コレステロールに善玉・悪玉はない!?~コレステロールの7割は体内で合成される

コレステロールの真実

動脈硬化や脳梗塞の原因のひとつとしてコレステロールの過剰摂取が挙げられます。
TVの健康番組などでは、悪玉コレステロールを減らし、善玉コレステロールを増やすのが健康に良いといわれますが、悪玉や善玉といわれるコレステロールの違いはいったいどこにあるのでしょうか?

そもそもコレステロールとは、体のなかでどのような働きをしている物質なのでしょうか?
ヒトの体は約60兆個の細胞から作られているといわれますが、これらの細胞を仕切る細胞膜の材料のひとつとしてコレステロールが使われています。
また、副腎皮質ホルモンや性ホルモンの材料としても使用されており、副腎には筋肉の100倍の濃度のコレステロールが存在します。さらに、体内で脂肪の消化や吸収を助ける胆汁酸の材料としても用いられています。このように大切な役割を担うコレステロールですが、必要量の7割は体内で合成されます。1日当たりの食事からの必要摂取量は300mg~500mgに過ぎず、鶏卵1~2個分ほどです。
その他、たらこ、かずのこなどの魚卵類、鶏・豚・牛のレバーなどにもコレステロールは多く含まれています。これらの食品の摂り過ぎには注意しましょう。

さて、体内で脂質(コレステロールや中性脂肪)が移動するためには血液に溶け込む必要があり、そのままでは移動できません。そこで、リン脂質やアポタンパクという水にも脂肪にもなじみやすい物質と結合した「リポタンパク」という物質となって血液中を移動します。
そのなかのひとつが悪玉コレステロールと呼ばれるLDLです。LDLは肝臓で作られたコレステロールを全身の細胞へ運ぶ働きをしますが、必要以上のLDLが存在すると血管内壁に溜まり、動脈硬化の原因になります。反対に、全身の細胞から余分なコレステロールを回収し、肝臓に送り届ける働きをするのが善玉コレステロールと呼ばれるHDLです。
 
つまり、悪玉コレステロール・善玉コレステロールと呼ばれているものは、コレステロールそのものの違いではなく、コレステロールを運ぶリポタンパクが違うことを意味しているのです。
脂質異常症(高脂血症)の予防と治療では、食事バランスを整えることが基本となります。食材や調理法を工夫して、摂取する脂肪の量をコントロールことが大切です。