像の多さは日本一、大人気のお地蔵様が得た新たな姿

日本にある仏像で最も数が多いのは? そう『お地蔵様』です。今回は人気の高い『お地蔵様』についてのお話しです。

【お地蔵様がもたらす御利益】

色々な要素をもっているお地蔵様ですが、そんなお地蔵様に関する経文には、その御利益が書かれているものもあります。「地蔵菩薩本願経」というお経によると、お地蔵様を信仰することで、「28種類の御利益」を得られるというのです。

その御利益は「衣食に不足しない」「水難火難にあわない」「病気にかからない」といった基本的なものから、「容姿を麗しくする」「楽しい夢を見る」というかなり即物的なもの、さらには「前世の智恵を活用する」「素質や能力が開花する」「絶対的な悟りを得る」といったスピリチュアルなものまで多種多様であり、お地蔵様にさまざまな属性が付与されるわけがわかります。

6道をまわるというだけあって、人間だけでなく、「天竜や鬼神といった存在」にもお地蔵様は御利益を与えるとされており、そちらは「7つ」と人間向けよりは少ないのですが、「聖地へと導く」「悪行をすべて消滅させる」「すべての前世を知る」となかなか、パワフルなものとなっています。

ベーターさん(12.05.)115727914

 

【境界を守護するお地蔵様】

こうした多くの御利益で人気が出ただけでなく、その名前とさまざまな世界を渡り歩くことから、お地蔵様は「境界を守護する存在」とされていました。

現代ではちょっとわかりにくい感覚ですが、一生を小さな村の中で終えるのが当たり前だった時代には、「道」や「道と道が交差する辻」というのは、「別の世界からの存在を運んできてくれる場所」とされていたのです。

村の外から来る人たちは、ある意味では「別世界の存在」だったといえるでしょう。そういった場所を守り、悪い物が入ってこないようにするために、村の入り口や辻などには石で作られた「道祖神」が置かれていました。

これが、いつしか大地を意味し、様々な世界を歩くお地蔵様と結びついて、「お地蔵様が村を守り悪いものを寄せ付けないような役割も持つ」ようになったのです。これが、さまざまな場所でお地蔵様をみかける理由のひとつとなります。

ベーターさん(12.05.-2)302314841

現代では、移動速度が当時とは桁違いにかわったために、道と境界の概念は薄れてきていますが、それでも、なにか「不吉なことがあった場所」や、「事故が起きた場所」などにはお地蔵様が祀られることがあります。

とはいっても、石仏を作るのも設置するのにも、なにかと手間がかかるのも事実です。そんな状況を変革するよな新しい形にお地蔵様が登場しました。

 

【現代のお地蔵様の形】

それは、「カラーコーン地蔵」。

工事現場などでよく見かける「カラーコーン」に、立体的にお地蔵様が浮き彫りにされたものです。名前だけ聞くとなんだか冗談みたいに思えるかもしれませんが、物理的にその姿で道を守り、人々の安全を確保しているカラーコーンに、古来から道を守ってきたお地蔵様をくわえるというのは、なかなか素敵な発想といえるでしょう。

また、石仏に比べると持ち運びが便利ということもあり、自宅の駐車場を守って貰う存在として使うというのも面白いかもしれません。

時代が変わって、守る場所が変化してきても、それでも変わらぬ慈悲の心で、私たちを見守り、御利益を授けてくれるお地蔵様。今度は、石仏ではなく、カラーコーンという形で、あちこちで見かけるようになるかも知れません。

A large number Jizo.
New Jizo of form.

 

《ベーター(くん)さんの記事一覧はコチラ》