「自由に創作すること」を促す光の洪水
「私はアルデバランから来た。」
この閃きを得たとき、私はなんとも例えようのない光の洪水を感じました。
ただ美しいだけではなく、ただそこに色があるだけではない。もっとこうギュッと濃縮した「何かがそこに在る」というような感覚を…
「そういえば私、宇宙人の前にイラストレーターだったな。」(うっかり)
とはいえ、この頃の私はイラストの仕事をほとんどやっていませんでした。デジタルの普及でフリー画像などが増え始め、オリジナルのイラスト発注は激減していたのです。
イラスト以外にできる仕事があったからかもしれません。私は自分にこんな言葉をかけていました。
「別に私が描かなくてもいいんじゃない?うまい人は他にたくさんいるんだし…」
仕事の絵は人に任せる。それはそれでいいでしょう。しかし仕事抜きで自分の絵を描く…という選択肢もあったはずです。
だのに私はそこにひどく大きな抵抗感を持っていました。
「もしも自由に描いた作品が受け入れられなかったら?」
拒否されることが恐かったのです。仕事という枠からはずれ、自由な創作表現をすることに自信がなかったのです。
長いあいだ「仕事抜きで絵は描かない」という、なんだかプロっぽく聞こえるけれども、実は単なる逃げに過ぎなかった言い訳を繰り返していました。描かないのではなく、描けないが本当のところです。
しかし光の洪水を感じたことで、私のなかの何かがポンと開きました。
「描きたい!この感覚を絵で表現したい!!」
長らくグダグダと続けてきた言い訳がスウーと消えていきます。
ポンと開いたのは心の扉でした。私は扉の前に立ち、なかを覗き込みます。そこには創作のエネルギーとも呼ぶべきものが「描きたい、描きたい」と言いながらシクシク泣いていました。
エネルギーが最初から「ない」のであれば、何も思い悩むことはなかったでしょう。
しかし「あった」のです。「あった」からこそ抵抗したり悩んだりしていたのです。私の扉の奥には、そんなエネルギーがありました。
自信のなさを言い訳に、扉を塗り固め、開かないようにして無視し続けていたのは、誰あろう私自身だったのです。
「今まで無視してごめんね…」
そう素直に思えたとき、私のなかで言い訳が消えたときとはまるで違う、ビッグバンとも呼ぶべき大きな衝撃を感じました。それはハートが爆発したのかと思うほどの勢いだったことを今でもハッキリと覚えています。
このときふと、岡本太郎氏の「芸術は爆発だ!」というあの有名な言葉が脳裏をよぎりました。
爆発的な作品を創るのではない、己の創作意欲をこれでもかと爆発させるのだ!
宇宙はその意欲を無限に受け止めてくれる!
爆発に駆り立てられるように、私は身近にあった色鉛筆を手に取り、夢中で紙に色を塗り重ねました。光の洪水の再現です。しかし…
「違うんだよ、色じゃないんだよ、光なんだよ、描きたいのはっ!!」
創作というものは、そうそう簡単にはいかないようです…orz