令和5年12月メッセージ — 崩壊と混乱で地球が震える中、私たちは最後の仲間と互いの未来を照らし合う松明(たいまつ)に安息を得る

12月

隆盛を誇った組織の崩壊、カリスマの退場と社会が揺れる中で……七赤金星12月は、信ずるに足る権威、権力に頼らず誠実に自立することを決心する時

早いもので、今年も最後の月を迎えました。今年あったことを振り返ると、強大な権威、権力、人気を備え命脈を保ってきた組織の不祥事が相次いで報道され、多くの人々を惹きつけたカリスマが続々と引退、死去等で表舞台を去るなど、社会に大きな動揺が走った一年となりました。

戦後の芸能界で数多の男性アイドルを輩出し重きを成した芸能事務所は、創業者の性加害が露見し、あっという間に廃業に追い込まれました。関西を地盤とする著名女性歌劇団は、劇団員のパワハラによる自殺で、一世紀に亘るその“闇”が、炙り出されています。人気作家を理事長に据え再起を図った某有力大学は、不祥事の続発と内紛で私学助成金が交付されず、その零落に歯止めがかかりません。また、戦後日本で大きく勢力を伸ばした新興宗教が激しく糾弾され、相次いで教祖や代表者が他界するなど、多くの人にとって心の拠り所であったであろう“信仰の対象”が、消え去った年でもありました。自然災害に目を向けると、熊による人間への襲撃被害が、例年になく数多く報告された年としても記憶されます。

これらの事象から私たちが今後為すべきことは、“巨きなもの”に寄り掛かるのではなく、自分の二本足でしっかりと立って、“徳”を積み自身の波動を上げることと言えます。来年は、日本を取り巻く環境が、より一層、厳しい年となるかもしれません。心から信頼し合える友人、仲間と手を取り合い、しっかりと誠実に、自らの力で生き抜いてゆくという決意を、新たにする年末としたいものです。

大雪を迎える12月7日、月運が八白土星から七赤金星に移ります。七赤金星は、“沢”を表す星です。沢は水、潤いのイメージですので、歓楽、遊び、お酒との縁が強調されます。また一方で“邂逅の喜び”、“恋愛”、“接吻”“有終の美”といった面も強調されます。

今月は、厳しい経済状況の中でも年末ということもあり、忘年会やクリスマス商戦などで享楽的なムードが、世間を覆いそうです。夜の歓楽街での、気分が高揚しての飲酒を伴うトラブルには注意したいものです。一方で、“邂逅の喜び”“接吻”の意味もあるように、先月からの流れでここ数年関係が途絶えていた異性の友人と再会したり、長い友人関係だった男女が突如親密な関係となったり、長くつき合ったカップルが漸く結婚に辿り着くなど、喜ばしい出来事もありそうです。

12月の月運の干支は、“甲子(きのえね)”。今月は、冬の寒さに耐えながら春を待つ樹木のように、来年に向けて希望をもって生きてゆく雰囲気を、皆が纏うようです。六十干支の一番最初を指す干支であることもあり、自ら積極的に行動し仕掛けてゆくことで良い結果を得ることができるでしょう。新年を前に、財布を代えるのも良いかもしれません。また、大黒天に一年のご挨拶をしておくと、来年は想像以上にバックアップを頂けるかもしれません。

二十八宿は“氐宿”。今月は負けず嫌いになり、目的を達成する為には手段を選ばないといった雰囲気となりそうです。その為に、周囲から反発を買ったり、軋轢を生む可能性もあるかもしれません。また、水場には、近づかない方が良い暗示が出ています。川や湖、海での事故には特に注意です。

重要な契約や勝負事に関しては、大安の2日、8日、13日、19日、25日、31日、一粒万倍日の5日から8日、19日、20日、31日に設定すると良いでしょう。デートや告白、プロポーズを考えている方は、上記の日を選びましょう。なお、今月の暗剣殺は西となるので、この方位への旅行や出張等は極力控えましょう。ただ、1日からは天一天上に入るので、16日までは家の掃除さえしっかりしておけば、方位に障りはありません。

