iPS細胞に関する考察 ~さらなる進化・進歩を生み出すのは私たちの「自立」

今回、京都大学の山中教授らがノーベル賞を受賞されたiPS細胞。
ちょうど今年の夏、ほんのさわりですが、大学の「自然科学概論」で学んだばかりですので、
私なりの考察を述べたいと思います。

 

授業の中で、このiPS細胞についての講義を受けたとき、私には大きな衝撃でした。

iPS細胞=皮膚細胞から人工的に誘導して作出する分化万能細胞のこと。

要するにこの細胞は、どんな臓器にでもなりうる、ということなのです。
皮膚細胞というのは、「皮膚のアカ」でも良いというお話でした。

従来の再生医療や臓器移植などでは、生命に対する人道的な倫理が大きな問題となっていましたが、皮膚から採取して作り上げたこのiPS細胞ならば、そのような問題は生じにくい、というわけなのです。
ただ、問題がナイというわけではない、というお話もありました。

iPS細胞を作るのには、まだガン化する前のガン細胞が必要なのです。
人はみなガン細胞というものを持っていて、それがガン化(悪性化)すると「ガン」という病気になるのですが、いくらガン化する前のガン細胞を使用しているからといって、その使用したガン細胞がガン化しない可能性はゼロではない、ということでした。

そしてまた、倫理的に私も思うところがあります。

今回のノーベル賞受賞のニュースでは、各テレビ番組でももちろんお祝いの特集が組まれ、iPS細胞について詳しく説明がありましたが、その利用方法においては私はやはり、人道的にも、生殖医療や臓器移植、再生医療など、直近の急務を要する事例から使われていくべきだと思いますし、美容のしみ、しわ取りであるとか、急を要さない事例については、まだまだ先送りのことだと思うのです。
そしてまた、いくら科学が進歩・発展しているからといって、科学にばかり頼りすぎてしまうことは、人間を限りなく人工化・機械化してしまうことにはならないでしょうか?
はっきりいって、美容におけるしみ・しわの改善レベルであるのなら、日頃の食事や生活の改善で充分対応できますし、また、美容のみならず、体調を崩さない生活、病気や事故を引き起こさない生活を送ることが、日々、とても重要なのです。

「科学があるからいいや!」「科学者さんたち頑張ってね!」ではなく、莫大な費用や技術の負担、患者の精神的負担なども考慮し、科学治療は最後の最終手段と考えて、日々、個人個人でできることから改善していく必要があるのです。

本来の人間はもっと健康なはずです。
自分の体内の細胞や血液、内臓などを自分自身で痛めつけ、自分自身で病のスパイラルに陥っているのです。
人間には智恵があります。
その智恵をもっと自分の健康のために使いましょう。
遠くにある大きくてでっかい夢や希望を追うことも素晴らしいことですが、その夢を達成するためにも、もっと身近に、すぐ手前にある日々の生活を、きちんと過ごしていくことが必要で大切なのです。

それは食事の改善もあるでしょう。
心の悩みやグチを打ち明けることでもあるでしょう。
家族との会話なのかもしれませんし、恋人や友人たちとの親密なコミュニケーションなのかもしれません。
そして、部屋に落ちている小さな糸くずを拾ってゴミ箱に捨てたり、道端で1円玉を拾うことなのかもしれませんし、誰かの落し物を交番に届けることなのかもしれません。
人間は日々、進化・進歩をし、日々、新しい発見や発明が生まれます。
ですが、それも人類の一面。
科学者には科学者としての仕事・役割があり、それ以外の一般の人間にとっても、それぞれの役割や仕事があるのです。それらをおろそかにしてはいけません。
主婦には主婦の、会社員には会社員の、赤ちゃんには赤ちゃんの、小学生には小学生の、高齢者には高齢者の、それぞれ役割や仕事があり、私には私の、あなたにはあなたの役割や仕事があるのです。

決しておろそかにはしないでください。
自分自身を大切にし、自分自身の役割を生きてまっとうしてください。

何度も言いますが、科学や医療は、急務を要する場合の最終手段なのです。
自分が持つ小さなトラブルはそれが小さなうちに、自分自身で片付けましょう。
それが自立です。
世界中の国民すべての自立が必要です。
自立の上での科学や医療は、とても有効に働き、とても有意義な結果をもたらすでしょう。

自分のことは自分で。
まずはそのスタートが、さらなる進化・進歩を生み出すのだと、私は思います。

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