「ゴーギャン タヒチ、楽園への旅」〜試写会を通してみるゴーギャン

ぜひ映画と合わせて、彼の作品を美術館でも感じてみてください。

劇場公開2018年1月27日の映画、「ゴーギャン タヒチ、楽園への旅」の試写会を見ました。
ゴーギャンの鮮やかな色彩で描かれるタヒチの「ポール・ゴーギャン第一次タヒチ時代」と言われる、1891年の4月から1893年の6月の期間(タヒチ滞在は1891年6月~1893年7月)を中心に進められる物語です。

この間に、ゴーギャンは66点の作品を残しています。

 

映画のあらすじは……

ゴーギャンは、パリで株式売買人をしながら、趣味で絵を描き始め、サロンで1876年に入選を果たして以来、次第に絵で生計を立てようと考えるようになる。
「腐っていて薄汚い描くべき風景も顔もないパリを捨て、タヒチへ旅立とう」と芸術仲間たちを説得しようとしたが、誰も同意するものはいない。
また、呼び寄せたばかりの妻に5人の子供たちもそんなゴーギャンに同意することなく、彼は単身でタヒチへ向かうことになる。

「あらゆることを捨てた野蛮人」とパリを去る時に言われ、孤独な心のゴーギャンを襲ったのは、糖尿病に心臓の弱った状態を抱えた闘病生活だった。
しかし、彼の野心は絵を描くことに集中し、病気の完治を待つことなく、画材一式をそろえて馬で島に向かう。
その途中出会ったのが、客人として迎えてくれた村の家族の娘、テハアマナ(テフラ)だ。

この娘を「ほしいか?」と聞かれ、妻に迎えることになるが、「月の満ち欠けが一回りしても幸せにできなければテフラは去る」と言われる。(当時彼女はまだ13歳である。)彼女をモデルとして絵を描き、村の生活にも順応して行く。
この間、ゴーギャンは、生き生きとした絵を精力的に描いていく。
「これほど芸術家として刺激を受ける暮らしは、生まれて初めてだ」と、ますます絵を描くことに集中する。

しかしながら、貧困とともに生活にも変化が生まれる。
文明の押し寄せてきたタヒチにも変化が生まれ始める。
テフラは、「白い服を着て、教会へ行きたい」と願い始める。

ゴーギャンが町に彫刻を売りに行くが、安くたたかれたり……。

そして妻とついに別れの決断をし、帰国を決心する……。

こんなに頑張っているのに報われないゴーギャン。観終わってから、なんともやるせない気持ちが残る本作。

絵を描くことに対する情熱はあれど、環境や経済的なことが邪魔をしたり、と「どうして?」と思うことが場面場面でありました。
またそれを俳優ヴァンサン・カッセルが真に迫った演技で感情移入させられます。

 

ゴーギャンも、死後認められた画家のひとりです。
生きている間は、絵が売れない、絵で稼げないという状況に陥っていました。
苦心して生み出した作品が認められず、彼はどのようにその情熱を持ち続けていたのだろう? と思うと、映画を見ながら涙が溢れました。

人ひとりが生み出せるものというのは、その人によってもちろん違いますが、彼の世界観は、誰も真似のできるものではありません。

また、当時は時代のせいで、彼を「道徳的に認めない」ということで、画家としても認められず辛かったかもしれません。
様々なものがその才能を邪魔しているとも思えました。

今では美術館で見ることのできる彼のたくさんのタヒチの絵ですが、それぞれがこういった背景の元生み出されているのか、ということを思いながら見てみると、また違った感覚が生まれるかもしれません。

この作品で彼の背景を知ると、タヒチがテーマの絵画の、別の側面を感じることができます。

 

いくつか作品名を挙げておきます。

タヒチの女たち (Femmes de Tahiti) 1891年
イア・オラナ・マリア(アヴェ・マリア、マリア礼賛)(Ia orana Maria) 1891年
ヴィヒネ・ノ・テ・ヴィ(マンゴーを持つ女)(Vahine no te vi (Femme au mango)) 1892年
ナフェア・ファア・イポイポ(あなたはいつ結婚するの?)(Nafea faa ipoipo (Quand te marles-tu ?)) 1892年
エア・ハエレ・イア・オエ?(あなたは何処へ行くの?)(Ea Haere ia oe (Où vastu ?)) 1893年頃
マナオ・トゥパパウ(死霊は見守る、死霊が見ている)(Manao Tupapau (L’esprit des morts veille)) 1892年(映画でも精霊が現れた、と言ってたシーンを描いた絵)

ぜひ映画と合わせて、美術館でも作品を見てください。
絵の背景を知った上で、彼の情熱を感じ取って欲しいものです。

 

主演:ヴァンサン・カッセル
監督:エドゥアルド・デルック
脚本:エドゥアルド・デルック、エチエンヌ・コマール、トマ・リルティ
撮影:ピエール・コットロー
音楽:ウォーレン・エリス
2017年/ フランス/ 102分/カラー/原題:Gauguin Voyage de Tahiti
後援:タヒチ観光局  配給:プレシディオ
2018年1月27日(土)より、Bunkamuraル・シネマ、ヒューマントラストシネマ有楽町、新宿シネマカリテ他全国順次ロードショー
© MOVE MOVIE –  STUDIOCANAL  – NJJ ENTERTAINMENT

 

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