【経済用語のアンカリングと、潜在能力活用のアンカリング】
「アンカリング」という用語があります。一般的には「心理効果」として説明され、特に「経済学」で提示されることが多いものです。
ざっくりと説明すると「最初に提示された情報が、購買の意思判断に影響を及ぼす」ことになります。
良くある例としては、「値引き前の価格を表示することで、値下げ後の価格を強調し、購入意欲を高める」というものがあります。
日常生活の中で、広告を含めてさまざまな場面で使われているアンカリングですが、このように人の心理を誘導するのではなく、「自分自身の潜在能力を活用する」ために使われる「アンカリング」も存在しています。
ちなみに、経済的に使われるアンカリングは「船の錨」が語源であるとされています。錨を海底に降ろして船を固定してから、その範囲で動く船のように、最初に提示された情報をベースとして、動く心理状態を表しているのです。
それにたいして、自分自身の潜在能力を活用するためのアンカリングは、「心の中に錨を降ろして固定する」というような意味合いがあります。最も有名なものとしては「催眠療法」で使われるものがあります。「催眠状態において与えられた暗示を、日常生活の中で活用する」ためにアンカリングが使われるのです。
【アンカリングとルーティン】
ひとつ例をあげてみましょう。「私はとてもリラックスしていて、自分が持つパフォーマンスを最大限に発揮しています」という暗示を催眠状態で与えます。このままだと、催眠に入っているときだけしか、リラックス出来ないことになりますが、ここに「マイクを握るといつでもこの状態に入ることができます」という暗示を付け加えるのです。これによって、催眠状態でなくとも、「マイクを握るとリラックスして自分のもつパフォーマンスを発揮することができる」ようになります。これは、講演会を行う人や、歌手などに向いた暗示ですが、様々な場面で活用可能です。
こちらは、「マイクを握るという行為」がアンカリングとなっているわけですが、より複雑な動きや特定のパターンを利用することで、自分自身の潜在能力を引き出す方法もあります。それが、近年注目されている「ルーティン」です。
2015年にラグビーの「五郎丸選手」がゴールキックをする前に見せる「五郎丸ポーズ」と呼ばれる独特の動きを見せたことで、一気に有名になったルーティンですが、彼だけでなく、スポーツの世界では、常に「最高のパフォーマンスを引き出すために、ルーティンを行う選手」が多く存在しています。
名称は異なっていますし、催眠療法を直接使っているわけではありませんが、「特定の動作と自己暗示を組み合わせる」という意味では「ルーティンとアンカリングは、ほぼ同じ物である」といえるでしょう。
【目には見えないエネルギーも操れるアンカリング】
さらに、そもそも「密教や道教」などで利用される「印」もアンカリングであるといえます。これらの宗教では指を使って特定の形を作り出します。ヨガでは「ムドラ—」などとも呼ばれることがあるこの形は、それ自体に「エネルギーを誘導し、特定の力を引き出す」力があるものでありますが、「精神のエネルギーを特定の方向に向かわせる」アンカリングでもあるのです。
日常生活では使わないような複雑な指の形をつくり、それと共に特定の呪文を唱え、イメージを浮かべるというのは、密教でいうところの「身口意」となります。これによって、仏様と一体になるわけですが、古来から伝わるこの方法が、「アンカリングに非常に近い」ということがわかるでしょう。
スピリチュアルな技法で、最も重要となるのは「イメージ」ですが、言葉と印を組み合わせることで、最初のうちは時間を掛けてしっかりとイメージをすることで導かれていた領域に、特定の動作で「速やかに移行する」ことができるようになるわけです。
いかがだったでしょうか? アンカリングは「自らの潜在能力を引き出し、精神状態を特定の方向へと導くための非常に効率的な方法」だということがおわかりいただけたかと思います。スポーツをやっていなくても、前述したように、「自分の仕事」に活用したり、さらには「エネルギーワークや瞑想などにも活用することが充分に可能」なものです。興味を持たれた方は、ぜひ、ご自身の生活の中にアンカリングのテクニックを取り入れてみて下さい。
To take advantage of the anchoring.
Spiritual anchoring.
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