細胞を修復し、健康をもたらすヒートショックプロテインを有効活用するための入浴方法

江戸っ子のようにかなりの高温に一瞬入るだけでは、ヒートショックプロテインは増えません。「正しい温度管理と、しっかりとした体温調節」をすることで、より効率的にヒートショックプロテインを増加させ、そして必要以上の高温によって健康を損ねることがないようにできるのです。

【江戸時代は熱湯が粋だった】

あなたは、「熱いお風呂とぬるいお風呂」、どちらがお好みでしょうか? 「江戸っ子は熱湯でカラスの行水」という言葉があるように、江戸時代の人は熱いお湯に、少しだけつかってすぐに出るというのが、「粋」とされてきました。しかしながら、このような入浴方法は現代の科学的な見地からすると、「健康に害がある」とされています。

 

【熱いお風呂は健康に良くない】

江戸っ子に限らず、昭和の時代にはまだまだ、「熱いお湯につかることが疲れを取る方法」というイメージが強かったのですが、熱いお湯への入浴は体力を無駄に消費させるだけでなく、脱水症状を引き起こし、緊張状態をもたらすので、お湯の温度はぬるめの方がいいというのが、最近の常識となっていました。

デトックスやダイエットに向いているとして、多くの人が実践している半身浴はまさに江戸っ子とは正反対の入浴方法であり、ぬるめのお湯に身体の半分だけをつけて、時間をかけて身体を温めていくという手法です。

 

【見直されてきた熱いお湯の効能】

しかしながら、最近になって、また熱いお湯に入ることが見直され始めています。そのキーワードとなるのが「ヒートショックプロテイン」。言葉だけでみると、なんとなく怖いイメージがあるかもしれませんが、これはどのようなものなのでしょうか?

ヒートショックプロテインとは、「体内の傷ついた細胞を修復してくれる働きをもったタンパク質」。基本的に体内にある物質ですが、加齢と共に減少するだけでなく、細胞が傷つくたびに消費されるので、出来るだけ常に補給しておきたいものです。どのようにしたら、ヒートショックプロテインが増加するのかというと、名前通り「ヒートショック」、すなわち熱による衝撃を与えればいいのです。「身体が熱による衝撃を受けるとヒートショックプロテインが増加」します。

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【熱いお湯で体温を上昇させてヒートショックプロテインを増加させる】

熱、衝撃というとものすごいことをしなければいけないような気がしますが、簡単に言ってしまうと「体温を上げればいい」だけです。体温をあげるもっとも手軽な方法といえば、「お風呂」。今までは、低温のお湯でゆっくりというのが「健康のための常識」だったわけですが、ヒートショックプロテインの働きがわかってからは、前述したように熱いお湯に入ることも見直されてきています。

とはいっても、江戸っ子のようにかなりの高温に一瞬入るだけでは、ヒートショックプロテインは増えません。「正しい温度管理と、しっかりとした体温調節」をすることで、より効率的にヒートショックプロテインを増加させ、そして必要以上の高温によって健康を損ねることがないようにできるのです。

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【ヒートショックプロテインを増加させる入浴方法】

それでは、簡単にヒートショックプロテインを増加させるための入浴法を紹介しましょう。きちんとやるためには、湯船の温度を把握するための「温度計」と、自分自身の体温を測ることのできる「舌下体温計」があるとベストです。

まずは自分の平熱を把握しましょう。ヒートショックプロテインは体温が「38℃」程度で増加しやすいといわれています。しかし、平熱が35℃台の人が、38℃まで体温をあげるのには無理があります。そこで、「平熱+2℃」程度を目安にするのがベストのようです。平熱があまりにも低い場合は、「+1.5℃」程度でもOKです。