明らかになる、シフト勤務の脳への悪影響。その対応とは?

不規則な食事パターンや偏った栄養摂取は体内時計を狂わせ、そこから長寿遺伝子も働かなくなってしまう

あけましておめでとうございます!
年末年始いかが過ごされましたでしょうか?
ダラダラと不規則な生活になってしまった人もいるんじゃないでしょうか?

前回、徹夜が続くことの弊害について取り上げましたが、それと深く関わるシフト勤務と健康に関する研究結果が先々月に発表されましたのでそれから取り上げたいと思います。

去年の11月4日、フランスの研究チームが、シフト制勤務を10年以上続けている人は 脳の記憶力や認知力が低下する可能性があるとする研究結果を英医学誌に発表しました。
これは10年以上というかなり長期でのシフト勤務の場合はより強く影響が出ているそうです。

これまでにもシフト勤務が心臓発作や冠動脈疾患などの心疾患、前立腺ガンや乳ガンなどの一部のガンとの関連は指摘されていましたが、脳の老化への影響が明らかになってきたことになります。

この研究では夜勤や朝昼晩だけのシフト勤務もすべて含んでいますが、夜勤シフトの人だけで見ると脳への悪影響はさらに増すであろうとぼくは推測しています。

長寿遺伝子にも影響が!?
みなさん長寿遺伝子(サーチュイン遺伝子)というのは聞いたことありますでしょうか? 最近健康番組でも多く取り上げられ注目を浴びています。
その名のとおり、老化を遅らせ長く健康に生きるための遺伝子で、だれもがこの遺伝子を持っていますが、この遺伝子を活性化させるカギは「カロリー制限」「赤ワインポリフェノール」ということがわかっています。

ところが、せっかく活性化した長寿遺伝子も不規則な生活で働きが落ちてしまうのです。

我々の身体は脳や消化器官、肝臓や筋肉などの臓器に、1日のリズムを作り出すペースメーカーの遺伝子「時計遺伝子」が存在しますが、食べる時間や量、栄養素が変則的になると時計遺伝子にも狂いが生じ、肥満や糖尿病になりやすいことが知られています。

そして最近の研究で、この時計遺伝子長寿遺伝子はお互いに深く影響し合っていることが報告されています。
すなわち、不規則な食事パターンや偏った栄養摂取は体内時計を狂わせ、そこから長寿遺伝子も働かなくなってしまうのです。

100歳を超えたご長寿の方々に長生きの秘訣を尋ねると、ほぼ必ず同じ答えだそうです。「同じことを同じ時間に繰り返す

シフト勤務者はいかにして健康を守るべきか?
シフト勤務が健康を害することがわかっても、仕事である以上シフト勤務から逃れることはできません。
シフト制だと生活リズムを毎日同じにするのはなかなか厳しいですが、少しでも身体を守る努力をしましょう!
ポイントは「1日の生活リズムを極端に変えない」ことです。

①毎日の起床時刻をできるかぎり大きく変えないようにし、朝は日光を浴びる
②朝昼夕の食事の時間をできるかぎり同じにする
③週に1、2日は運動やヨガ、瞑想などをして、脳をリフレッシュする時間を作る
④ランチのあとに短時間仮眠を取り、脳を休める
⑤自宅に帰ったら蛍光灯などの照度の強い光を避け、毎日の就寝時刻はできるかぎり 大きく変えないようにする。

シフト管理者も知識を!
マネージャーなどシフト管理をしている方もあれこれ苦慮しながらシフトを組み立てていると思いますが、スタッフの健康管理も管理者の仕事!
1つお伝えしたいのは、今日は朝番、明日は夜番、明後日は朝番、といように出勤時間帯が毎日コロコロ変わるより、今週は朝番、来週は昼番、というようにある一定期間同じ時間帯の勤務にする方が、スタッフの身体も慣れやすいので、健康も維持しやすく仕事の能率もあがります。
可能なら今月は朝番というくらい、同じ勤務シフトが長ければ長いほど良いです。
スタッフの人数が少ないほどフレキシブルにシフトは組みにくいですが、今日お伝えしたことを少しでも意識していただければうれしいです。

余談ですが
ぼくが以前務めていた海上自衛隊はその名のとおり艦艇や潜水艦を主とする部隊ですが、艦艇の勤務はホントに大変なんですよ・・・。

24時間態勢を取っていて、シフト制もとてつもなく変則的なんです。
潜水艦に乗っている人たちなんか何日間も太陽を浴びないこともありますから、健康への影響は計り知れないと思います。
命を削りながら日本を守ってくれて、本当にありがとうございます。