神仏絵師のよろづ話:第二話「観音様、全員集合!こんな観音様知ってます?」

こんにちわ。神仏絵師の昌克です。観音様、明王様などの日本の神仏や、天使様を描いております。ここでは、私が絵を描きながら学んだり、感じたこと、神仏の姿に隠されたメッセージなどを書いてまいりいます。
第二話では、いろんな観音様を紹介してみましょう。みなさんの知ってる観音や、聞いたことの無い観音様も出てくると思います。

まず一般的に「観音様」というと「聖観音(しょうかんのん)様」のことを指します。この観音様を筆頭にした「七観音」というのがあり、前回も紹介した「千手観音様」もメンバーに入っています。ちなみに残りの観音様は、十一面観音様、馬頭観音様、不空羂索(ふくうけんじゃく)観音様、如意輪(にょいりん)観音様、准胝(じゅんてい)観音様。まるで戦隊ヒーローのようですね。

実は、この「七観音」、もとは「六観音」でした。その根拠ですが、人間は、六道(地獄、餓鬼、畜生、修羅、人、天)と呼ばれる世界を輪廻していて、それぞれの世界に観音様がいらっしゃると言う「六観音信仰」というものでした。この信仰は、中国から伝わったのですが、どうも聞いたことの無い観音様ばかりだったので、既に絶大な観音様人気が高かった日本では、あまりピンとこなかったようです。でも「六観音」って響きがよかったのかもしれません。そこに身近な観音様を当てはめることで、ひろまったようです。(いいですね~。こういうゆるさ。)
しかし、当てはめてみたものの、日本では、仏教はいろんな宗派に分かれ、真言宗と天台宗とで、六観音のメンバーが違っていたのです。(准胝観音様と不空羂索観音様が入れ代わっていました)でも、さすがに庶民はたくましい!「じゃあ、どちらの観音様も、ありがたいに違いないんだから、まとめて、七観音ってことにしよう!」という感じで「七観音」が、生まれたようです。(ここまでくると、ゆるさも極致ですね。)

さらにその後、「観音経」に観音様は、三十三の姿(三十三応身)があると書かれていたことから、「三十三観音」が生まれました。実は、これもまたその書いてあった三十三の姿が、お役人の姿や、お坊さんの姿だったのが気に入らなかったのか、三十三という数字だけを採用して、白衣(びゃくえ)観音様や、瀧見観音様、水月観音様など、既存の観音様をあちらこちらからスカウトし、「三十三観音」としたのです。(ここまでくると、あっぱれです。三十三観音のお話はまた後日)
こうして、いつの間にか40名もの観音様がいらっしゃることになりました。こうなると、もう某アイドル事務所のようですね。
ところが、調べてみると出るわ出るわ、いろんな観音様が。。。子安観音、救世観音、夢違観音。。。もう、数えきれないほどの観音様がいらっしゃいます。

なぜ、これほどの観音様が生まれたのか。。。しかしながら実は、観音様は、お一人なのです。

これらの数多くの観音様は、はじめに紹介した「聖観音様」が、変化(へんげ)した「変化観音様」なのです。
そもそも観音様は、慈悲の心をもって、私たちの救済のために、現世に現れてくださいました。常に私たちのそばにいてくださるというのが大きな特徴です。そして観音様は、私たち一人一人に最もふさわしい姿で現れるのです。数えきれないほどの観音様がいらっしゃるのは、まさに観音様の救済は、無限であることを証明しているのです。

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