つらい腰痛は、文明生活が原因?どうすれば腰痛をやわらげられるの?

どうして腰痛になるの?

今回は、ヘルシー&ナチュラルの冒険オステオパシー編第1回・第2回でご紹介した東江英行先生の腰痛に関するインタビューをご紹介したいと思います。
東江先生は、オステオパシーという高度な整体(正式には整体とは異なるのですが、わかりやすくするために高度な整体としておきます。)を体得され、藤沢で、オステオパシー治療で、多くの方々の身体の悩みの解決に尽力されています。先生はアメリカの有名なオステオパシーの先生でバイオダイナミクスと言う施術を開発された方の一番弟子であるトム・シェイバーという方から直接、指導を受けられています。
今回は腰痛に関してのアドバイスをいただきます。

現代人に多い腰痛の悩み――古代人にも腰痛はあった!

――腰痛に悩まされている方は多いと思います。推定人数2~3千万人もの人が腰痛に悩んでいると、言われています。腰痛の原因については色々と言われていますが、一体何が一番大きな原因なのでしょうか?

結論から先に言ってしまえば、長時間同じ姿勢をしている事が、一番の原因なのです。

――現代人はデスクワークなど長時間同じ姿勢をしている事が多いわけですが、では、古代人はどうでしょうか?

メソポタミヤの遺跡から出土した人骨に腰痛の痕跡がありました。古代人であっても、農耕をする場合、どうしても長時間同じ姿勢を取らざるを得ません。この事から、人類が農耕を始めて長時間同じ姿勢をするようになってから人類に腰痛が増え始めた、と推測されています。

――では、長時間同じ姿勢を続けなければ、どうなるのでしょうか?

例えば、現代でも、アフリカの狩猟民族には、ほとんど腰痛がないようです。彼らは一日何10kmも獲物を追いかけ、歩いたり、走ったりします。飛んだり跳ねたりすることもあるでしょう。たまに木から落ちてしまい、腰を強く打ってしまう事もあるようですが、それでも腰痛はあまりありません。

人間は元々狩猟民族でした。つまり、いやでも、日夜、草原を走りまわらざるを得なかったのです。

――現在は、成人病の原因は食事の欧米化であるとか、脂肪の過剰摂取であるとか色々言われています。あまりにも色々な原因がまことしやかに語られているので、皆さんは混乱されているのではないかと思います。

私は、成人病の原因は、運動不足と糖質の過剰摂取だと思っています。実際のところ、元気な年配の方の多くは、肉をたくさん食べ、よく運動している人達です。
今回は腰痛がテーマで、その原因である運動不足について少しふれましたが、脱線してしまうので、成人病についてはこれぐらいにしておきます

「腰痛の原因は、長時間座っている事!」

さて、世間ではよく二足歩行が腰痛の原因ではないかと言われているようですが、私は、それは違うと思っています。ちなみに犬も腰痛になることがあります。私は、たまに犬の治療も頼まれます。犬でも、人間に飼われて、家の中から出してもらえなかったり首輪でつながれていたり等あまり身動きできない環境におかれ、長時間同じ姿勢を取れば腰痛になるのです。

人間も同じです。人間の身体は適度に動いたり歩いたり走ったりするようにできていて、何時間もずっとイスに座ってパソコンを見ているようにはできていないのです。IT革命と言われ文明の力により生活が便利になり、昔は経験できなかった事もいろいろできるようになりました。生活の質は上がっているように見えますが、その一方で身体には弊害も起こっているようです。

そう言われても、書類を作る事務仕事などパソコンに向かう仕事がたくさんある時代に、それをやめるわけにはいきません。では、どうしたら良いのでしょうか?狩猟民族になるわけにもいかないので、今の社会状況でできる範囲の腰痛対策をする必要があると思います。

先程長時間同じ姿勢をしているのが一番の原因と言いましたが、大部分の人にとって一番多い姿勢は、座位だ思います。仕事中でもイスに座っている時間が一番長いと思われますし、通勤の移動も車、電車、バスなどでは座位です。家に帰っても、座って食事をしたり、テレビやパソコンを見たりされているのではないでしょうか?
つまり腰痛の一番の原因は長時間同じ姿勢で座っている事ではないか、と思われます。イスでなく床に座る場合はより腰に負担がかかります。床の場合は、正座、あぐら等を含めて良い座り方などありません。一番悪いのは横座りです。これをやると脚の横の筋肉が硬くなり骨盤が伸びなくなる原因になります。

「なぜ長時間座っていると腰痛になるのか?」

――では具体的にイスに座ると何故腰が悪くなるか、ご説明いただけますでしょうか。

身体に負担のかからない、イスの座り方というのは無いと思います。同じ姿勢で座っていれば、どんな姿勢でも体に負担がかかります。

ただその中でも一番体に負担が少ない座り方といえば、骨盤をある程度立ててできるだけ、身体の力が抜けるように座ることだと思います。背もたれのある椅子に深くすわり、脱力した状態で背すじが伸びて顎が軽く引けていて、脚は開き過ぎず閉じ過ぎず多少膝の間が空いている状態で、できるだけ脚の力も抜けているのが、一番身体に負担のない座り方です。

しかし、最初はこのように座れていても、時間が経過していくとだんだん姿勢が崩れていく場合が多いようです。
なぜかと言えば、上記のように座っていれば一番イスに当たるのは坐骨です。人間の坐骨は座る時に安定するように、分厚く出来ていますが、それでも長い時間座っていれば、坐骨の下の椅子に当たっている皮下組織が鬱血してきます。なぜかその部分に強い痛みを訴える人は少ないのですが、無意識にその鬱血している所を当っている場所からずらすような姿勢になります。

それには大きく分けて二通りしかありません。一つ目は椅子に浅く座って脚を前に投げ出す。二つ目は逆に腰を反らせて、お腹をより前に突き出して脚で踏ん張って鬱血したところを浮かすように座る。脚を組んだり、より片側に重心を移動したりする場合もあります。その状態がさらに続くと、交互に一つめと二つ目の座り方を繰り返したりもします。
このような座り方は、あちこちに力を入れ続けなければ持続できませんので、本人がその座り方が楽だと思っても身体の負担はかなり大きくなり、腰痛の原因になります。

「どうすれば腰痛になりにくいのか?」

状況によっては、立ちあがることができない場合も多いと思いますが、姿勢を崩して座り続けるのではなく、一度椅子から立ち上がり、少し歩いたりその場で屈伸運動などを行ったりしてから、また座り直した方が腰のために良いと思います。
つまり長時間座らなければならない仕事であっても、まめに立ったり身体を動かしたりする事で、腰への負担が少なくなり、腰痛を緩和する事ができるのです。

■東江英行先生のトーエ治療院(トーエオステオパシーオフィス)
http://www.cityfujisawa.ne.jp/~toue/ 

これまでの患者さんたちのお悩みと治療の成果への感謝の声、先生の治療に関する考え方が書かれたブログなどが掲載されています。ぜひご覧ください。

■『日本ふしぎ発見番外編』
ヘルシー&ナチュラルの冒険~「オステオパシー編」

PART.1
https://www.el-aura.com/2013111907/ 

PART.2
https://www.el-aura.com/201312030801/

■『うつは心の病なのか』
https://www.el-aura.com/2014042202/