古代中国医学の考え方「五臓六腑」とは その4~「脾」は消化器系に作用する

皆さん、こんにちは。美容鍼灸師の折橋梢恵です。ちまたでは、風邪やインフルエンザが流行っているようですが、皆さんはいかがお過ごしでしょうか?私も、年明けから少し風邪を患っていましたが、ようやく良くなってきた感じです。

さて先日から古代中国医学の考え方「五臓六腑」についてお話をしてきましたが、今回で4回目となります。感情のコントロールを主っている「肝」や血液と精神の働きを主っている「心」については既にお話をしました。今回は、「五臓」うちの「脾」についてお話をしていきたいと思います。

◆「脾」は消化器系全体に作用する

さて、「脾」と聞いて皆さんは、その働きについてどのようなイメージが湧くでしょうか? 現代医学の「脾臓」は、血液を作り、作り出した血液を貯蔵し、そして処理をする働きを持っています。また「脾臓」は、免疫系にも大きく関与しているといわれていますが、一般的に心臓や肝臓などに比べると、なじみのない臓器かもしれません。

それでは、中医学での「脾」とは、一体どのような働きをすると考えられているのでしょうか? もちろん現代医学でいう「脾臓」の役割とはイコールではありません。それでは、東洋医学(中医学)が意味する「脾」の働きについて見ていきたいと思います。

東洋医学(中医学)における「脾」の主な働き

①消化・吸収・運搬の管理をしています。
食べた物の消化・吸収・輸送と水分の吸収・代謝・輸送の働きを持ちます。

②組織や内臓を一定の位置に留めておきます。
食べた物を消化し、栄養物を上部に送る働きと、内臓が下垂しないよう繋ぎ止める働きを持ちます。

③血液の流れを管理します。
血液が外に漏れ出さないようにする働きを持ちます。

これらの働きの中でも「脾」の特徴的な働きは、消化器系の作用を持つことです。消化吸収と言うと、「胃」や「腸」のイメージがあると思いますが、東洋医学(中医学)では脾胃の働きが関与しています。食べた物を消化、吸収し、私たちの身体に必要となる気血を作り出すのがこの脾の重要な働きなのです。「疲れやすい」、「なんだかやる気がない」、「顔色が優れない」などこれらは、気血が十分に身体に満たされていないためだと考えます。

ですから、これらの症状にプラスしてお腹を壊しやすい傾向にある方に対しては、まず第一に消化器系の働きを高めるための治療を行います。

また「脾」の特徴的な働きとして他には、内臓や組織をある一定の位置に留めておくという働きを持つことです。「脾」の機能が低下すると、例えば、胃下垂や子宮脱、脱肛などが起こると中医学では考えられています。これは、現代医学には無い、中学独特の考え方ですよね。このように中医学は、現代医学にはない、面白い身体の捉え方が沢山あります。皆さんもこれらの考え方を参考にご自身の身体について考えてみるのも面白いかもしれませんね。

◆「脾」の働きを高めるツボ「三陰交」

さて今回は、「脾」の働きに関係する消化機能を高めるツボとして有名な三陰交のツボをご紹介したいと思います。

場所は、内くるぶしの最も高い部位から指4本分上の骨際にあります。三陰交は、足の太陰脾経という経絡に属する経穴で、「脾」の働きを高めてくれるツボなのです。食欲がないときや胃がもたれたり、胃痛がする場合、またむくみが気になる場合にも効果があるツボです。親指でゆっくりと呼吸に合わせて押してみてください。消化器系の症状が改善されますよ。

次回は、五臓のうちの「肺」の働きについて詳しくお話をしたいと思います。

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