モロッコ見聞録PART.5~音のないところ~

モロッコ見聞録PART.5~音のないところ~

絵:ワルザザード在住の森分さんの絵①

モロッコは映画の国?

モロッコの世界遺産の町などをめぐってから夕方に辿り着いたのは、ワルザザードという街。モロッコ中部、アトラス山脈の南側に位置する、砂漠の境界線にあります。標高1,151m。乾燥した気候で、雨はほぼ降らないそうですが、ドラア川が平原に出てくる地点に位置しているので、オアシスとなっている街です。ワルザザードとは、ベルベル語で「音のないところ」という意味なのだそう。今でこそ、映画の撮影がよく行われていますが、その昔、隊商(キャラバン)が通る頃には、閑かなオアシスだったのでしょうね。

現国王のモハメド6世(在位1999~)は映画がお好きなのか、映画の撮影を随分と奨励していらっしゃるようです。マラケッシュで毎年行われている国際映画祭は、昨年で12回を数えていますし、街のはずれには撮影スタジオが2つあります。

これまでにモロッコで撮影された映画の数、どのくらいあると思いますか? 5本? 10本?なんと、100 とか200本と言われているのです!有名な映画としては、「バベル」「モロッコ」「シェルタリングスカイ」「サハラに舞う羽根」「ナイルの宝石」「グッバイモロッコ」「知りすぎた男」「風とライオン」「星の王子さま」「スパイゲーム」「キングダム・オブ・ヘブン」「ブラックホーク・ダウン」「アステリックス」「最後の誘惑」「サハラ」「アレキサンダー」「モロッコの騎士」などなど。(「カサブランカ」はモロッコの都市の名前で、あまりにも有名な映画ですが、なんとすべてセットだったそうです)。

交通の便が比較的よく、砂漠の雄大な光景が広がっているため、映画のロケ地としてよく使われる街ワルザザードでは、「アラビアのロレンス」「スターウォーズ」「007リビングデイライツ」「ハムナプトラ/失われた砂漠の都」「グラディエーター」「クンドゥン」などの映画もロケが行われました。「シェルタリングスカイ」が撮影されたタウリルトカスバは、20世紀初頭に太守(パシャ)だったグラウィの住居として使われたカスバ。入場料を払えば見学することが出来ます。ちなみに、カスバとは、地方の小さな砦や地方官の邸宅、またはそれらのある町全体のことを言います(同じアラビア語圏でも国や地域によって多少ニュアンスが異なるようです)。


エル・ケアラ・ムグナのお店にて 

薔薇の谷 エル・ケアラ・ムグナ

ワルザザードに向う途中で、エル・ケアラ・ムグナという町にもちょっとだけ寄りました。ここは、薔薇の谷とも呼ばれています。4月から5月にかけて開花する薔薇の花は一斉に収穫され、5月初旬には“バラ祭り”が開催されます。ローズオイルやローズウォーターを精製する工房へ運ばれて行くダマスクローズは、観賞用のバラに比べると小ぶりな可憐な花。その香りは大変気品のあるもので、女性性を一気にアップしてくれること間違いなしの上質なものです。町にはその薔薇を使った化粧品などを売るお店があり、入ってみるとお店の中はピンク1色。クリームなどはお手頃な値段からあり、私も試しに1つ購入しました。実際に使ってみると、クリームそのものの色が濃いピンク色で焦りましたが、使い心地は良かったです。こんなことならもう少し高いのを買ってみるんだった…と後悔しても、すぐに行ける場所ではないのですが、また、訪れてみたい、それも薔薇の収穫の時期に行ってみたいと思っています。


ワルザザード在住の森分さんの絵②

夕方に着いたワルザザードの行き先は、日本人のご主人とモロッコ人の奥様が営んでいらっしゃる自宅兼お宿でした。ご主人は建築家さん。私がお世話になった時は、お仕事でラバトに出張中。心のこもったお料理をいただいて、お部屋でゆっくりと休みます。この時、先に宿に滞在していた日本人女性2人組が砂漠で無茶して体調を崩していたので、旅行の時には薬をしこたま持って出かけるこのワタクシ、親切心を発揮して、持っていた薬の中から役に立ちそうなものと、非常時用に用意していた○カリスウェットの粉末をすべてあげてしまいました。その後に自分の身の上に訪れることなど考えもしないで……。


宿のお部屋

次回はベルベルの人達についてのお話です。

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