スピリチュアル・ライター&ヒーラー並木由紀の最新スピリチュアル・レポートPART.8~映画『スープ』原作の森田健氏インタビュー①

7月7日全国公開、輪廻転生をテーマにした映画『スープ』
原作者 森田健氏インタビュー

2012年7月7日、生まれ変わりをテーマにした映画『スープ』がいよいよ全国公開されます。
この作品は、PART.6の①②でご紹介したように、森田健氏が中国で調査された『生まれ変わりの村①②③』(河出書房新社)を原作として作られた映画です。
また、6月27日には、日本人の証言も含む新シリーズ『続・生まれ変わりの村・スープ① あの世の証言集』(河出書房新社)も発売されました。
映画の公開を目前にして、森田健氏に「生まれ変わりの村」と映画『スープ』についてのお話を伺いました。

★前回の記事はこちら
PART.6 ①
PART.6 ② 

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偶然から出会った中国奥地の生まれ変わりの村

-生まれ変わりの村との出会いを教えてください。
『僕は、もともと生まれ変わりをそれほど肯定しているわけではなかったんです。自分には前世記憶がないわけですからね。死後については、調査不可能だろうとずっと思っていたわけです。
1996年、不思議現象を調査していた僕は、中国の新聞に「特異能力者募集」という小さな広告を出しました。その日にトラさん(王虎応=ワンフーヤン、六爻占術の師匠)が、「私も不思議なことが大好きなので、ぜひ旅行にご一緒させてください」と言って訪ねてきたのですが、彼の生まれ故郷が、前世記憶者ばかりかたまって住んでいる「生まれ変わりの村」だったんです。中国人の記者もまだ誰も行ったことのない村でした。最初から探していたわけではなく、偶然に「生まれ変わりの村」と出会ったのが調査を始めたきっかけです』

-スピリチュアルや宗教の世界では、輪廻転生といえば、「カルマがある」「裁きがある」「因果応報の世界である」「悪いことをしたら地獄に墜ちる」といった考え方が主流かと思いますが、森田さんが調査された「生まれ変わりの村」とこれまでの概念で大きく違ったのはどんなところでしようか?
『大きく違うところはたくさんありました。最初のインタビューで、一番怖かったのは「あの世に裁きがありましたか?」という質問をしたときです。「ありません」と聞いてホッとしました。いまから考えると、僕もどうしてそんなにドキドキしていたんだろうかと思いますが。
いまでこそ、これだけ調査を重ねたから、「裁きはないんだ」と安心していられるんだけど、どの程度悪いことしたらどの程度の罰を受けなければならないのか、なんてことまで想像していたんです。だから、あっけらかんと「裁きはないです」と言われて、いままで考えていた常識がガラガラと崩れ去り、「ああ、よかった」と思いました』

-私が『生まれ変わりの村①②③』を読んでいて印象的だったのは、阿片の売人をしていて公安に捕まり銃殺刑になった人です。それでも裁きは受けないし、地獄にも堕ちないのかと。いままでは、それだけ悪いことをしたなら、次の人生は修行してきなさい、みたいな因果応報論がまことしやかに信じられていたじゃないですか。
『少し補足をすると、その人は男から女に生まれ変わったんです。阿片の売人時代、「あの頃はお金があったんで、いろんな女をとっかえひっかえだったねえ」なんて、いまの旦那さんが横で聞いているのにあまりにもあっけらかんと話すのが印象的でしたね。
それから自殺した人も7人インタビューしているんですけど、自殺してもふつうのあの世に行くわけです。キリスト教では天国に行けないとかいいますけど、まったくそんなことはなかったですね』

覆された常識、あの世はこの世とそっくりだった!

