ブータンしあわせ便り第23稿~「ぬ」~「布」

あけましておめでとうございます。
日本は世界の中でもお正月にはたくさんの伝統がありますね。日本のお正月はやっぱりいいです。その中でもお正月を色鮮やかに彩る晴れ着、着物は日本が世界に誇る伝統・歴史・文化です。

ブータンの民族衣装、2011年の国王様・王妃様の来日の際、その色とりどりの衣装に、魅了された方も多いのではないでしょうか。

国王のオーラ、女王の美しさ。その気品に日本中が釘付けになりました。

ブータンの男性の民族衣装「ゴ」といって、日本の呉服の「呉」と「ゴ」はなにか関係があるのではないかと言われる方もいます。ゴの素材は様々で総シルクのものだと数十万、あるいはそれよりも値段が高いこともあります。ゴは実は一枚の布でできており、上手に一枚の服のようにベルトをつかって着ていきます。縫い目のない一枚の布なので、着ているととても楽だそうです。

女性の民族衣装「キラ」といって、これまたものすごく色とりどり、鮮やかです。今はほとんどのものが機械織りで、輸入の糸、生地を使っていますが、伝統的な機織りで作られた衣装を身に着ける方もおられます。それらは素材にもよりますが、数十万といった値段のものもあります。女性のキラも伝統的なものは一枚の布をベルとつかって、一枚の服として着ていきます。若い女性は上下の別れたキラを着ます。これはスカート部分がホックで仕上げられていたり、上着もきちんと仕立てられているので、1分もあれば着ることができ、とても動きやすくなっています。街中にたくさん下絵屋さんがあって、好みの布を布屋さんで購入し、仕立て屋さんにもっていけば、すぐに自分サイズのキラを仕立ててくれます。お値段も布代込みで数百円からできます。

機織りさんにお願いするとだいたい1~2年で好みの色や糸、素材でキラを一枚仕立ててくれます。値段も交渉次第ですので、お店に売っているものよりも数倍も安く買うことができます。現在、こうして機織りができる女性が少なくなってきているといわれています。普段はみんな機械織りの、500円や1000円の民族衣装を身に着けています。
ブータンは公的な場で民族衣装を着ることが法律により定められています。ブータンにいくと民族衣装を身に着けている人が多いのはそのせいもあります。公務員はもちろん民族衣装で出勤しますし、お寺に行くのは必ず民族衣装です。この民族衣装を着る法律はブータンの伝統を守る事、また対外的なイメージアップにものすごく貢献していると思います。

たとえば私の知り合いなどの30代以下の人はお寺や行事以外で民族衣装を着ることはほとんどないとみんな口をそろえて言います。私だけがキラを着て、みんなはジーンズやヒールなんてことも多々ありました。ディスコなんかにくと、本当に短すぎるんじゃない!?というような露出の高いミニスカートを身に着けた女の子たちがどれほど多いことか! キラを身に着ける法律がなければ、彼女たちは仕事にスカートやジーンズでいくことかと思います。

けれどやっぱり日本の着物や浴衣と同じで、伝統的な衣装を身に着けるということは、その国の文化や歴史、そして習慣、立ち居振る舞いなどの国民性が表現されるとても大切なことなので、法律で定められているにせよ、ブータンの民族衣装の義務化は非常に大きな貢献をなしていると思います。とても美しいブータンの民族衣装、日本人は風貌もよく似ていることからとてもよく似合うと思いますし、お祭りなどに参加される際、旅行中は民族衣装を身に着けてブータンを歩くなんていうのも、とても素敵だと思います。

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