「最後は頭じゃなくて“心”」 世界一選ばれ続けた男・遠藤保仁の“生存戦略”とは?

“選ばれ続けた男”の伝説

開催国の劇的な逆転勝利で幕を明けた<ワールドカップ ブラジル大会>。日本代表の初戦・コートジボワール戦は、日本時間の6月15日(日)10時にキックオフする。海外のビッククラブに所属する本田圭佑、香川真司や、サプライズ選出の大久保嘉人らの活躍にファンの注目は集まりがちだが、そんな彼らにパスを配給し、試合を影でコントロールしているのが代表最年長のベテラン・遠藤保仁選手。改めて注目していただきたい選手です。

遠藤選手は2002年A代表に初招集されると、そこから12年もの間、途切れることなく日の丸を背負い、日本代表戦歴代最多の144試合(先日のザンビア戦まで)に出場してきました。これは今回ブラジルW杯に出場する全32チームのフィールドプレイヤーの中で最多です。

海外クラブからのオファーがありながらも、あえて国内にとどまり、ジーコ、オシム、岡田武史ら歴代の代表監督に“選ばれ続けた男”は、今年34歳を迎えた、まさにリヴィング・レジェンド(生きる伝説)です。
そんな遠藤が代表で活躍し続けられる理由とは……?
遠藤選手本人へのインタビューを中心に、その活躍の裏側に迫ったのが先月発売された『最後の黄金世代 遠藤保仁 79年組それぞれの15年』(KADOKAWA メディアファクトリー)です。

遠藤保仁選手のサッカーへの思い

同著は稲本潤一ら遠藤選手の同期にあたる黄金世代の面々に加え、遠藤選手の肉親ら60名以上に取材。「遠藤保仁」という類まれな才能が投げかける「理想」「ルーツ」「選択」といった7つのテーマを読み解いていくノンフィクションとなっています。

黄金世代が世界大会準優勝を成し遂げた1999年からの15年間を中心に遠藤選手、そして日本サッカー界が歩んだ足跡を克明に描き出しながら、遠藤選手自身のリーダー論や精神論を紹介しています。彼がとったサッカー選手としての“生存戦略”について考察しています。

印象的なのは遠藤選手本人の「最後は頭じゃなくて“心が”身体を動かす」という発言。
飄々としたイメージのある遠藤選手だが、高校サッカーを経験することで「あと一歩」の大切さを実感したと言う。さらに「頭で考えても気持ちが乗らなかったら仕事でも何でも進まない。この仕事をやりたいと思ったら、少々きつくてもやると思うんです」と語りながら、一般的な仕事論にもつなげていきます。

一方、かつてサッカー選手だった遠藤選手の一番上の兄、拓哉の口からは日本代表選手を弟にもつ男の知られざる葛藤が語られている。その他にも稲本潤一が遠藤選手に託す思いや、今も現役にこだわり続ける小野伸二、高原直泰らの挑戦の軌跡など、さまざまな人間ドラマが浮かび上がる一冊となっています。

 

『最後の黄金世代 遠藤保仁 79年組それぞれの15年』
松永多佳倫・著
発売:2014年5月16日
定価:1200円(税別)
ISBN:9784040667447
発行:KADOKAWA
編集:メディアファクトリー