中村うさぎさんコラム「どうせ一度の人生・・・なのか?」 part.4 〜健康を考えることは、人生を考えることなのだ。

世間はタバコに厳しいが、それを承知で吸い続ける中村うさぎさん……。それを見て、思わずおのころさんから出た「中村さんのそのタバコですけど……」の真意とは!?
中村うさぎさんコラム「どうせ一度の人生・・・なのか?」 part.4 〜健康を考えることは、人生を考えることなのだ。

タバコを辞める気はない……喫煙は犯罪ではないのだよ!!

私はヘビースモーカーである。
タバコを吸ってないのは寝てる間くらいで、起きてる時はひっきりなしにスパスパやっている。
身体によくないのは知ってるし、同席者に迷惑なのもわかっている。
じゃあ我慢しろよと言われそうだが、これがどうしても我慢できないし、そもそも我慢する気がない。
タバコが迷惑な人は私と一緒に食事したり酒を飲んだりしなければいいのだ。
喫煙は犯罪ではないのだよ。
単に趣味嗜好の問題なので、とやかく言われる筋合いはない。

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だがまぁ、世間は喫煙者に厳しいし、「あなたの身体のために言ってるのよ」としたり顔で禁煙を勧める手合いも相変わらず存在し(とはいえ、もはや私に真っ向から禁煙を唱える人はほとんどいなくなったが)、私はそのたびにウンザリするのであった。
なので今回、対談中におのころさんが「中村さんのそのタバコのことなんですけどね」と話し始めた際、私はてっきり「タバコは健康を害するからやめなさい」と言われるのかと思って少々身構えてしまったのである。

が、そうではなかった。
おのころさんの口からは意外な発言が飛び出したのである。

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タバコを吸わなきゃぶっ倒れている!?

「中村さんのそのタバコですけど……」
「あ、身体によくないですよね。わかってます。病気なのにこんなにタバコ吸って」
「いえ、そうじゃなくて。中村さんは会話してる間に、すごく脳を使ってるなと思うんです。脳がフルスピードで回転してて、だからその分、過緊張が起きやすいんじゃないかと感じるんですよね。ほら、中村さんの神経の病気は過緊張から筋肉が硬直するわけですから」
「え、じゃあ私の病気の原因は脳の使い過ぎだと(笑)。そんなに使ってたら、もっと賢くてもよさそうなのにねぇ」
「いやいや、使ってるんですよ。でね、中村さんがそうやってタバコを吸うのは、僕、中村さんなりの呼吸法じゃないかって気がしたんです」

「呼吸法???」

「ほら、タバコって大きく吸って吐くじゃないですか。中村さんは脳をフル回転させながらすごい勢いで話してるから、そのままだと過呼吸になってしまいそうな感じです。ものすごく会話に集中してるから、緊張やストレスもかなりだと思う。それを、タバコ吸うことによって和らげてるんじゃないかと」
「ほほう」
「タバコを吸うと、副交感神経優位になりますからね。緊張をほぐしてリラックスさせる効果がある。同時に大きく吸って吐くことで呼吸も整えられるわけです」

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なるほど!
タバコ吸わなきゃ、私はとっくに過呼吸過緊張でぶっ倒れているわけか!
それにしても、医学的には極悪人的存在のタバコを、そのようにポジティヴに考える人は珍しい。
喫煙を肯定されて嬉しくて言うわけじゃないが(いや、それもあるけど)、おのころさんのこの発想の柔軟さは、いわゆる大病院の医師たちの硬直した視点とは一線を画す感がある。
そうだ、病気とか健康とかいうものは、このようにまったく違う「解釈」をすることができるのだ。
医学は科学的学問であるから、ともすれば視点が固定化しやすい。
だが、人間の身体や心というものは、もっとオルタナティヴなのである。
もっと多角的に解釈でき、その解釈によっていくらでも姿を変えられるものだ。
おのころさんは、医者とは違う視点で人間を見ている。
彼が「病気は才能」「病気はメッセージ」と言うのは、そういうことなのだ。

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「私の健康」は自分で作るべし!!

「僕は、あなたにはあなたなりの健康がある、と考えます。健康法というのは他人が押し付けるものじゃない。自分で自分の身体と対話しながら見つけるものなのです」

そのとおりだ、と、私は思った。
健康に関心を持つ人々は世間に大勢いて、「あの食べ物が身体にいい」とか「これは身体によくない」とか、テレビや雑誌が先導してあの手この手の健康法が語られている。
が、そこに「個々人の身体の個性」はどれほど考慮されているだろう。
みんながみんな一様に同じ身体を持つわけでもないし、同じ生理的条件や環境で生きているわけでもない。
それぞれに合った「健康」の解釈、「健康」の定義、「健康」の実践法があるはずではないか。

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 健康を考えることは、人生を考えることなのだ

今後は、医師ではなく個々人が「私の健康」を考える時代になる気がする。
もちろん専門的知識を習得した医師は頼もしいアドバイザーではあるが、彼らの理屈をすべて鵜呑みにして従うのではなく、自分で考える時代が来るのだ。
私は原因不明の病気で死にかけたし、処方された薬の副作用で悩んだ日々もあったが、その体験によって自分の身体が何を求めているのかを考えるようになった。
医者の薬で症状が治まっても、私が幸福でなければ、そこに意味はない。
健康を考えることは、人生を考えることなのだ。
自分がどんな風に生きたいか、それによって、身体の状態をどのようにしておきたいのかが変わってくる。

おのころさんとの対話は、私にとってとても刺激的で、いろいろな気づきを与えてくれた。
「あなたには、あなたの健康がある」……この言葉を噛みしめつつ、私は自分の身体のメッセージに耳を傾けて生きたいと思う。

 

小説家・エッセイスト 中村うさぎ

 

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