『暮らしに活かすアーユルヴェーダ~ 予防医学の時代 ~』

「予防医学(健康法)」と「病気の治療」はまったく異なるということです。この2つを混同してはいけません。 「予防医学(健康法)」は老若男女、概ね誰もが実践可能ですが、「病気の治療」は専門知識や経験を有する医師しかできません。

Trinity読者の皆さま、こんにちは。アーユルヴェーダ研究家の遠田優美です。

前回までのコラムでは、精神の健康法「サッドヴリッダ」をご紹介しました。
サッドブリッダは、健康な精神を作るための日常生活法です。

アーユルヴェーダの古典書には、サッドブリッダ以外にも、予防医学(健康維持・増進)に役立つ日常生活法がたくさん書かれています。

◆サッドブリッダ……精神・感覚器官の健康のための日常生活法
◆ディナチャリヤ……毎日の過ごし方
◆リトゥチャリヤ……季節ごとの過ごし方
◆アーチャーララサーヤナ……若返り(老化予防)のための日常生活法

古代に書かれ現代まで受け継がれた、これらの日常生活法の多くは、専門の知識や技術を持たない一般の人が無理なく実践でき、健康効果の高いものばかりです。

予防医学の時代であると言われる、現代を生きる私達にこそ必要な知識だと言えるでしょう。

 

健康寿命

現在、日本は世界一長寿の国です。

厚生労働省がまとめた2013年の「平均寿命」のデータを見ますと、男性80.21才、女性86.61才でした。

一方、「健康上の問題で日常生活が制限されることなく生活できる期間」を示す同年の「健康寿命」のデータでは、男性71.19才、女性74.21才となります。

つまり、人生のうち、男性は約9年間、女性は約12年間、健康に問題があり日常生活が制限される期間がある、ということがわかるデータ結果です。

また、政府統計の2014年度のデータを見ますと、国民医療費(病気やけがの治療で全国の医療機関に支払われた医療費の総額)は40兆円を超えており、一人当たり年間約32万円の医療費を使ったそうです。

参考までに、2014年度の一般会計税収は約54兆円ですので、国の税収の多くが医療費で消えていると見ることもできます。

このようなデータからも、私達はたくさんの時間とお金を、病気やケガのために使っていることがわかります。

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もちろん、誰しも生きていく中で、多少の病気やケガはつきものです。

ですが、限られた人生、できるだけ病気やケガを予防して、有効に時間やお金を使い、最後まで頭も心も肉体も若々しく、イキイキと人生を生きられたら、それは素晴らしいことだと思いませんか?

それを可能にするのが、一人一人が実践する「予防医学」なのです。