ブータンしあわせ便り第28稿「ふ」~「ファッション」

ブータンのファッションレポート

ブータンでは私が滞在中の2010年、はじめてのファッション専門の雑誌が刊行されました。中身はやはり民族衣装の「キラ」を着た女性がキラを披露したり、女子会の模様をレポートしたりするもので、人口のすくないブータンですので、たくさんの「知り合いだ!」という状況に遭遇します。

ブータンの女性は「近年、輸入物のお店ができたりして、かなり民族衣装以外のファッションにこだわるようになった」とのこと。

そうです、街を歩くと、スポーツ系ファッションや、バングラデッシュが近いせいか、なんとH&Mのシャツなどが、段ボールに入れられて売られたりして……まだまだディスプレイは……驚いたことがあります。私のお友達は「ザラやH&Mがいい」と日本での販売価格を聞いてきたり……。そして、日本ではちょっと昔に流行ったかな?といったNINE WESTの洋服やバッグ、靴などをおねだりされたりします。ブータンに行くときは、お土産のほとんどが洋服です!

ブータンの女の子たち

ユニクロはその機能性から、3年前に贈り始めたときから、ものすごい人気!毎年、冬も夏もユニクロを送って!と何通ものメールが入ります。

ファッションとコスメ天国のバンコクへは直行便で3時間。バカンスなどタイにいき、買い物をする首都の子女たちもたくさんいます。またブータンとタイの直行便、ドルックエアーで働くフライトアテンダントの友人に頼んで、「今週はコスメを買って来てもらうの」ということも何度も何度も聞きました。

夜にディスコなどに出かけると、それはそれはいわゆる超ミニで、露出度満点の女の子たちがたくさん!ブータンもほかの国とかわらないな~と感じることも。

こうしてみるとみんなほとんどシャツにジーンズです

ブータンでは公的な場所では民族衣装の着用が義務付けられているので、比較的、街中では民族衣装を着ている人が多く感じられます。寺院、学校では民族衣装、国家公務員は民族衣装で仕事です。ですが、普段、民族衣装を着ている若者は……私の周りにはほとんどいませんでした。みんなTシャツにジーンズ、あるいは、ワンピースなど、日本と変わりありませんでした。この民族衣装着用の制度は、ブータンの伝統を守るのに、大いに役立っていると思います。

私が頻繁にキラを作ったり、着たりするのを見ると、ブータン人は、「あなたのほうがブータン人ね」や、「キラは寺院だけで十分よ」などと言われたりしました。なんだか日本の着物のように伝統が薄れていくのは本当に悲しいですね。

でもそれは価格にも問題があると思います。よいキラは数万円、数十万円しますし(これも着物と同じ)、シャツは2ドルで買えたりします。また民族衣装には皮靴を履いたりしますが、シャツなら10ドルの運動靴ですみます。

ブータンのキラは本当にきれい。この伝統がいつまでも人々の生活に根付いたものでありますように。

学生の音楽会。みんな授業以外はほんとジーンズにシャツです。

 

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