『心理セラピスト』が教える!「傾聴の弊害」とは~聴き上手は語れない~

『心理セラピスト』が教える!「傾聴の弊害」とは~聴き上手は語れない~

聴き上手のワナ? 本当のコミュニケーション力とは?

話し上手は聴き上手。こんな言葉があります。確かに一理あると思います。しかし、その言葉の真意とは別に心理学やらカウンセリング技術やらが少々流行りすぎてしまったためか少々ニュアンスが間違って広まってしまった気もします。

「もしもあなたが何かのビジネスをしているならば、まずはお客さんの悩みなどを真剣に聴いてあげて下さい。不安を共有して貰う事によって信頼関係ができあがって……」

「もしもあなたがモテたいのなら異性の話をしっかりと聴いてあげましょう。恋愛も結婚も相手の事を理解してあげようと言う気持ちが大事です……」

もしかしたら、この手の文章を何処かで目にした事があるかもしれません。かく言う僕も、そういう話をあちこちでしています。

こんなことを思ったことはありませんか。「話を聴くことが重要なのはわかりますが、結局、おしゃべりな人の話を、ひたすら誰かが聴き続けるという関係が円滑なコミュニケーションにつながるとは思えないんですよね」と。

確かに、巷で出回っているコミュニケーションのノウハウ本などでは傾聴の重要性を説いているものが多いです。人は誰もが自分に興味を持って貰いたい。自分の話を聴いて貰いたい。相手の話を聴いてあげること、即ちそれは相手を尊重していることなのだ、と。

それはとても重要なマインドセットだと思います。しかし、コミュニケーションとは、その場凌ぎのスキルの事ではないのです。お互いがお互いを理解し合おうと思う事。これがコミュニケーションなのです。思いっきり勘違いしている人がごく稀にいるのですが、必要以上に笑顔で「うんうん」と大げさな程頷いて「私、広い心であなたの話を聴いてあげているのよ」と言わんばかりのオーラを出している人がいますが、この手のタイプは傾聴している自分に自己陶酔しているだけなので信頼関係が芽生えるどころか、上から目線で気持ち悪いと思われてしまう危険性があります。

傾聴とセットで有名なのが質問です。質問を投げかけてあげることで相手に自発的に喋らせて、それを聴いてあげる事によって…という心理テクニックです。しかし、これも気をつけないと、「この人、さっきから何で質問ばかりするんだろう。本当のところ、この人は一体、私から何を聞きだしたいんだろう?」と警戒されてしまいます。これも先ほどの例と同様に、最終的に自分が相手の話を聞いてあげているのだという立場を作り出す技法でもあるので、はやり質問もほどほどが良いと思います。

聴いてあげることが良い事。この幻想から解放されて下さい。相手の顔色をうかがってご機嫌を取らなければコミュニケーションが取れないような相手とは、はじめからできるだけ関わらないように意識して下さい。聴いてあげる事も大事ですが、伝えることも重要だと言う事を覚えておいて下さい。どうすれば自分の想いが相手に伝わるのかをきちんと考える事も思い遣りなのです。僕たちはそもそも何を言っているかわからない人と話したいとは思いません。相手を理解するための努力同様にきちんと自分の考えを伝える意志意識も同時に持つように心がけることで本当の意味でコミュニケーション力が育って行くのです。