季節の薬膳 自然に寄り添う食養生 Vol.2 夏至 〜 季節の養生と生活習慣

【夏至の季節の養生】

皆さん、こんにちは。国際中医師、国際中医薬膳師の吉田 美枝子です。
食べるだけの薬膳教室を主宰しています。

自然に寄り添う食養生の1回目をお読みいただきありがとうございました。
今回から二十四節気ごとの食と体の養生のお話をしたいと思います。

二十四節気とは太陽の年周運動の360度を15度ごとに24等分し、季節の名称をつけたものです。
24の節気を春夏秋冬でそれぞれ6つに分けています。

二十四節気は月の満ち欠けに基づいた太陰暦と違い、毎年ほぼ同じ時期に同じ節気が回ってくるので天候に左右されやすい農業などの目安となっていました。
二十四節気の養生を生活に取り入れる事は、これから来る季節への備えとなりますね。

夏至とは二十四節気の夏に属す6つの節気のうちの1つで、今年ですと6月21日から始まる2週間の事です。
今回はこの時期の養生、生活習慣と食事についてお話ししたいと思います。

 

【生活習慣】お昼寝のすすめ

夏至の当日は北半球では1年で最も昼間が長くな陽が最も盛んな日です。
陰陽学説ですと昼間が陽の時間、夜が陰の時間とされています。
夏至の時期は昼間が長くなる……ということは、私たちの生活もそれに寄りそうように昼間を長くしてあげましょう。
1回目にある整体観念ですね。
夏の時期は早起きをして1日を長く使うのがおすすめです。

また太極図と言われる陰陽を表す図を見てください。
白い部分が陽で黒い部分が陰を表しています……。
白い部分の面積が大きくなるとき、中に黒い小さい丸がありますね。
これは陽中の陰を表しています。

陽中の陰とは陽の中に少しの陰が存在してバランスを取っているということです。
陰と陽は対立するだけではなく、お互いに依存しあっており、お互いがなければ成立しないのです。

陽の中に陰がある……という考えを1日に当てはめてみると、昼の中に夜があると考えられます。
昼の中に夜がある……。
そうです。
この時期は少しの昼寝をお勧めします。
時間は長すぎず20分ぐらいがいいですね。
昼ごはんの後に目をつぶって静かに過ごす時間を取りましょう。

本来なら体を横たえて休むのが理想的ですが、会社勤めではそうもいきませんね。
ですが机にうつ伏せになったり、頭を片手で支えたり……とどこかに力が入ったりする姿勢は止めましょう。
経脈や神経を圧迫してしまうことがあります。
私は姿勢と顔はそのままで目をつぶっています。
恥ずかしい? いえ、養生が優先です。

この時期、気温が上がり梅雨ということで湿度も増えてきます。
すると雑菌が繁殖しやすくなり食べ物が変質しやすくなってきます。
この時期何を食べる? と言う前に、まずは口に入れるものの衛生面に気を付けましょう。

夏の暑さに対して体が熱を持っていたらまずは熱を冷ます食材、苦瓜、きゅうり、スイカ、緑豆などの食材を取りましょう。

暑さで汗をたくさんかいた時は、熱を冷まして体に潤いをもたらす食材、トマト、葛、冬瓜などを取りましょう。
さらにオクラやモロヘイヤなどのネバネバ食材は体の中に長くとどまり、より潤いを与えてくれます。

また汗とともに気も一緒に出て行っています。
気を補う食材、お米類、芋類、キノコ類、ナツメなど気を補う食材も合わせて取る事をおすすめします。

冬の大根、夏の生姜という言葉をご存知ですか? 温かい夏に体を温める生姜? と思いますよね。
夏の温かい時期は人間の体内の陽気は体の表面に向かって作用し、汗で熱を発散して体の熱を下げようとします。
陽気は体表、体表へと向かうのです。
そんな時には体の中心部は冷えているよという例えです。

さらに現代人はオフィスの冷房や冷飲食でお腹が冷えている時があります。
そんな時は生姜をいただいてお腹を温めるといいでしょう。

先ほど陽の中の陰のお話しをしましたが、これは中医学の薬の処方にも応用されていて、複数の生薬を組み合わせて方剤を考えるときに、作用させたい方向の薬だけでなくわざと逆の作用の薬を少し組み合わせることがあります。

夏の食養生も同じですね。

暑いから熱を冷ます食材だけをいただくのではなく、反対の体を温める食材も少し取り入れてみましょう。

食べ物を消化する脾は温かい環境でよく働きます。
暑いので冷たい飲み物、食べ物を摂取しがちですがなるべくならキンキンに冷えたものよりは温かいものをいただきましょう。

今回は夏至の時期の養生、食生活をお話ししました。

普段の日常に活かしていただけると幸いです。

 

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