-前世記憶者に最初の質問をするまで、森田さんはあの世はどんな世界だと思っていましたか?
『あったとしても薄暗くて、肉体はなく魂だけが球体のようになってフワフワ浮いているような世界を想像していたんです。そして、もし生まれ変わりがあるとしたら、その状態で順番を待つ、というような世界を。それが、死んだこともわからないぐらいだとか、道に迷ったかと思ったというほどこの世に似ていて、とても活動的な世界だと聞いて「えぇっ!?」と驚きましたね』

-トウモロコシを作ったり、おまんじゅうを食べたり、お酒を飲んだり、まったくこの世と変わらないですよね。お酒を飲んだという証言は、映画『スープ』にも大いに活かされていると思うのですが。
『魂がフワフワと暗闇の中を浮いているような「あの世」だったら、死後に対する恐怖が生まれると思うんです。実際に前世記憶を持って生まれ変わった人が、「あの世は怖かった」と言ったら、僕たちはおびえますよね。「じゃあ、おまえは悪いことをしたんじゃないのか?」「もっといいあの世に行った人だっているんじゃないのか?」と言い出す人もいるかもしれないですしね。そんな階層構造があの世にもあるのなら、生きているうちにもうちょっと自分の人生を考えたほうがいい、と思ってしまって、自由に生きられなくなるんじゃないか、とも思います。
でも、これまで91人の前世記憶者にインタビューしましたけど、「私は光の世界に行って、神様にご苦労だったと言われた」なんて人は一人もいないわけですからね』

-だとしたら、「悪いことをしても何も裁きがないの? 私は神様が見ていると思ったから、一生懸命まじめに生きてきたのに誰も褒めてくれないの?」なんて反論をする人も出てくるかもしれませんが。
『もし、そのように思うなら、もう少し大人になったほうがいいかもしれないですね(笑)。それでは、まるで先生がいて生徒がいて……という上下関係じゃないですか。「先生はどういうことを考えていらっしゃるのでしょうか」と上目使いに様子を伺いながら生きているような考え方だと思うんです。でも、実際はそうじゃなくて、一人の独立した人間として、誰も評価なんてしてくれないわけです。「自分自身が考えて行動することに意味があるんだ」という、内発的動機付けにしたがった自立した人生に早くシフトしたほうがいいかもしれないですね』

信心さえすれば天国や極楽に行けるのか?

-森田さんはカトリック系の大学を卒業していらっしゃいますが、その頃は神に対してどのように思われていましたか?
『大学に礼拝堂があって、みんなお祈りをしたり懺悔をしたりするんですけど、ということは、お祈りをしたら神様は聞いてくれるものだ、という前提がまずありますよね。そして、信者になると救われて、天国に行ける。
仏教では、親鸞が「南無阿弥陀仏」と唱えさえすれば、誰でも成仏できると言いましたが、言うと言わないでものすごく差がつくわけじゃないですか。「南無阿弥陀仏」と唱えるということは、仏教に帰依しているということですよね。
神や仏を信じさえすれば人よりいいあの世に行けるというのは、何かがおかしい、差別的だ、と思わないのかなと僕は思います』

-そういった古い宗教観と森田さんが調査された「あの世」とはまったく違ったわけですよね?
『そうですね。中国では、生まれ変わりの村以外には仏教徒がいるんですよ。でも、生まれ変わりの村に信者はいません』

-だからお葬式の形態がまったく違うのでしょうか? なんでも、パレードのようなお葬式だとか……。
『僕は中国に調査に何度も行っているんですが、まるでパレードのような賑やかなお葬式は生まれ変わりの村でしか見たことがないんです。これは、独特の風習ですね』

-生前に棺を用意しておくのも、生まれ変わりの村独自の文化なんでしょうか?
『だと思います。中国でほかに見たことがありません』

-それは、あの世がこの世とまったく変わらないと信じている文化特有の風習なのではないかと感じました。
『棺に限らず、お葬式のパレードでは、行列の中にテレビや金庫、メイドさんのイラストなど持って練り歩いています。それは、この世の生活をそのままあの世でも続けることができるようにするためだと思います』

~つづく~

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『スープ ~生まれ変わりの物語~』
7月7日全国公開

▼映画『スープ』 予告編

▼全国の上映館情報は下記オフィシャルサイトから
http://www.soup-movie.jp/

▼『生まれ変わりの村』と映画『スープ』の世界
2012年6月11日(月)刊行
定価:1,260円(税込)
四六判:128ページ
発行:アクセス
発売:河出書房新社
ISBN:978-4-309-90946-2

▼続・生まれ変わりの村 スープ 1 ーーあの世の証言集
2012年6月28日(木)刊行
定価:1,575円(税込)
四六判:232ページ
発行:アクセス
発売:河出書房新社
ISBN:978-4-309-90949-3

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