宇宙の中心で美しい天体を体感する〜天球儀の世界〜

「天球儀は知識の象徴」とされており、さまざまな絵画で「科学者や碩学が天球儀を手にしている姿をみる」ことができます。

【宇宙を模した天球儀】

「天球儀」というものをご存じでしょうか? 「地球儀」ならば知っているという方も多いと思います。外見的には地球儀と天球儀は比較的よく似ていますが、球体だけの地球儀と違って、多くの天球儀は球体をいくつかの「リングが取り囲んだ形」となっています。このリングは赤道や、黄道などを表しており、そこに惑星の象徴や星が刻まれています。

 

【古代の計算技術の結晶】

天球儀が作られたのは、今から「2200年以上前の古代ギリシャ」が最初だとされています。そんな古い時代に作られたにもかかわらず、その構造は複雑なものであり、単なる模型ではなく「厳密な科学的計算によって作られたもの」でした。元々は、天体を観測するための道具だったのですが、時代がたつにつれて、星座などが刻まれて「宇宙教育」の為にも使われるようになりました。

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【知識の象徴】

その中心には地球や太陽を象徴する球体が位置しているものも多くあり、これは地動説の時代でも天動説の時代でも天球儀が活躍していたことをあらわしています。精密な計算によって作られる天球儀は当時の機械装置としては、かなり複雑なものであり、他の装置の設計にまで影響を与えたといわれています。また「天球儀は知識の象徴」とされており、さまざまな絵画で「科学者や碩学が天球儀を手にしている姿をみる」ことができます。

 

【芸術性の高さも秘められた天球儀】

宇宙の映像すら高解像度で見ることのできる現代においては、天球儀は当初のような役割を果たすことはなくなり、宇宙に関する精密な計算はコンピューターによるシミュレーションにとって変わられていますが、「天球儀の芸術的な価値」というのは今なお薄れていません。

前述したように知識の象徴であった天球儀は、その複雑さゆえに高価なものであり、「富と権力の象徴」とされたこともありました。そのために、単なる模型ではなく、金や銀、銅などの金属を使い、緻密な彫刻が施された「工芸品のようなもの」も存在しています。そんな高い芸術性をもち、今ではなかなか見る機会のない天球儀を見るだけでなく、天球儀の中心に入った体験をすることのできる展覧会が現在開催されています。

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【天球儀をデジタル化】

「大日本印刷」が「フランス国立図書館」と共に、天球儀や地球儀の「3Dデジタル化」に取り組んだことを発端に、実際の歴史的価値のある天球儀や地球儀を展示するだけでなく、3D化された高精細なデジタル画像を拡大縮小して、細かく地球儀をみたり。さらに「VRヘッドセット」を使うことで、「天球儀の中心に自分が入り込んで、360度の星座を体感する」ことができるなど、歴史と先端技術が融合したイベントとなっています。

前期が2016年2月19日〜5月22日、後期が6月3日〜9月4日という比較的長い期間開催されていますが、「予約必須」であり、なおかつ、金曜日の18時〜21時と土日の10時〜18時しか予約できないということで、なかなかスケジュール的なハードルは高いのですが、宇宙に興味のある方は足を運ぶだけの価値がある展示会といえます。

 

【宇宙に関するインスピレーションを受けたい人は必見】

特に「占星術」などの、「宇宙に関するシンボリックな世界」を扱う人にとっては、中世の宇宙地図ともいえる天球儀と、その中心に入って星座を見るという体験は、かなり貴重なものになるはずです。多くのインスピレーションを受け取れるだけでなく、占星術に関する知識もさらに深い物となることでしょう。

入場料は無料となっていますので、興味のあるかたは「フランス国立図書館 体感する地球儀・天球儀展」にアクセスしてみてください。

It symbolizes celestial globe of knowledge.
Enter into the celestial globe.

 

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