〜 地中海の宝石・マルタ『奇跡の教会』を訪ねて 〜 感情美人への道Vol.110

各地から訪れる人が絶えない、マルタにあるパワースポットをご紹介します。

マルタ共和国とキリスト教

前回「心のクレンズ」の旅先としてご紹介したマルタ共和国。
この美しい国には、東京都23区の半分ほどの面積の中に360ほどの教会があります(マルタの首都バレッタには、約900m×630mの空間に、実に25を越える教会が建っています)。

マルタ共和国とキリスト教の関わりは、西暦60年頃にエルサレムで捉えられた聖パウロを乗せた船が、マルタの小さな島に座礁した頃から始まります。

以来16世紀に対オスマントルコ帝国との激戦で絶体絶命に追い込まれた時も、キリスト教への信仰と「戦いで死ねば全ての罪は完全に許される」という法王教書を支えに徹底抗戦し、聖ヨハネ騎士団と島民は見事勝利を治めました。
今回は、国民の98%がキリスト教というマルタで、特に美しい教会と奇跡を起こすと呼ばれる教会をご紹介しましょう。

 

美しい教会1:聖ローレンス教会

まずは、16世紀に起きた大包囲戦の最中も騎士達が祈りを欠かさなかったという『聖ローレンス教会』をご紹介しましょう。

この教会は、聖ヨハネ騎士団の総合司令部があったビルグという小さな半島に建っています。
1571年までの40年間、聖ヨハネ大聖堂が完成するまでは、騎士団の修道教会として重要な存在でした。
大包囲戦でトルコに勝利した1565年9月8日は、この教会を始めマルタ島中の教会の鐘が鳴り響いたそうです。
今も地元の人達がお祈りのために足繁く通っています。

 

美しい教会2:勝利の女神教会

聖ローレンス教会の対岸にあるのが、次にご紹介する『勝利の女神教会』です。
先のマルタ大包囲戦の勝利に感謝し、聖母マリアに捧げられた教会になります。
マルタ十字をあしらった赤と白のステンドグラスと、明るい水色をベースにした天井画に、ドームの天窓から光が射し込む様はまさに「神々しい」のひとこと。

 

奇跡の教会1:モスタドーム

マルタで起きた『奇跡』を語るのに外せないのが『モスタドーム』です。
マルタの旧首都・イムディーナから3kmほど離れた場所にあるこの教会には、世界で3番目に大きいとも言われる直径37mを超えるドームもあります。

この教会で奇跡が起きたのは、1942年4月9日。
この日、教会のドームを突き破ってドイツ軍機が放った500kgの爆弾が、300人の群衆の中に向かって直撃しました。
しかし爆弾は爆発せず、なんと怪我人もなし! 爆弾のレプリカは今も教会に展示されているのですが、かなりの大きさです。
これが爆発しなかったとは、本当に信じられません。

 

奇跡の教会2:タ・ピーヌ教会

最後に紹介するのは、マルタの北方ゴゾ島にある『タ・ピーヌ教会』です。
田舎にぽつんと建っている何の変哲もない教会なのですが、ここはローマ教皇も訪れ、世界各地から巡礼者が絶えない有名な教会です。

元は16世紀に建てられた小さな教会だったのですが、1883年に近所の農婦が聖母マリアの声を聞いて奇跡が起きて以来、たくさんの奇跡が起きるようになったそう。
現在も教会の壁には、信者からの感謝の手紙がたくさん飾られています。

正直私は実学の人間なので、こういった「奇跡の話」を聞いても頭から信じません。
ところが私が娘とこの教会を訪れた時の事。後方の明るい色の椅子に腰掛けていて、「そろそろ行こうか」と立ち上がると、掛けていた椅子の真ん中に赤茶色の1ユーロセントコインがぽつんと置いてあったのです。

財布は鞄の一番奥にしまってあるので、財布からコインはこぼれ落ちません。
元から置いてあったとしても、椅子の色とコインの色は明らかに違うので、あえてコインの上にドカンと腰掛けるような事はしないでしょう。
見落としていたと言われればそれまでですが、私と娘はこのコインをお守りとして大切に持っておくことにしました。

 

まとめ:

ここに挙げた以外にも、マルタには溜息が出る程美しい教会が街の至る所にあります。
地中海の真ん中に位置するマルタは、イスラム教を信仰する軍隊がヨーロッパへ侵攻する際、キリスト教側にとって最重要な砦でもありました。
16世紀の大包囲戦にキリスト教側が勝利した9月8日が聖母マリアの誕生日の祝日だったのも、偶然ではないのかもしれませんね。

参考文献
『まるごとマルタのガイドブック』亜紀書房 林花代子
『地球の歩き方マルタ』ダイヤモンド社
『マルタ島大包囲戦』元就出版社 アーンル・ブラッドフォード

 

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