近年日本では、「オーガニック」「マクロビ」「ベジタリアン」が一気に定着しました。雑誌やネットでの特集や実店舗も増え、健康に気を配る若い女性を中心に、気軽に実践できる健康法として受け入れられています。 意外に思うかもしれませんが、実は台湾も健康食大国。特にベジタリアン食は「素食（スーシー）」として、台湾の若者から老人まで日常食として親しまれています。本来、台湾でベジタリアンが定着した理由は、仏教や道教の教えが肉や魚乳製品などの摂取を禁じたこと。しかし健康志向の高まりもあって徐々に実践者が増え、街を歩けば簡単に「素食」の看板を掲げるお店に出くわします。でもここで要注意なのが、すべてのベジタリアン食が、厳密な規定で調理しているわけではないこと。お店によっては、油や砂糖をふんだんに使った料理を提供しているところもあり、ヴィーガンの方や、健康上乳製品などを摂取できない方は、「素食」料理だからと安心せず、お店の人に細かく確認する必要があります。 台湾の「素食」で特徴的なのが、大豆食品の湯葉や豆干と呼ばれるカチカチに固めた豆腐、それにコンニャクなどの代替食品を使用し、肉や魚に姿も味もそっくりにつくること。一部店舗では、旨みを出すために味付けに動物由来の調味料や化学調味料を使っている場合もあり、こちらも厳密なベジタリアン食とは言えない場合もありますが、まるで肉や魚を食べているような食感や色・形を再現しているのはお見事。 「肉や魚を食べてはいけない。でもやっぱり食べたい！」……そんな心の叫びがダイレクトに伝わってくるようです。厳密な食事制限をしていない方だったら、試す価値ありです。まるで本物の肉や魚を食べているように、自然に美味しくいただくことができますよ！ とは言え、もちろん台湾にも厳密な規定を守ったベジタリアンレストランも多数存在します。今回は、台湾で一般的なもどき食品を美味しく提供する人気レストランと、野菜本来の味にこだわったレストランを2つご紹介します。 ■長春素食（チャンチュンスーシー） http://www.egvr.com.tw/ 台湾でベジタリアン・ビュッフェといえば長春素食。こちらは、肉・魚・乳製品・卵を一切使わず、野菜は有機野菜にこだわっています。長春素食の特徴は、メニューの多さと食事の満足度。ベジタリアン料理というと、なんとなく量や味が物足りないイメージがありますが、ここは前菜からメイン、デザートに至るまで全100種類以上のメニューを取り揃えています。ベジタリアンでもやっぱり肉や魚を食べたい、という方向けに、コンニャクでつくったお刺身もどきや、大豆でつくった肉もどきのメニューも満載！　でも、「所詮もどき料理…」とあなどれません。オーナー自身もベジタリアンで、30年来研究を重ねただけあって、まるで本物を食べているような、十分満足できる味わい。食事に大事なのは、食事を楽しむこと、そして食後の満足感。長春素食は、ベジタリアンの悩みを解決してくれるおススメのレストランです。 ■回留（フイリウ） http://huiliu.info/ 芸能人が多く住み、おしゃれなカフェやブティックが軒を連ねる永康街にある、台北市内でも最も有名な茶芸館。永康街のメインスポットである、永康公園のほど近くにあります。街の洗練された雰囲気にしっくりと溶け込んだおしゃれな外観の回留は、店内もシンプルでハイセンス。陶芸家のオーナーのセンスが光ります。 このお店は中国茶を楽しめる茶芸館としても人気ですが、それ以上に、ベジタリアンレストランとして、健康を気遣う台北市民に愛されています。 先ほど述べたように、台湾では大豆製品などを使ったもどき料理が人気のなか、回留は有機野菜を使い、食品添加物を使わずに野菜本来の味を楽しんでもらおうというコンセプト。野菜のおいしさをしっかり堪能でき、かつ何よりも徹底して健康にこだわっています。油が多い食事が多い台湾の人々にとって、リラックスした空間で体に優しい健康的な食事を楽しめるお店として、長年親しまれている老舗レストランです。