オーストラリア Temple Of New Dawn 夜明けの寺院から〜Amalin Story #8〜『愛すべき隣人サムのプレゼント・プレゼンスからの気づき』

あなたはどういう未来を選びたいですか?

〈尊敬すべし隣人サムの偉業〉

今朝こそは書き物に没頭しよう! という私の願望は一気に打ち砕かれました!
朝一番、隣人の中では一番の親友でコーン農家オーナーのサムが自前のトラクターで「ブォ〜ン」と唸り声を上げるような元気な音をカッ飛ばしながら家にやってきました。
家の敷地内に数ヶ月前に購入した二台の6m長コンテナが設置されており、一台はストレージ、もう一台は一人暮らし用の住家としての改造計画一貫の一大プロジェクト(思った以上にお金も時間も人手もエネルギーもかかります)のためのお手伝いです。
オーストラリアの田舎では近所仲間で仕事を手伝い合います。最近は物価が高く、人件費も相当高いからです。因みに家の水道屋さんは3年前で$90チャージしていましたから、今は$100以上でしょうね。大好きな水道屋さんですが、もう到底お願いできないほどの時給になってしまいました。

話は横にそれましたが、数日前に近隣のティッチャムクリーク採石場から購入した12トン・トラック二台分の砂利を整地する仕事のためにサムが来てくれ、そのトラクターには大きなバケットがくっつけられるので、それを代用して、通常にお願いしたら高額な整地用重機とオペレーター(少なめにみても$500)ですが、その代用でサムのトラクターを使い、コンテナ周辺周りを平らに綺麗にするためにやってきてくれたのです。サムは私の親戚のおじさんみたいな感覚ですかね。私みたいな一人で移民してきたこの地に親族家族のいない者にとっては、頼れる人は隣人や友人のみです。
ですから、こういう時には相当にありがたい気分が高まります。

さて、大巨漢サムの仕事ぶりには見惚れるほどの機敏な動きがありました。さすが、この地で60年にも渡り農夫をしている腕前です! トラクターもサムの作業着もカウボーイハットもブーツも穴あきでボロボロですけども、その運転技術とその心といったらピカイチで素晴らしい人。
何枚も写真とビデオを撮るほどに、かっこいいのです!

地に足がついている、日々の生活に根ざした気づきのあるワークはこうした匠の職人技として、この地「KOAH」にも生き続けている。そういう息吹をまざまざと観させられましたね。20数年以上もの長年にわたりこの土地に住み、その土地を直接購入した元の地主でもあるサムのことは、ここに来た当初から知っているけども、これほどプロに徹した技を見させていただいたのは初めてのことでした。というよりも、多分、少し前まではバタバタと忙しいだけで、半分眠りこけていた私の目には見えていなかっただけかもしれません。

そして、その鋭い仕事ぶりから光り溢れてくる、彼のインナーチャイルドの生き生きとした男の子にも出会えたのです! それを見る間にいつの間にか私のインナーチャイルドの男の子も登場し、シャベルを持って土地を整地して、得意げにトラクターを自由自在に操っているサムボーイと一緒になって、時空を超えて『今ここ』に遊んでいたのです。

小さな男の子は、きっと誰でもおもちゃのブルドーザーやトラクターを持っています。そして、そういう大人が仕事に使うおもちゃが何よりも大好きです。そういうことがサムの仕事ぶりを見ていて、思い起こされたのですね。

大きくなって70歳を過ぎた今も、その小さな男の子はトラクターの運転が大好きです。きっと、彼が小さい頃のオーストラリアはずっと貧しくて、そんなおもちゃは買ってもらえなかったに違いないと思うのですが、彼が大人になって広大な農場を購入して自分のトラクターを持った時、彼のインナーチャイルドの男の子にとっては、その車がどんなに誇らしげだったことかと、今更ながらに気づかされた今朝のサムとの楽しい共同ワークでした。
サムと一緒に仕事するのは本当に楽しいし、いつも新しい学びでいっぱいです!

こうしていつも無償の愛で手伝ってくれるサムですが、見返りを求められたり、文句を言ったりする言葉を聞いたことは一度もありません。大概は私がディナーを作って一緒に食べて、昨今のこの界隈や私の旅の話や政治の話をしてお手打ち! それですっかりOKなんです。彼にそれ以上の期待は一切ないのを私はよく知っています。本当にいい人なんですね。
家の父母もサムのことは大好きで、日本に帰って会うたびに「サム君は元気かね?」「サムは元気?」と父も母も必ず聞いてきます。
そして、古くからのジモッティーからは「コアの村長さん」という尊称で誰からともなく呼ばれているのです。
私にとってはそれ以上で、地元の農家のマスターであり、オーストラリアの生活全般、生き方そのもののマスターでもあります。
大好きな尊敬すべきサム。