春といえば、新生活。
新しい環境になったり、これから、新しい世界に飛び込むという方も多いのではないでしょうか?
そんな春を迎える前に、ずるずると引きずっている「悪い縁=悪縁」を断ち切ってみませんか?
悪縁とは元々仏教用語であり、よくない縁、すなわち悪い結果をもたらす原因となるものを指していました。
しかし、現在ではなかなか断つことの出来ない人間関係、好ましくない人間関係を指して言うことの方が多いようです。
いつの時代も男女の縁や、人間関係に関する悩みはあったようで、悪縁を断ち切る御利益があるというお寺や神社は全国に無数に存在しているのですが、今回はそんな中でも、有名どころがそろっている京都にスポットを当てたいと思います。
まず最初に紹介するのは「鉄輪の井戸(かなわのいど)」。
夫に捨てられた女が、その愛人を呪い殺そうとした末に鬼となり、陰陽師によって呪いを返された結果、自宅の井戸に身を投げて死んでしまったという伝説から生まれたのが、この井戸。
エピソードは不吉なのですが、それだけの怨念がこもっているということもあり、縁を切りたい相手にこの井戸の水を飲ませると、どんな縁でも切れると大評判となりました。
現在ではすでに井戸の水は涸れてしまっているのですが、鉄輪の井戸自体は「命婦稲荷社」として残っています。近くに井戸はありますが、そちらは伝説のものではないということですので、
ペットボトルなどの水を命婦稲荷社に持って行って、井戸の上に置くことで、
場のエネルギーが転写されて、同じ効力があるともいわれています。
同じように呪いの末に鬼となった女性を祀っている神社も縁切りに効果的といわれています。その神社とは「橋姫神社(はしひめじんじゃ)」。
こちらも同じように、女性が捨てられた男を呪ったのですが、こちらは無事(?)に呪殺を成就して、いつしか橋姫として祀られるようになりました。
元々、橋姫というのは、名前の通り橋の守護神だったのですが、嫉妬深いということから、呪いを行う女性と同一視されたのでしょう。
橋姫神社は小さくて素朴なお社があるだけですが、宇治橋を守るだけでなく、女性を悪縁から守り、断ち切ってくれる御利益があるとして有名になっています。
基本的に悪縁切りというと、女性が主役のようですが、珍しく男性がメインとなっている場所が「菊野大明神(きくのだいみょうじん)」。
こちらは小野小町に恋い焦がれて、百日通うという約束をしたものの、あと一日で思いが叶うというところで亡くなってしまった、「深草少将」という人物が腰掛けたとされる石がご神体となっています。
想いがあと少しで届かなかったという無念が込められたこの石には、男女の縁を切る力があるといわれており、霊石を祀る祠には、恨みのこもった手紙や、髪の毛、さらにはわら人形が置かれるなど、非常に多くの人から信仰を集めていました。
現在ではお堂が改装されたために、そのような不気味なアイテムは姿をひそめているようですが、今でもお堂には多くの人たちの並々ならぬ念が渦巻いているといわれているのです。
そんな人々の縁切りへの強い念が目に見える場所として有名なのが「安井金比羅宮(やすいこんぴらぐう)」。
京都の縁切りスポットでも一番の知名度を誇るこの神社の名物は、なんといっても「縁切り・縁結び碑」。
穴を表から裏にくぐると「縁切り」、裏から表にくぐると「縁結び」の御利益が得られるとされており、そのまわりにはびっしりと願いが書かれたお札が貼り付けられています。
こちらの縁切りパワーの源は「崇徳天皇」。不遇の末に死した後は、大怨霊となって朝廷を呪い多くの被害を出したと言われており、その呪いパワーでいえば、橋姫や鬼女などは足下にも及ばないほどの存在です。
そんな崇徳天皇が流刑になった際に、自分の中にある欲を断ち切るために、讃岐の金刀比羅宮で仏教に帰依したことが由来で、悪縁を断ってくれるというようになっているようです。
もちろん、前述した深草少将に比べても遙かに無念をもった人ですので、そのあたりのパワーも充分にあります。
どのスポットも人の怨念、無念といったものが渦巻いている場所ではありますが、
だからこそ、悪い縁をしっかりと断ってくれるのでしょう。
どうしても辛い想いがあるのでしたら、そういった念を自分から切り離して、縁切りスポットに置いてきてみて下さい。
そうすることで、しっかりと悪縁が切れて新しいスタートが切れるはずです。
■今回紹介したスポット一覧
鉄輪の井戸(かなわのいど)
京都市下京区堺町通松原下ル鍛冶屋町
橋姫神社(はしひめじんじゃ)
京都府宇治市宇治蓮華47
菊野大明神(きくのだいみょうじん)
京都市中京区河原町通二条上ル清水町364-1法雲寺内
安井金比羅宮(やすいこんぴらぐう)
京都府京都市東山区下弁天町70