〜 地中海の宝石・マルタ島で心をクレンズ 〜 感情美人への道Vol.109

自分を見つめ直す「マルタ旅」

マルタ共和国は、その美しい街並と景観から「地中海の宝石」とも呼ばれます。
しかし歴史を紐解くと、「ヨーロッパとアフリカの間」という軍事的に重要な位置にあったため、多くの争いの舞台にもなりました。

今回は、このマルタ島について、その魅力をご紹介したいと思います。

 

魅力1:世界遺産の首都『バレッタ』と騎士団ゆかりの『スリーシティーズ』

マルタの首都バレッタは、全長およそ1km・幅およそ800mほどの中世の『城塞都市』です。
バレッタは、16世紀に繰り広げられた対オスマントルコ防御戦『マルタ大包囲戦』を経て、更なるトルコ軍の脅威に備えて聖ヨハネ騎士団の本拠地として新たに建設されました。
グランドハーバーとマルサムシェットハーバーという2つの良港に挟まれた半島の地形を、上手に活かした作りとなっています。その形が、そのまま現在に残っているのです。

街の中心リパブリック通りには、ファーストフード店から映画館まで色々なお店が軒を連ねていますが、街を構成するのは中世以降に建てられた歴史的建造物です(第二次世界大戦後修復された物もあり)。

大包囲戦を支えた『聖エルモ砦』を始め、『騎士団長の宮殿』『聖ヨハネ大聖堂』16世紀の宮殿『カーサ・ロッカ・ピッコラ』、マルタで最高建築の1つとされる『オーベルジュ・ドゥ・カスティーユ』など、どこに視線を向けても絵になる空間が広がっています。

バレッタから対岸のスリーシティーズには、水上タクシーで数分です。
ここにも、聖ヨハネ騎士団の本拠地があった『聖アンジェロ砦』や、大包囲戦時も騎士達が祈りを欠かさなかったという『聖ローレンス教会』など、見所がたくさんあります。
バレッタが碁盤の目のような作りになっているのに対し、スリーシティーズは細く曲がりくねった坂の多く、情緒ある中世の街並が広がります。
このエリアには、聖ヨハネ騎士団のオーベルジュ(寄宿舎)も点在しているので、路地裏散策するだけでも新たな発見がありますよ。

 

魅力2:世界屈指の透明度を誇る海

マルタの魅力は歴史と文化遺産だけではありません。
もう1つの大きな魅力は海です。
皆さんは、海の透明度があまりに高いためボートが空中に浮いて見える「フライングボート」という言葉を聞いた事がありますか?
この写真が撮れるのは、マルタ島からフェリーで15分程の距離にあるコミノ島の『ブルーラグーン』という場所です。
一口に透明度が高いと言っても、その色は透き通るような水色から、濃い藍色、乳白色を混ぜたような柔らかな水色、エメラルドグリーンのような緑がかった色など様々。

このコミノ島だけでなく、マルタ島には『セントピーターズプール』や『青の洞窟』など、数え切れないほどの美しい海岸線に囲まれています。
夏の間は、ヨーロッパ各地から多くの人がバカンスで訪れます。
マルタ島の北東にあるゴゾ島も、ダイバーの聖地として知られています。

 

魅力3:静寂を楽しむ

マルタにも当然賑やかな場所があり、アメリカや日本と変わらないショッピングモールや洗練されたレストランなどたくさんあります。
一方で、静寂を楽しめるのもこの国の大きな魅力です。

バレッタに首都が置かれるまでマルタの首都だった古都『イムディーナ』は、静寂の街とも呼ばれています。
城塞に囲まれた中世の街並は、狭い路地が入り組み、まるで映画のセットのようです。
夜にはその美しさがさらに際立ちます。

イムディーナまで行く時間がない場合は、早起きしてバレッタで朝日を見に行ってみましょう。
昼間は観光客でごった返している場所でも、朝はほとんど人がいません。
地中海から昇る朝日に照らされた城塞都市が、教会の鐘の音と遠くに聞きながら明るいオレンジ色に染まって行く様子には、思わず溜息が出ます。

 

まとめ:

日本から直行便もなく、行くのに丸一日かかるマルタ。
でも訪れた多くの方がその魅力にはまり、リピーターになってしまうそうです。
観光のベストシーズンは、地元のタクシー運転手の方いわく「花が咲き乱れる5月」。
7月8月はビーチを楽しむ方には最高の季節ですが、いかんせん暑過ぎるので(私が行っていた時期は毎日35度程ありました)、これから秋にかけては観光に適した良い時期です。

もし数日お休みが取れれば、思い切ってマルタに旅してみてはいかがでしょうか。
日本とは全く違った風景や文化の中に身を置く事で、毎日の生活で貯まってしまった心の澱をクレンズできる事でしょう。

参考文献
『まるごとマルタのガイドブック』亜紀書房 林花代子
『地球の歩き方マルタ』ダイヤモンド社
『マルタ島大包囲戦』元就出版社 アーンル・ブラッドフォード

 

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