■病気予防のコツ ~その1~ 『自然との調和(もって生まれた気質、そして自然サイクルとの調和)』〜インド生活『村上アニーシャのアーユルヴェーダ』Vol.36

アーユルヴェーダが目指すものは、自然との繋がりを失った現代人に、再び自然のサイクルを思い出させ、それを体に定着させ、自然の摂理と一致した暮らしを思い出させることです。

アーユルヴェーダによれば、私たちは、母なる自然との調和の中でしか、よりよい生を送れないと教えています。

この「自然と調和する」という意味は、何も自然界との調和だけという意味だけでなく、私自身がもともと持っている気質(遺伝的に授かった質)との調和、そして身体的にはもちろん、精神的、そして感情的な構成、自分自身の気質に対して真実であることも意味しています。

 

アーユルヴェーダはもともと、人間の生がもっとシンプルで、自然のサイクルと密接に繋がった世界の中で広く繁栄してきたもの。

アーユルヴェーダの智慧を発展させてきた賢者たちは、健康への主な鍵は、「私たち自身を自然との調和の中に置くこと」だと見なしました。(このため、アーユルヴェーダで提案される大部分の日課は、「自然なこと」が基本となっています。)

自然と調和すること。これは一見、簡単なことのように思えますが、時間に追われ、過剰に忙しいことが主流なライフスタイルが当たり前になり、いつでもなんでも、なにかれ好きなものが食べ、自然との繋がりをまったく失ってしまっているこの現代に、果たしてそれは可能なことなのでしょうか……。

アーユルヴェーダが目指すものは、自然との繋がりを失った現代人に、再び自然のサイクルを思い出させ、それを体に定着させ、自然の摂理と一致した暮らしを思い出させることです。

自然の摂理と一致して暮らすということは、いつも変化し続ける環境に対して、私たちの内側の生態バランスを絶え間なくとり続けること。

 

アーユルヴェーダによれば、私たちの体は、時計です。

もっと正確にいえば、同時に働く数個の時計が組み合わされたもの、それが私たちの体です。それぞれの器官には、最大限に機能するための一定時間があり、朝の時間帯は、肺の時間、空腹を感じる正午は、胃の時間、午後は肝臓の時間で、夕方は、結腸や腎臓の働きがピークに達する時間とされています。

これらの時計を基盤にして、アーユルヴェーダの賢者たちは、健康を維持するための日課を発展させました。

起きるのが早すぎたり遅すぎたり、規則性なく食べたり、夜遅くまで起きていたり、仕事のストレス、安定しない便通といった習慣は、私たちを乱す要素とされています。

また、理想的な食べ方の例として、「リスのように食べること」が薦められます。例えばリスは、冬にナッツを食べます。ナッツ類は、酸性で温める食べ物なので、寒い冬からリスを守ります。

リスのように食べる

 

酸性食品は一般的に冬に収穫され、体が脂肪、タンパク質、ミネラル、そしてビタミンを保てるように助ける効果があります。

もしあるリスが、寒い冬の間にアルカリ性の食べ物であるブロッコリーを食べればどうなるでしょう。リスの身体組織はアルカリ性になり、リンパ解毒を誘発し、凍えて死んでしまいかねないそうです。

幸運なことに、ブロッコリーは冬に育ちません。なので、実際リスが冬にブロッコリーを食べて体を危機にさらすことはありえません。

一方、人間はどうでしょうか。技術が発達し、季節に関係なく、いつが旬なのかわからないようなものをいつでも気軽に食べれます。そして、自然との繋がりをまったく失ってしまっています。

季節の収穫物を食べることは、私たちが自然と繋がる方法であり、病気の予防薬。季節の収穫物を食べることによって、私たちは、自然とのデリケートなバランスをいつも保つことができるのです。

私自身、インドで生活をすることになるまでは、日本で都会生活を送っていたこともあり、野菜や果物の旬について、全くの無頓着でした。

 

インドの生活から学んだことの大きなもののひとつが、この「旬のものを、旬のうちに十分に満喫すること」です。

また、不調なときは、すぐに市販の薬に飛びつかず、自然のものを最大限に利用して体のバランスをとることも、自然に習慣になりました。
(これは、インドの薬は日本育ちの私の体には強すぎたのと、お金目当ての医者が多いので、簡単に医者にかかることに対してかなりの躊躇があったため。ということもあるのですが)

例えばインドの人たちは、お腹がゆるくなったら、ヨーグルトとご飯を混ぜたものだけで簡単に治してしまいます。これが、そこらへんの市販薬よりもまた、効きました。(こういった家庭薬レシピは、また別の機会にご紹介したいと思います)

ダヒライス(インドのヨーグルトご飯)

ダヒライス(インドのヨーグルトご飯)

 

☆アーユルヴェーダではまず、自分のもともとの体質をある程度理解しておくことが、適切な食事やライフスタイルを送るために必要になります。次回は、「あなたはどの気質? アーユルヴェーダによる七つの体質」をお伝えしたいと思います。

 

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