人間の美徳とは?禁断のリンゴを食べた男女の罪と罰とは?『美しい絵の崩壊』

人間の美徳とは?禁断のリンゴを食べた男女の罪と罰とは?『美しい絵の崩壊』

人間の美徳とは何が決めるのか……

原作は、英国の女性作家ドリス・レッシングの「グランド・マザーズ」(集英社刊)。2007年にノーベル文学賞を受賞したレッシングの愛の問題作。長年候補となりながらもノーベル文学賞を受賞したのは88歳のとき。ノーベル文学賞では歴代最高齢の受賞者でした。そしてこのスキャンダラスで官能的な物語を上梓したのは、2003年。レッシング84歳のときでした。

最大のスキャンダルを描いたこの問題作に挑むのは、演技派女優ロビン・ライトとナオミ・ワッツ。
親友の息子から愛され、また彼を愛したことで苦悩する主人公ロズを、凛とした佇まいでロビン・ライトが演じています。

「ロズはリーダーであり、そのことを自分でもわかっていた。4人の中での彼女の役割は、何が正しいかを問いかけ、全員の行動に責任を持つこと。そして自分がすべきことは―誤りを正すこと」とライト自身がいうように、人間の美徳という概念に囚われ、ロズは結果的にイアンとの純愛を破滅に向かわせていく……。

一方ナオミ・ワッツは、親友と自分の息子の関係に触発され“ある一線”を越えるリルを、愛される悦びから肉欲に溺れていく様を不安定な危うさと色気を纏わせながら演じ、その姿は怖いほどに刺激的。

双子のようでもあり、対照的なロズとリル。理性と欲望。美徳と背徳。母親と女。相反する女の性を、キャリアと私生活の両面で円熟期を迎え、さらに魅力を増した2人が体当たりで演じ切っています。

男に愛される喜び、そして苦悩

美しい年上の女性に抱く憧れが、いつしか愛に変わっていく。
息子ほど歳の離れた男に愛される女性の戸惑いや喜び、またその苦悩を描いた名作は、過去にも数多く存在します。しかし、果たして、これほどまでにスキャンダラスで、それでいて胸締めつけられる愛の物語が他にあったでしょうか……。

美しいビーチ・タウンで、子どもの頃から親友として育ったロズ(ロビン・ライト)とリル(ナオミ・ワッツ)。そして互いの10代の息子たちも、同様に強い友情を築き、家族ぐるみのつきあいを続けてきた。
ある夏の日、かねてからロズに想いを寄せていたリルの息子は、爆発寸前の感情を打ち明ける。
戸惑いながらも真剣に愛し合う2人だったが……。

息子同然に接してきた青年からの真っ直ぐな愛。それが純粋だったからこそ、ロズはその想いに応えてしまった。
その恋はまるで、初恋のような甘美な幸福感でロズを包み込んでいく。2人が齧った禁断のリンゴ。そのリンゴが親友のリルの手にも渡ってしまったことから、運命の歯車は思いも寄らない方向へと回り始める。本作『美しい絵の崩壊』が、他の恋愛映画と一線を画すのは、ロズと親友の息子の純愛が招く予測不能の展開だ。禁断のリンゴを齧った罪と罰とは?楽園の扉が開かれたとき、完璧で美しかった4人の絵はどのように崩壊していくのか?これまでに類をみないこの愛の結末は、どこまでも切なく胸に響く。

 『美しい絵の崩壊』
5月31日(土)、新宿武蔵野館、ヒューマントラストシネマ有楽町、横浜ブルク13ほかにてロードショー
www.utsukushiienohokai.com

監督:アンヌ・フォンテーヌ
脚本:クリストファー・ハンプトン
撮影:クリストフ・ボーカルヌ
原作:ドリス・レッシング著「グランド・マザーズ」(集英社刊)
出演:ロビン・ライト、ナオミ・ワッツ、ゼイヴィア・サミュエル、ジェームズ・フレッシュヴィル、ベン・メンデルソーン

2013年/オーストラリア=フランス合作/英語/111分/カラー/シネスコ/ドルビーデジタル
原題:TWO MOTHERS
日本語字幕:松浦美奈 R15+
配給:トランスフォーマー
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