太古の叡智から学び、科学で検証するホリスティックライフ~ナチュラル派の街シアトルから №3

11月なかばから、急に冬めいたシアトルです。冬の朝方は霧がかかることが多く、山のほうを見渡すと、グレーの空と区切りがつかない霧の中に針葉樹の森が墨絵ように浮かぶ、幻想的光景が広がるのを目にすることができます。ちょっと異空間に入り込んだような霧の朝。白い息を吐きながら朝の散歩に出ると、赤い実を残した低木が、身が締まるようなキリッと冷えた空気の中に、ひときわ鮮やかでした。こんな自然に身近に触れられる幸せ。

私事になりますが、この夏、私は少し体調を崩し、いろいろと検査をする体験をしました。超元気印!を誇ってきた私にとって、晴天の霹靂でした。 おかげ様で見つかった疾患を治療し、今こうして散歩をできる健康を取り戻せました。何世代も何世代もの長い時間、試行錯誤をへて培われてきた今日の医療技術があるからこそ、今の時代にその恩恵を受けることができたのだな、としみじみ思いました。素直に感謝せざるを得ません。

ところで、健康って、なんでしょう? 皆さんそれぞれの「健康」の定義をお持ちだと思いますが、世界保健機構WHOは、「健康」について、次のように定義しています。

Health is a dynamic state of complete physical, mental, spiritual and social well-being and not merely the absence of disease or infirmity.

「健康とは、病気でないとか、弱っていないということではなく、身体的にも、精神的にも、霊的にも、社会的にもすべてが満たされた状態にあること」

この中にある「霊的」という言葉は、21世紀を目前とした1998年から、加えられたということです。それまでは、「身体的にも、精神的にも」だけ。WHOが定義を作った頃からつい最近まで、「霊的」は入っていなかった、、という事実のほうに、私はかえって驚きました。

何千年にも渡って、人間の叡智をこえたものを、それぞれの土地でそれぞれの「神」と呼び、精霊を自然に感じ、霊的なものの存在を当たり前のように生きてきたものです。健康に「霊的」なものが含まれるのは当たり前すぎて、気がつかないことだったのだと思います。

21世紀に入り、科学が万能ではないこと、地球全体の環境がおかしくなってきていることに意識を向けざるを得なくなっています。そうした時代に入り、WHOの定義の改定は、欧米の医学も再び「霊的なもの」という視点を取り入れ始めているということを示しているのだと思います。

この夏私が元気になれたのは、西洋医学・代替医療系の専門家の皆さんによる治療のおかげもありますが、人間の叡智を超える存在にも、大いなる助けをいただいたのも確かです。

毎日あなたに語りかけているものがたくさんいます。心、体、そして霊的なものに、心を開き、たずねる時間をもつことを意識したいと思います。うっかりしていると聞きのがしてしまう囁きで。私は、私の心身、そして「霊的なもの」と、静かにお話ができる幸せを感じます。

次回から、私がセラピーの際、主に向かい合っている、「筋膜」のことについてのシリーズをお届けしたいと思います。