病気になるかならないかは、自分次第? 〜インド生活『村上アニーシャのアーユルヴェーダ』Vol.33

アーユルヴェーダによれば、病気プロセスがどんな段階でも、それに呼びかけることはできますが、一度その病気プロセスが、胃腸管を超えて第三段階まで進んでしまうと、それはもはやその人のコントロール下にはなく、専門家の助けが必要となるといわれています。

病気の6つのステージ
~第二段階・ドーシャの悪化~

前回では、病気に至る第一段階のプロセス、あるひとつのドーシャが蓄積してマイルドな不調をもたらす「蓄積」についてお伝えしましたが、今回はそのアンバランスが中和されなかった場合の次の段階、「悪化」についてお伝えしたいと思います。

 

●第二段階:「悪化」

この段階は、蓄積して淀んだドーシャが今、食事、ライフスタイル、そして季節などの要因により、興奮した状態です。

アーユルヴェーダによれば、蓄積されたドーシャは、そのドーシャ独自の居場所(カファは胃、小腸はピッタ、大腸はヴァータ)でさらに積み重なり続け、それぞれの場所で満ち溢れるようになります。次に、カファは肺の中へ、ピッタは胃や胆嚢へ、そしてヴァータは脇腹へ、それぞれの居場所から移ろうとします。

この段階になると、症状は慢性的に起こるようになりますが、この段階でもまだ、感じられる不快感や落ち着かない感覚がまだマイルドなので、私たちはたいてい、これらの症状を無視したり、そのへんの薬局の薬で抑えつけようとします。

例えば、金曜の夜に、カファ質の食べ物をうっかり食べすぎたとします。土曜の朝起きた時には、まだ満腹感があり、「今日一日、断食するか、軽いものだけを食べて過ごそう」と決めた途端に、友人からランチの誘いが……。

結果、満腹感を感じつつも、さらにたくさん食べてしまうことになったとします。

その次の日、カファがさらに増しはじめ、咳や肺の詰まりのような症状を感じることになるかもしれません。同じようにして、ピッタが増した場合は、胸やけや胃酸過多の消化不良、むかつき、あるいはヴァータが増した場合は、脇腹や背中の真ん中が痛んだり、息切れといった症状が出るかもしれません。

ドーナツの食べすぎは×

 

★この段階でのそれぞれの症状例:

次のような症状が起こるとされています。

『ヴァータ』:
腹部の膨張感または痛み。腸内のゴボゴボ感。
浅い呼吸。慢性の便秘。頭のクラクラ・フラフラ

『ピッタ』:
胸焼け、胃酸過多または吐き気。腹部の灼熱感。
バイタリティの低下または不眠。

『カファ』:
粘液が過剰にたまる。鼻づまり、風邪、咳。
唾液分泌過剰。食欲が減る。心臓や頭が重たい。
寝すぎる傾向。

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病気のプロセスにおいて、この最初の第二段階までは、まだ治療が簡単な状態です。溜まったドーシャを中和するような食事や家庭薬をとることで、病気の進行プロセスを自分で裏返すことができ、それほど難しくなく再び健康に戻ることができる段階とされています。

ここで大事なことは、現れている症状自体を止めようとするのではなく、その症状が現れた原因となっている要因を止めること。

例えば、胸焼けがあるとします。
その症状を軽減するための手軽な錠剤を飲むかわりに、その症状を引き起こしている根源について考えてみます。するとふと、日頃、スパイシーな食べ物を食べ過ぎていたために、消化管の中に過剰なピッタ(熱)を作り出していたことに気づくかもしれません。そうとわかれば、食事をより刺激の少ないものに変え、ミントティーを飲み、ヨーグルトを食べる量を増やして、熱を中和することができます。

ミントティーでピッタを中和

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アーユルヴェーダによれば、病気プロセスがどんな段階でも、それに呼びかけることはできますが、一度その病気プロセスが、胃腸管を超えて第三段階まで進んでしまうと、それはもはやその人のコントロール下にはなく、専門家の助けが必要となるといわれています。

★次回は、病気プロセスの第三段階「蔓延」について、お伝えしたいと思います。

 

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