貧血のときに鉄剤が処方されるのは何故?~多くの女性が悩んでいる貧血の原因と対処法~

貧血で処方される鉄剤

貧血でお悩みの女性の話はよく耳にします。病院に行くと当たり前のように鉄剤が処方されますが、これはどういう理由からでしょうか?

貧血とは、血液中の赤血球数、ヘマトクリット値(血液中に占める赤血球の容積の割合)、ヘモグロビン濃度(ヘモグロビンは、赤血球中のタンパク質で、その中に鉄を含有しています)が基準値を下回った状態と定義されています。

赤血球は骨髄を基盤としてつくられますが、その過程の中で血清中から鉄を細胞内に取り込めないと、赤血球に含まれるヘモグロビンが作られないため赤血球が不足し、鉄欠乏性貧血が発症します。
貧血には鉄欠乏性貧血の他にも、巨赤芽球性貧血、再生不良性貧血などがあり、一概に、貧血=鉄欠乏ではないのですが、頻度として最も発症率が高いといわれるのが鉄欠乏性貧血のため、必然的に鉄剤が処方される機会が多くなるのです。

鉄分が不足する原因は、消化管出血(胃潰瘍、痔など)、妊娠、分娩、授乳、月経異常、栄養吸収不良、食事の不摂生など様々です。

消化管を手術した場合にも、鉄の吸収力が弱くなり鉄分が不足する場合があります。ヘモグロビンは体中に酸素を運搬する役目を担っているため、鉄欠乏性貧血に陥ると、息切れや動悸、疲れやすくなるといった症状が現れてきます。

症状が進むと、スプーンネイルと呼ばれる爪がそり返って中央部がくぼんだ状態や、舌先の乳頭と呼ばれる細胞が萎縮し舌がツルツルの状態になることがあります。また、口角炎や口内炎、食道粘膜が萎縮して食べ物が飲み込みにくくなる嚥下障害などが見られることもあります。

貧血予防には毎日の食事が大切です。日頃から、レバーやひじきなど鉄分を多く含んだ食べ物を意識して食べるよう心掛けましょう。