自然の恵みに癒される旅奥多摩森林セラピー

北海道から沖縄まで全国35箇所にある森林セラピー基地に、新たに2009年4月から奥多摩が加わると聞いて、新緑の奥多摩へ、 森林セラピー体験に参加してきました。

「森林セラピーってなんですか?」

「森林浴が与える血圧や心拍数など体への影響、心理的な変化などを実際に計測することで癒しの効果を科学的に証明し、積極的に心と体の健康に活用しよう!ということを森林セラピーと定義しています。より効果的な森林セラピーを体験して頂くために、今は地域の人たちに協力してもらいながら様々なデータを集め、研究を進めているところなんですよ。」癒しの効果が証明されている森林セラピーとは言っても、睡眠不足で心はイライラお肌はガサガサ、体は冷たく、肩こり、足のむくみに目の疲れ…こんな状態でもセラピー効果は出るのでしょうか!?

質問にお答え頂いたのは千葉大学園芸研究科 環境健康学領域 岩崎寛先生

 

いざ、森林セラピーへ!

ドキドキしながら向かった先は測定機械の前。森林セラピーの効果を確かめるために、セラピー前に参加者は血圧・唾液アミラーゼ・心拍数を測定します。アンケート調査方式の心理テストPOMSも受けてから森林セラピー開始です。今回は多摩川渓流に沿って作られている旧青梅街道、現むかしみちを自分の好みのペースで歩きました。むかしみちは急な坂道や階段などは無く、穏やかな遊歩道なので体力に自信のない人や運動を普段しない人でも安心して楽しめます。

これが測定機械。科学的なデータをチェック!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

1カ月続くセラピー効果

歩き出すとすぐに清々しい森林の香りに包まれることに気がつきました。これは樹木から放出されているフィトンチッドという物質で、抗菌・除菌作用による美肌効果や免疫力向上、香りによるリラックス効果があると言われています。この効果はセラピー後も約1カ月ほど続くと聞いて、一生懸命深呼吸を繰り返すこと十数回。

 

美しい自然が最高のヒーリング

奥多摩式森林呼吸法(※)でたっぷりと新鮮な空気を吸った後には、特製ハーブティーで一休み。渓流から聞こえてくるせせらぎの音や、色とりどりの山々を眺めながら過ごしていると、自然と肩の力が抜けていくのを感じます。ゆっくりと徒歩で1時間。むかしみちを歩き終わる頃、鼻歌を歌いながら歩いている自分に驚きました。体がぽかぽかと温かく、肩こりや足のむくみがスッキリ。緑豊かな景色に癒された目で見る風景は明るく、森林のしっとりした空気のおかげでお肌もぷるぷるになっていたのです!森林セラピー終了後に再測定をしてみると、全体的にリラックス状態を示す数値に変化しているのが確認できました。リラックスしたことが「なんとなく気のせい」ではなく、本当に癒されていることを自分で確認できることも森林セラピーの魅力の1つだと感じました。すっかり心も体もリラックスした後は、奥多摩の美味しい山菜やアルカリ性の温泉でさらに癒しを満喫。森林の恵み豊かな奥多摩はどこを取っても森林セラピーなのでした。

 

奥多摩式森林呼吸法

1.姿勢 足幅を肩より、やや広く構え、2、3回浅く屈伸して、落ち着く位置を確かめる。(重心を意識する。)背筋を伸ばし、肩や腹部の力を抜き、体全体をリラックスさせる。膝は閉じないで、少し開く。両手は重ねて、下腹部の丹田(の約3㎝下)に軽くあてる。前を見て、あごは少し引くような感じ。目は軽く閉じる。

 

 

 

 

 

 

2.息を吸う 7秒間かけて静かに息から息を吸いながら下腹を膨らませて、森林のエネルギーが入ってきて、体中に満ちるイメージをする。丹田が膨らむことを意識しながら吸うこと。

 

 

 

 

 

 

 

3.息を止める 5秒間息を止める。丹田に息を落とし込み、下腹を大きく膨らませながら、森林と一体になったというイメージをし、吸ったフィトンチッドが全身に広がったイメージをする。

 

 

 

 

 

 

 

4.息を吐く 10秒間かけて口からゆっくり息を吐く。このときに意識して下腹をへこませる。ただ、あまり力を入れてへこまるようにはしない。吐きながら体中の悪いもの、老廃物が呼吸と一緒に出て行くイメージをする。丹田がへこむことをイメージし、手の感覚で覚えるために、手は両方の指先で丹田を押さえるようにする。

 

 

 

 

 

 

 

※この呼吸法を10~20回繰り返します。(監修:奥多摩町森林実行委員会 医療・医学博士 腹部 幹彦)問い合わせ先:奥多摩森林セラピーokutama-therapy.com

 

Text Pohoto:Tomoko Tanihira/Illustoration:Miwa Kaneya