誰もが街で鳴り響く聖なる鐘に希望を重ねる12月 — 最後に残った家族同然の仲間と、来年に向けて夢を暖め合う年の瀬を

西洋占星術の観点で言えば、引き続き冥王星は山羊座に年明けまで滞在しています。これまで盤石の基盤、勢力を誇っていた巨大な企業、組織が大きく動揺し、急速に社会から見放される時です。先月は自民党の政党支持率が、平成24年の政権復帰以来最低の数字を記録しました。地方選挙でも連戦連敗が続き、また党内では公認を巡る内紛や主要派閥のパー政治資金不適切処理問題が露見するなど、盤石だった政権基盤が揺らぐ状況となっています。

今月も様々な大組織の“闇”が炙り出されてゆく流れは、止まらないでしょう。5日には、恋愛と美の星・金星が蠍座に移動(~12/30)。今月は、高額のローンや借金の問題、またクリスマス前の衝動買いや無駄遣いなど、“お金”の問題には特に注意した方が良さそうです。また、恋愛面は道ならぬ不倫や秘密の恋が始まってしまう可能性があるので、十分に用心をしましょう。6日には、魚座の海王星が5ケ月ぶりに順行に転じます。これまで温めてきた夢や希望、やりたかったことを現実に落とし込み、行動する時です。来年に向け綿密に行動を立て、実現のために必要な“縁”を、繋いでゆきましょう。

13日8時32分には、射手座で新月を迎えます。ペンディング中だった案件、休眠中だったプロジェクトが動き出す時。また、停滞していた人間関係が、復活する時でもあります。同日16時過ぎには、山羊座の水星が逆行を開始するので、再び自分の許に戻ってきた嬉しい出来事と来年への希望に満ちたワクワク感で、心躍るような展開の年末となるかもしれません。新しい時代への胎動を間違いなく感じる時となりそうです。ただ、コミュニケーションの行き違いや交通機関の乱れには注意しましょう。

22日には冬至、そして太陽が山羊座へ。そして27日9時33分の蟹座満月(コールドムーン)のテーマはズバリ、“家族”、そして“仲間”。今年は、多くの人に人間関係のふるい落とし、大幅な入れ替えが起こったかと思いますが、それでも最後に自分の近くに残ってくれた大切なソウルメイトに、感謝の気持ちをしっかりと伝えながら、来年への希望を語り合う時間を過ごしましょう。厳しい寒さの中でも、笑顔と楽しい会話の中で心を暖め合う、年の瀬となりそうです。

クリスマスを控えた街は、今年も眩いイルミネーションで、去り行く年を華やかに彩っています。それは同時に、ロマンティックで、燃え上がるような“愛”が生まれる季節の到来を、告げています。人間の歴史が続く以上、“愛”はいつも、永遠のテーマです。日本で初めて、“愛”という言葉を使って詩を書いたのは、石川啄木(1886~1912)だと言われています。年内最後となる本稿では、今年も1905(明治38)年に啄木が発刊した処女詩集『あこがれ』に収められた、「人に捧ぐ」の最後の一節を引きましょう。

“峻(ここ)しき生命の坂路も、

君が愛の炬火心(たいまつ)心にたよれば、

黯(くら)き空に

雲間も星行く如くぞ安らかなる。”

(現代訳)

険しい人生の坂道を登る時も、

あなたの愛を松明にして、心の頼りにすれば、

暗い空の雲の間に星を見るように、私の心は安らかです。

啄木はこの詩を綴った7年後、僅か27歳の若さでこの世を去りました。そして、彼がこの詩を捧げた最愛の妻・節子も、啄木が世を去った翌年、彼の後を追うかのように、その生涯を閉じました。共に30歳にも満たなかった、余りにも短い生涯でしたが、その僅かな人生の瞬間の中で二人はめぐり逢い、そして互いを松明のように照らし合い、命の時間を、駆け抜けてゆきました。

啄木が生きた時代の100年後の世界を生きる私たちも、険しい人生の坂道を登る、魂で結ばれたお相手の行く手を、傍らで優しく、松明の如く照らし続けたいものです。必要なご縁と手を携えて、この激動の時代を、生き抜きましょう。

今年も一年、私のコラムを読んで頂き、誠にありがとうございました。それでは、良いお年を。



(了)

 

 

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