☆美味しい糠床の作り方とは 〜簡単本格糠床講座シリーズ 正月休暇編

カビは低温でも繁殖しましたので、冷蔵庫においておいても繁殖は防げません。 そこでカビが発生する要因を排除する、という事をやります。

前回は水加減と塩加減という、糠床に限らず漬物全般にも言える非常に重要な点を書かせて頂きました。今回は糠床管理正月休暇編という事で、長期休暇における糠床管理の注意点やコツなんかを少し書かせて頂こうと思います。

まだお仕事の方も、これからお休みされる方もおられると思いますが、糠床は年中無休です。
正月ぐらい休んでくれたらいいのに、と心底思う時ですね(笑)。

 

☆この時期一番怖いカビ

糠床管理で最も怖い状況ワースト1位、2位を争っているのが、カビと虫です。
虫は寒いとあまり出ないのでこの時期はあまり心配しなくても良いのですが、カビは気温が低くても発生します。
しかも、一回発生するとそこから胞子を出してどんどん増殖していき、最終的にカビで糠床が覆われてしまう、という最悪の事態に陥ってしまいます。

当然、毎日混ぜたり、管理をしていればカビの発生をいち早く発見出来るので、そこで処理すればなんの問題もないのですが、問題は長期間糠床を触れない場合です。
この事に関しては以前、無謀な実験をした事があります。

 

☆乳酸菌が満タンであっても関係の無いカビ

菌とカビというのはどちらも目に見えない存在なのですが、似たような振る舞いをします。
というより、この振る舞い自体は生命体として当然の事で、動物も植物も人間も同じなのですが、繁殖速度なんかは人間の時間では想像を絶する速さがあります。

無謀な実験というのは、まず乳酸菌で一杯の、他の菌が入り込む余地のない糠床を作り、それを一か月一切触れずに冷蔵庫に放置しました。
結果は、カビだらけでのまさに地獄絵図と化しました。
こうなると捨てるしかない、という状況です。
休暇先から帰って蓋を開けたらカビだらけ、という最悪の事態ですね。

 

☆長期休暇の糠床は家を出る前に決まる。

カビというのも菌と同様、そこに繁殖する余地と環境があればいくらでも増えます。
目に見えないのですが、そこにカビがいる可能性、という事が何より見るべき状況です。
カビそのものを根絶しようとしても、これは空気中に無数にいるのでほぼ不可能で、こちらの対策としては、カビがいたとしても「繁殖の余地と環境を与えない」、という事が大切になります。

カビは低温でも繁殖しましたので、冷蔵庫においておいても繁殖は防げません。
そこでカビが発生する要因を排除する、という事をやります。

まず最初にカビが発生し始めるのが、「容器に着いた糠や水分の箇所」です。
この部分にカビが発生する栄養と環境が整っています。
よって、「容器を徹底的に綺麗に拭く」というのが先ず重要な点です。
拭く時に、「酢を軽く含ませた付近やティッシュ」で容器をふき取ります。

こうする事で、ついていたカビを殺し排除する点と、新しいカビが付きにく環境を作ります。
その後水分を完全にふき取ります。

容器の蓋の溝などはふき取りにくい箇所ですから、ここは水洗いした後で上記の処理を行ってください。そしてお出掛け前には、糠床をちょっとしっかり目に混ぜて、「必ず冷蔵庫」に入れておいてください。そして塩分が大きく変わらない範囲で、パラパラと糠床の上から塩を撒いておけばさらに良いと思います。

当然、糠床によってカビの発生しにくさ(塩分等)によって変わってくるのですが、今回は長期休暇という事で書かせて頂きました。これは基本的な糠床管理でも充分に使えますので、是非出かけられる前に充分手入れしてお出掛け下さい。

皆様、良いお年をお迎え下さい。

 

京都で創業明治5年の漬物屋「井上漬物店」
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