さらに体質改善も行っていきます。疼痛や痙攣など、神経などの機能が過敏に反応しているのを抑えたり、逆に知覚鈍麻や運動麻痺といった機能が弱っているものを鼓舞させる「調整作用」。
血行障害の見られる局所に健康な部分から血流を誘導したり、逆に充血や炎症を起こしている局所から、健康な場所に血流を誘導したりする「誘導作用」。
神経の反射を利用し、組織や器官の機能を調節する「反射作用」、炎症を治癒させる「消炎作用」、身体の防衛能力を高める「防衛作用」、自律神経失調症やアレルギー体質を改善する「転調作用」など、これらの作用を患者様の状況にあわせて組み合わせて使っていきます。
——非常にさまざまな角度からアプローチしているんですね。では、基本的な部分ですが鍼灸、つまり「鍼」と「お灸」はどのように使い分けているのでしょうか?
「使い分けは、患者様個々の状態によって違ってきます」。ですので、同じ個所に鍼とお灸両方行うこともあります。その上で、全てではありませんが、「筋肉や神経の痛みには鍼、内臓や全身性はお灸」というように使うことが多いです。
鍼は、皮膚の中に入れて、ピンポイントで刺激したい部分を狙うことができますし、お灸は、皮膚表面に置いて身体の中から出てくる反応に使うというように、それぞれの良さと特色が存在しています。
——鍼とお灸の効果の違いについてもう少し詳しく教えてください。
鍼の効果は、ぎっくり腰や捻挫のような急な痛みから、肩こりや神経痛のような慢性的な痛みまで、「様々な痛みを抑えるのに即効性」があります。
また、身体を守る為に働く細胞である白血球を増やし、免疫力を高める手助けをしてくれますし、アレルギー体質の改善や継続治療をすることによって、血糖値のコントロールにも効果をあらわします。
お灸は、「内臓からくる痛みや、全身性の疾患、各臓器機能・代謝改善などに効果的」です。また、身体の深部まで温めることで、白血球を徐々に増やしますので、この場合は、数日間効果が持続します。お灸にもぐさを使用する場合は、蓬の効果である鎮静作用も働きます。
【自分で予防することで笑顔が得られる】
——それぞれの特色が良くわかりました。ところで、予防コースでは、自宅に帰ってから自分で鍼やお灸を行うこともあるということですが、自分でやるのはちょっと怖い気がするのですが大丈夫なのでしょうか?
はい、大丈夫です。自宅で安全に鍼治療が行えるように
当院でささない鍼を開発しました。いつでも気軽に鍼治療が行えるので
とても便利な商品です。現在特許も出願中です。
お灸は、マイルドな刺激のものでおすすめしています。また患者様自身でお灸をしやすい、手や足のツボを提案させていただいています。
このように、鍼灸も家庭で気軽に安全にできるものをご指導させていただいております。また、道具を使わずに気になる箇所に対応するストレッチや動き、刺激するべき身体の個所を提案させていただいています。
——予防だからこそ、日々、自宅でできるような手法を色々と提案して貰えるというのはとても嬉しいですね。最後に、予防コースで印象に残ったエピソードなどがあったら教えてください。
予防コースを受けられた方が、治療を受けるのではなく、ご来院されてお野菜や果物をプレゼントしてくれるということが何度かありました。「予防法を続けているので、体調が良く、治療を受ける必要がなくなってしまった」という嬉しい理由を笑顔でお話いただいたことが忘れられません。
——ロングインタビューは次回に続きます。——