女性は穢れた存在!? ~不浄の概念~

「穢れ」という言葉からは、あまりいいイメージはありませんが、本来は「体力が落ちた状態の女性に無理をさせないためだった」という説もあります。

現代は、女性も男性も同様に活躍すべきだという思想が強く、女性の権利も保障されていますが、かつては女性は「不浄」という概念の多くを背負わされていました。

 

【黒赤白の不浄】

「黒不浄」「赤不浄」「白不浄」という言葉があります。現在ではあまり使われませんが、これらは「穢れ」の種類をあらわしています。黒不浄は「死による穢れ」、赤不浄は「生理による穢れ」、白不浄は「出産による穢れ」ということになります。

このうち、最も強い穢れといわれるのが「黒不浄」なのですが、そのあと二つはすべて女性に関わっています。女性は「出産前後や、生理中」などは神社などの「神聖な場所へ立ち入ることを禁じられ、もちろん神事に参加することもできなかった」のです。

 

【不浄の概念は日本だけではなかった】

このような思想は日本だけのものではなく、「ロマ」にも似たような習慣があったことが知られています。ロマとはいわゆる「ジプシー」のことですが、彼らは穢れを「マーヒーメ」と呼び避けていました。

定住せずに放浪する民族であったために、川の水を定期的に汲む必要があったロマですが、水を汲むときには使用法によって、汲む場所が決まっていました。飲料水や調理用はもっとも上流で汲み、その下が食器洗いや洗面、そして馬の水や洗濯用と続き、「もっとも下流が妊婦や生理中の女性の衣服をあらうために使われる」ようになっていたのです。

 

【穢れの意味】

なぜ、生理中や妊婦が穢れた存在とされたのでしょうか? 赤不浄は、現在では女性の生理に焦点が当てられていますが、本来は「血を流している人はすべて赤不浄」とされていました。

穢れの語源は「気枯れ」であるという説があります。スピリチュアルな世界でも採用される説ですが、要は穢れとはなにか汚いものではなく、「エネルギーが弱くなっている状態を示している」ということになります。

この説に従えば、確かに血を流している状態というのは、穢れているといえるでしょう。また、白不浄に関しても、基本的には出産時に血が流されて、当然ながら母体が非常に消耗しますので、エネルギーが低下しています。

出産に関しては、わざわざ「産屋を建てて妊婦を隔離していた時代」がありました。こちらは、穢れを遠ざけるという意味合いもありましたが、新たな生命の誕生という神秘を神聖視して、ある意味、「一時的に神と同列にしていたのではないか」という見方もあります。

 

【女性を守るためだった穢れ】

「穢れ」という言葉からは、あまりいいイメージはありませんが、本来は「体力が落ちた状態の女性に無理をさせないためだった」という説もあります。確かに生理中や、出産後などに外を出歩いたり、家事をしたりするというのは厳しいものですので、昔の人は現代よりもある意味では女性を尊重していたということなのでしょう。

その思想が、男尊女卑の傾向が強い仏教の流入によって、「穢れ=汚いもの」というイメージとして定着してしまったのは不幸なことです。

修験道などで女性が山に入れないというのも、表向きは穢れているということになっていますが、生理などのときに山に入ると、血の臭いをかぎつけた獣に襲われる可能性があるという実用的な意味もあるようです。

 

【自らの気枯れを意識しよう】

現在では「赤不浄」や「白不浄」などはあまり使われなくなりましたが、生理中や出産後には、自分が「気枯れ」た状態だということを意識して、無理をせずに身体をしっかりといたわるようにするということをオススメします。

エネルギーが低下しているわけですから、そういうときは、くれぐれも無茶をせずに、昔の人の知恵を活用して回復に努めるほうが、後々のためにもなることでしょう。

 

The meaning of “kegare”.
Woman has been why “kegare”?