞ!

 

ポーランド・パワースポットレポート vol.8

ポーランドの魔女伝説

そろそろハロウィーンの季節ですね。最近では日本でもかなり広く浸透しているようですが、ポーランドでは現在のところあまり普及していません。というのも、その翌日が日本でいうお盆にあたりますので、皆さんご先祖様の墓掃除などで忙しいようです。

ハロウィーンといえば、かぼちゃのランプ、吸血鬼、お化け、そして魔女でしょうか。かぼちゃのランプはありませんが、不思議の国ポーランドには当然(!)吸血鬼や魔女の迷信や言い伝えがあります。今回はポーランドの魔女をちょっと見てみましょう。

 

ポーランドを含むスラブ世界の魔女の代表格といえばババ・ヤガ。ぼさぼさ頭をスカーフで巻きつけたおばあちゃんはいかにも古典的な魔女という風貌。このババ・ヤガは、人気者というわけではないのですが、何気にユーモラスな存在で大人の仮装大会などでも見かけることが少なくありません。また、日本の「だるまさんが転んだ」という昔の遊び。こちらでは似たようなルールで「1、2、3!ババ・ヤガが見てる!」という掛け声になり、今も幼稚園などで子ども達はこの遊びをしています。つまり、どの世代にも身近な魔女のようです。

 

ポーランド語には「魔女」に当たる言葉がいくつかあります。微妙な差異ですが言葉によって白魔術を操る魔女(チャロジェイカ/魔法使いサリーちゃんのような存在)か、黒魔術(チャロブニツァ/一般的な魔女)を操るのかがわかります。そのうえ、性悪(ヴィェジマ/白雪姫の継母の魔女のようなイメージ)かどうかまで嗅ぎ取れるというのですから、「魔女文化」はかなり広く浸透しているようです。また、はっきりと魔女と呼ばれなくても、「ささやく人」と呼ばれる祈祷師が今も北東の国境近くにいます。教会サイドは「現代の魔女だ! そんな祈祷師のところに行くべきではない」と公言していますが、毎年ポーランド中から願い事を心に秘め、彼女たちのもとへ訪れる人々が絶えないそうです。

 

ポーランド人にとって身近な魔女ですが、性悪な魔女はやはり避けて通りたいもの。昔は牛が乳を出さないのも、天候が悪いのも、悪いことが起こるのもすべて魔女の仕業と思われていました。そのため、魔女の悪行から身を守る方法もいろいろとあったようです。ということで、魔女に関するスラブの迷信をご紹介しましょう。

*魔女に牛乳を盗まれない方法*

牛舎の扉にセイヨウサンザシの枝をかけておく。すると夜、魔女が乳を盗みに来たときに指にとげを刺し逃げていくそうです。個人的には、扉に鍵もかけておいたほうがいいかと思います。

*どうも魔女に呪いをかけられているらしい…*

悪いことばかり続く時、見に覚えのない「結び目」(呪い)を見つけたら、すぐに解きその紐を燃やします。その結び目があった場所にポプラの木でできた杭を打ち込むと、結び目をつくった魔女はひどく苦しむので誰の仕業だったかわかるとか。その後、魔女をどうするかはあなた次第だそうですが…。

*魔女が空を飛んでいる!*

魔女が空を飛んでいるのを見たら、ナイフを思いっきり地面に向けてさすと魔女は空から落ちてくるそうです。ゆっくりと下に降りてきてほしい時には、決まった呪文を唱えながらゆっくりと土のなかにナイフをさすとか。呪文が明らかになっていないのが残念です。

*家全体を魔除け*

一番簡単なスラブの魔除けといえば、箒をさかさまにして家の脇に立てかけておくこと。日本だと長居の客を追い返すおまじないといわれていますが、トコロ変われば、でしょうか。  最後の迷信はちょっと番外編のポーランドから更に東、ベラルーシの迷信です。

*魔法使いが狼男に変身*木の杭5本を地面に打ち込んで(こんな感じで::・)、その上を飛び越えると、魔法使いは狼男になる。そして狼男が見ていない間に1本の杭を抜いておくと、再びその上を飛び越えても尻尾だけは消えないとか。

さぁ、季節はハロウィーン。巷に本物の魔女や魔法使いがまぎれているかもしれません。気持ちが良い秋の夜更けですが、戸締りと魔除けはしっかりしましょう!

※Czary Mary:チャーリーマーリー。ポーランド語版の 『アブラカダブラ』『ちちんぷい』にあたる言葉

 

鉄製品は魔除けの効果があると信じられていました。現在でも、このようなハサミをデコレーションとして家に飾る人もいます。

 

ババ・ヤガの人形はボーラン中で売られています。

 

魔女が好んで姿を変えるといわれた鳥がカラス。ポーランドでは鳥獣保護法で守られています。

 

薬草に詳しいといえば魔女。現在では「薬草魔女」と名乗る人たちもいます。