『エヴァ』~幼い娘を被写体にした女流写真家と、普通の人生を送りたい娘の葛藤を描く

幼い娘を被写体にした女流写真家

2011年のカンヌ映画祭で批評家週間50周年記念映画として上映された本作は、初監督作にも関わらず、フランスを代表する女優イザベル・ユペールと、俳優ドニ・ラヴァンを迎えたことに加え、監督自身の体験を基に、自分の思い通りに娘を動かそうとする芸術家の母親との激しくリアルな葛藤が描かれ話題になった。

1977年、イリナ・イオネスコの写真集『エヴァ』(発売当時は「鏡の神殿」)は、実の母親が幼い自分の娘を被写体に今までになかったジャンル、独特なスタイルで写真を撮り、フランスのみならずヨーロッパや日本でも注目され、未だにイリナは女流写真家として、新しい道を切り開いた1人の芸術家として知られている。

本作は被写体だった娘のエヴァ自身が脚本監督を務め、その伝説に残る写真集が製作されるまでに、芸術家として生きてゆきたい母と、芸術とは無縁の世界で普通に生きていきたい娘の間には何があったのか、そしてそこに芸術がなくてもまき起こる“母と娘”という独特な関係性に迫っている。そして鮮烈なデビューを飾ったヴィオレッタ役の新人アナマリア・ヴァルトロメイ。

その美しさに男女問わず、誰もが魅了され、2012年カンヌ国際映画祭の批評家週間のポスターモデルに起用された。更に本作を惹きたてたのは、なんといってもパリの超有名スタイリスト、キャサリン・ババによる70年代ファッション。ChanelやGivenchyのスタイリストを務める彼女による、劇中のファッションは一度みたら忘れられない色合いと、独特な世界観で観客の心を惹きつける。

世間で物議を醸した話題作

1977年、母親が実の娘のヌードを撮るという反道徳的なテーマで、フランスのみならずヨーロッパや日本でも大きな議論を呼んだ写真集「エヴァ(発売当時は「鏡の神殿」)」が発表された。それから34年を経て、被写体だった娘のエヴァ自身が監督となり映画化。

2011年のカンヌ映画祭において批評家週間50周年記念映画として上映され、物議を醸した問題作がついに日本公開。カンヌでも、少女を妖艶に描いたことの是非について、批評家の間で波紋を呼んだ。母親を憎み続けたエヴァ監督自身の実体験に基づいたエピソードが随所に盛り込まれ、自分の思い通りに娘を動かそうとする母との激しくリアルな葛藤描写も話題になった。本作で戦列なデビューを飾ったヴィオレッタ役の新人アナマリア・ヴァルトロメイとフランスを代表するイザベル・ユペールとドニ・ラヴァンの見事なアンサンブル。パリの超有名スタイリストのキャサリン・ババによる70年代ファッションも見どころ。

美しすぎる少女は大人を狂わせた

女流写真家の母アンナ(イザベル・ユペール)は仕事で滅多に家に帰ってこず、母の愛情を求める娘のヴィオレッタ(アナマリア・バルトロメイ)は優しい祖母に育てられながら母の帰りを待つ。ある日、突  然帰ってきたアンナは、ヴィオレッタを写真のモデルへと誘う。母親に気に入られたいヴィオレッタはモデルになる事を決心。

しかし、アンナの要求は徐々にエスカレートし、大胆なカットを要求される。最初はごく普通のあどけない少女だったが煌びやかな衣装とメイクで次第に大人の女の色香を漂わせ、退廃的な少女に変貌していく……。

 

『ヴィオレッタ』
2014年5月、シアター・イメージフォーラムほか全国順次公開予定
© Les Productions Bagheera, France 2 Cinéma, Love Streams agnes b. productions/

監督・脚本:エヴァ・イオネスコ
衣装:キャサリン・ババ
音楽:ベルトラン・ブルガラ
出演:イザベル・ユペール、アナマリア・ヴァルトロメイ、ドニ・ラヴァン

2011/フランス/106分/カラー/原題:My little Princess

【提供】メダリオンメディア
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【 配給 】 アンプラグド
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