「小さいおじさん」。この何とも滑稽な単語を聞いたことがある人も多いのでは？
それどころか、「見たことある！」という方もいらっしゃるかもしれません！
90年代頃から巷で時々話題になる、この小さいおじさんは、池乃めだかさんのことでも、アホの坂田さんのことでもありません。「小さいおじさん」とは、見える人には見える、おじさんの姿をしているけれど明らかに人間ではない、「未確認生物」のことです。

これまで数々の目撃情報があり、雑誌やテレビでも紹介されて若者たちを中心にブームになりましたが、その正体は全く明らかになっていません。小さいおじさんの出現パターンや姿かたち、服装、行動などは、目撃情報によってバラバラ。宇宙人やカッパ、妖精や幽霊と同類説もありますが、その説を裏付ける有力な証拠も出てきません。
ウワサがどんどん広がるなか、「小さいおじさんって一体なに!?」という疑問だけがますます大きくなります。本書はそんな疑問に応えるべく、オカルト研究家の山口敏太郎さんが出現情報やウワサをもとに徹底調査した、「小さいおじさん」決定版です。

目撃情報によると、その登場パターンは本当にさまざま。
●屋根の上を「バタバタバタ！」と物凄い勢いで走り去る小さいおじさん
●山道のなかで、両手をぐるぐる回しながら追いかけてくる小さいおじさん
●まるで働きアリのように、集団でなにか重そうな物体を運ぶ小さいおじさん
●ゴミ収集所でゴミを守る小さいおじさん
●桜の花びらに乗って風に運ばれていく小さいおじさん

想像してみてください。こんな光景が目の前に現れたら、結構面白いですよね？
この場合想像していただきたいおじさん像は、日常のなかで目にする、少しくたくたのスーツを着て仕事ぶりも頼りない、でもなんとなく憎めない……という感じのおじさんです。立派なスーツを着て、バリバリと仕事をこなすおじさんではありません。
小さいおじさんとは、「おじさん」という言葉やイメージが持つ、「哀愁」や「ちょっとしや滑稽さ」をしっかりと引き継いでいる生き物なのです。

芸能界でも、小さいおじさんの目撃情報が飛び交っています。
ダウンタウンの浜ちゃんは、子供の頃部屋で勉強していると、小さいおじさんが窓の外から「オイ、オイ!!」と呼びかけられたことがあるそう。
雨上がり決死隊の宮迫さんは、夜中あまりの騒がしさに目を覚ますと、何人もの小さいおじさんたちが、自分の上を飛び回っていたそう。
そして釈由美子さんは、辛いことがあってお風呂に入りながら落ち込んでいた時に、小さいおじさんが現れて「がんばれ、がんばれ」と励ます声を聞いたそう。その時は嬉しいとは思いながらも、少し気味悪くてシャワーで流してしまったそうですが……。ほかにも、AKB48の倉持明日香さんV6の岡田准一さん、ユーミンこと松任谷由実さんやSOPHIAの松岡充さん、都市伝説で有名なハローバイバイの関暁夫さんなど、小さいおじさんの目撃情報がたくさん！
生態はやはり闇のなかながら、本書には小さいおじさんの詳細なデータが満載！
小さいおじさんの家族、好きな食べ物、超能力、そして飼い方などなど、直面した際の対処法も丁寧にフォローしてくれています。
目撃者にちょっかいを出す場合もありますが、でも大抵は人間に危害を与えず、彼らの世界のなかで、彼らのルールに乗っ取って暮らしているのかもしれません。その生態がはっきりと判明するのは、きっともっと先のこと。でも、優しい心を持つ彼らは、釈由美子さんのエピソードにもある通り、落ち込んでいる人を見つけると、励ますために現れてくれるかもしれません。

「まだ小さいおじさんを見たことがない！」という方は、落ち込んだ時に心のなかで小さいおじさんに助けを求めてみては？　意外にもあっさりと、小さいおじさんはあなたの前に現れてくれるかもしれません。

「街でウワサの極小生物　小さいおじさん」
山口敏太郎　著
Sel　絵
東邦出版
1,365円（税込）