■自然サイクル(概日リズム)を使った健康法〈5〉~睡眠ホルモン「メラトニン」を自然に増やす食べ物~ インド生活『村上アニーシャのアーユルヴェーダ』vol. 139

前回では、私たちの体内にある、アーユルヴェーダでいうところの神聖な物質「オージャス」は、現代でいうところの睡眠ホルモン「メラトニン」である説が濃厚であることをお伝えしました。
今回は、そんなメラトニンを普段の生活の中で自然な形で増やすことができる食べ物についてご紹介したいと思います。

 

★メラトニンが豊富な食べ物

地球上のあらゆる植物は、サバイバルのために概日リズムに完全に依存し、一定量のメラトニンを持っているといわれています。
そして、私たちがメラトニンのレベルを高めるにために手っ取り早い方法が、メラトニンがより豊富に含まれる食品を食べることです。

メラトニンがたっぷり含まれる食品例は、さくらんぼ系、パイナップル、トマト、バナナ、オレンジクルミ、アーモンド、フラックスシード(亜麻仁)、フェヌグリーク、ラズベリーなど、割とたくさんあります。

また、メラトニンが作り上げられる前駆物質といわれる必須アミノ酸・トリプトファンが豊富に含まれる食品も、メラトニンレベルのアップに役立つと考えられています。

 

★ヒヨコ豆に優る、トリプトファン源は他になし!

(ヒヨコ豆はトリプトファンの宝庫)

トリプトファンが最も含まれる食品には、植物性ではスピルリナ、カボチャやスイカの種、アーモンド、ピーナッツなどがあり、動物性ではカッテージチーズ、ヨーグルト、鶏肉(特にレバーの部分)、七面鳥などがあります。
そして、そんな中でも群をぬいているトリプトファン源は、「ヒヨコ豆」です。

そういえばインドでは、ヒヨコ豆を原料として作られる食べ物が本当に多彩にあり、おかずはもちろん、甘いお菓子から塩味のスナックまで、本当によく使われている豆です。
インド人はこのヒヨコ豆を本当によく食べます……。

こうして考えてみると、インド人に不眠症になる人がほとんど見当たらないのも、うなずける話ですね。

ところでこのヒヨコ豆は、インドでは食料としてはもちろん、美容アイテムとしても欠かせない豆です。

アーユルヴェーダ独特のオイルをたっぷりと使うマッサージでは、マッサージの後にこの豆と水を練り、油で揚げる前の天ぷらの衣状のドロドロペーストにしたもので、体についた余分なオイル分を落とすのが定番となっています。

また、結婚式などのパーティーイベントがあれば、インド女性たちはこぞってこのヒヨコ豆ペーストでフェイスパックをします。
これは、効果バツグンな伝統的な美容方法のひとつです。

……インドほど、このヒヨコ豆を多様に使う国は、他にないのではないでしょうか。

(インドのヒヨコ豆おやつスナック)

 

★メラトニンとコーヒー

コーヒーといえば、カフェインのイメージが強く、「寝る前にコーヒーを飲むと眠れなくなる」とよくいわれるように、なんだか睡眠ホルモンのメラトニンの生産を抑制してしまうようなイメージがありますが、実際のところはどうなのでしょうか……。

研究によれば、コーヒーに含まれる成分の多くは、実際にはメラトニンレベルを最大32%(!)も高めるのだそうです。

ただ、夜にカフェインをとると、メラトニンの生産が妨げられることも報告されているので、夜にもしコーヒーを飲みたくなったら、カフェインが抜いてあるデカフェコーヒーがおすすめです。

 

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(トップ画像/さくらんぼ類は最高のメラトニン源)