母は霊能力者・下ヨシ子!Vシネ期待の大型スター・水元秀二郎さんインタビュー「ハードな道しか選ばない!<後編>」 Photo:Tomoko Hayano

霊能者・下さんのご子息、水元秀二郎さん。霊体験や得度を受け、僧侶の資格もお持ちというちょっと変わった俳優さんです。前回は俳優になられたきっかけなど伺いました。後編は、水元さんの過去、そして4月に公開される映画「弁天通りの人々」について教えていただきました。
俳優の傍ら歌も歌われるそうですね。   少年院への慰問で歌います。僕も入っていたのでなかにいる人の気持ちもわかります。入った人間は2通り。本当に悪い奴と、悪いことをするのがカッコイイと思ってしまう奴。間違った価値観を持っている子ですね。慰問で歌いに行くことは情操教育の意味もあります。楽しませるためだけじゃない。というのは、楽しい思いをして「ああ、早く出たいな。二度とこんなところに来たくないな」と感じるようになります。では出所するにはどうすればいいのか、と考えさせることが目的です。僕も慰問された身です。慰問に来てくれた人を見ながら「この人はきれい事を言ってこのまま外の世界に出ていくんだ」、と思って見ていました。二度とこんなところに来たくない。だったら来るようなことをしなければいいわけです。それをバレないように賢くやっている人もいるでしょうし、不器用な人だけ捕まっているんじゃないかな、と思うんです。俺も暴走族をやってコケて捕まりました。みんな器用に逃げているのに。だから慰問に行った時は自分も少年院に入っていたことを言います。俺もこのなかにいたよって。慰問に行くと感謝状をいただきますが、そのとき初めて人の役に立ったのかなと思います。「水元さんの歌に勇気をもらいました」と言われると、俺の居場所があったのかなぁと。普通になれれば真面目になる必要はないと思います。感謝されて、人のためになるならと思い、俺も得度を受けてお坊さんになったんです。
得度を受けるには修行があって大変と聞きますが。  得度自体は難しいものではありません。階段を上げることは大変です。お袋は大阿闍梨(おおあまじゃり)まで行きましたけど、あそこまで行くとなると片手間はできません。本業にしないと。それは自分には無理なので僕はできる範囲のことをします。
水元さんは「視えない世界」についてどう捉えているんでしょうか?
自分が体感してしまったので、あるのかな?と思います。生まれつき歩けない人がお袋の元へ来ると立つんですよ。見ていてこっちが感動します。その子を連れてきた親もお袋も感動して泣いているんです。それを目の当たりにすると、視えない世界はあるのだと思います。
霊的なことと人の幸せは関係していると思いますか?  俺はあると思いますね。何かが憑いているから、とかそういうことじゃなくて先祖を大切にした方がいいと思います。自分が死んだときに誰もお墓参りに来なかったらやっぱり悲しいじゃないですか。なので、それだけでもした方がいいと思います。お墓参りしてない人っていいことないでしょ?(笑) 自分に子どもや孫ができてもお墓参りをする習慣だけは絶対に守らせたいですね。いま自分があるのも先祖のおかげですから。ルーツだけは大切に!
大不況で明日に希望を見いだせない方も大勢います。そんな方々に何かメッセージを。
やっぱり諦めないことでしょうか。一つのことを諦めたときが終わりなのだと思います。俺は何回も諦めてきましたし、困難な道があったら楽な方ばかりを選んできました。でも今は困難な道にしか行きません。どちらが正解かはわかりません。楽な道を行くことが本当は正解だと思います。無難じゃないですか。たとえば今の職業が「ただやっているだけ」の人もいれば「ここが自分の居場所だ」と思っている人もいる。昔は楽だと思って全部逃げ道ばかりを選んでいましたが、振り返るとすべてが裏目に出ます。絶対に無理と思うことでも「やれます、できます」と先に言ってしまう。近道しているつもりが回り道しちゃいましたね。いま引きこもったり自殺する方も多いですが、そんな勇気があるならなんでもできるはずです。諦めなければ誰かが助けてくれますよ。助けてくれと言っているのとは違いますが、困っている人がいたら何かできるはず。俳優になりたい人なんて五万といるなかで俺が俳優になれたんだから。でも何にもなれない人はそれぐらいの気持ちですよ。死ぬ気でやればなんでもできます!
デビューして4年で主演は凄いですね。
お陰様でVシネに48本出演し、テレビ、映画、その内主演が10本。なんでそんなことができたのか、本当に不思議です。しいて言うならバイタリティでしょうか。食らいつきましたね。人が絶対にしないようなことで顔を覚えてもらおうとか。礼儀正しく接するとか。普通にしていたら人に好かれていて……それはお袋が「誰と会っても敬語で話しなさい、ニコニコしなさい、おじぎをしなさい、不満は言わない」と小さい頃からずっーと言われました。昔はうるせえなと思っていましたが、言われたことは忘れません。そのおかげで本当にいろんな方に助けられています。そうじゃないとスタッフとの関係など成り立たないです。「あいつヤダ」と思われたらもう次はありません。主役をいただいてもいつダメになるかわからない稼業ですから、生涯天狗にならないことが目標です。Vシネが大好きだったので、まさかこ横浜港開港という大きな映画に出させていただけるとは思っていませんでした。今回の「弁天」でも主題歌を歌わせていただいて嬉しい限りです。
映画の内容と水元さんの役所を教えてください。
横浜港開港150周記念の映画です。横浜の海を埋め立て、横浜港を開通させた浅野総一郎という人物を演じます。以前に1部、2部、3部と公開した作品でその時に、準主役と主題歌で出演し、今回は主役で声をかけていただきました。この映画で伝えたいことは「バイタリティさえあれば、転んでも転んでも起き上がれるぞ」ということ。150周年記念なので当時の歴史も織り交ぜ、少し難しいと感じる部分もあるかもしれません。でも僕らが伝えたいのは“夢に向かってやればなんでもできる”ということです。
公演が楽しみですね。貴重なお話を聞かせていただきましてありがとうございました。
●みずもとひでじろう 1975年9月30日。熊本出身。
ビデオ映画「誇り高き野望」でデビュー。俳優のほかに歌手として主題歌も多く担当。 
水元秀二郎公式ホームページ   www.hidejiro.info
●横浜開港150周年記念映画「弁天通りの人々」 
●出演:水元秀二郎、加護亜依、杉本彩、三原じゅん子、小川眞由美、哀川翔
●公開日: 
  ○4月29日~5月6日 神奈川県民共済シネマホール 
   10:00~、12:45~、15:30~(予定) 
  ○5月9日~5月29日 富山市 シアター大都会(1日3回公演)
  ○5月16日~5月29日 シネマート六本木(1日2回公演予定) 
  ○5月23日~6月5日(予定)ムービックス本牧(1日2回公演予定) 
●問い合わせ先:(株)ドロッオブスター 03-5478-1111