今年の年末年始は、幕末の偉人にストレス対処術を学ぼう! 「幕末偉人に学ぶ 職場のストレス対処術」麓聡一郎著レヴュー

今年も、終わろうとしている。総選挙や原発問題、外交や貿易問題など、国が対処しなければならない問題は山積みだ。年末らしい気ぜわしさも加わって、職場でストレスを感じている人、切羽つまって自分を見失っている人、燃え尽きそうな人、イライラを感じている人も多いかもしれない。そんな人にお勧めしたいのが、麓聡一郎著「幕末偉人に学ぶ 職場のストレス対処術」だ。

初めにお断りしておくと、私は幕末にあまり明るくない。実際、本書に取り上げられている偉人達の名前をほとんど知らなかったし、坂本龍馬が「歴史上、実はどちらかというと何も成し遂げていない部類に入る」(!)ということも知らなかった。そんな私も本書を読み進むうちに、ストレスをものともせず動乱の世の中を闊歩した幕末偉人たちのいきいきとした世界に、すっかりはまってしまった。

著者の麓総一郎氏は、プロフィールによると企業や学校などで使われる適性検査の開発と解析を専門に扱う会社の取締役である。本書は、どのようにしたらストレスを減らすことができるのかという相談が相次ぎ、そのヒントを歴史に求めることにしたと始まっている。

第一章では幕末もストレスの多い激動の時代であったという背景が説明され、ストレスの定義と全体像が分かりやすく描かれている。しかし読み手が一番興味を持つのは、自分のタイプが分かる診断テストかもしれない。

ご安心あれ。第一章の最後にある「幕末偉人ストレス診断」で自分のストレス傾向を知ることができる。ここではスペースが限られているので結果は割愛するが、私ももちろん、このテストをやってみた。

自分のストレス傾向が分かったら、第二章「あなたはこんな幕末偉人?4つのメンタルリスクタイプ」に進もう。第二章には30ページほどが割かれ、各タイプが陥りやすいメンタルリスクについてそれぞれ詳しく書かれている。

① 時代遅れの熱血ビジネス戦士タイプ …… 燃え尽き症候群
② 「事なかれ主義」の窓際社員タイプ …… 意欲減退症候群
③ 気分屋で切れやすい、職場のクレーマータイプ …… 自傷・他害行為予備軍
④マイナス思考で弱気なうつっぽいタイプ …… うつ病予備軍タイプ

次に、第三章から第六章までの各タイプの詳細な分析と「処方箋」を読んでみよう。たとえば「強いストレスがかかると焦りから自己喪失気味になりやすい、燃え尽き症候群候補」タイプの場合「趣味や遊びなどに打ち込んでバランスをとる」ことや、「事なかれ主義の窓際社員タイプ-意欲減退症候群」の場合は、「忘れてしまった夢を思い出す」ためのドリームボタンなど。とても具体的で、読んですぐに実行できる点も素晴らしい。

本書が思った以上に興味深かったのは、幕末にタイムスリップして偉人達の生き方を辿るツアーに参加したようなリアル感。そして読み進めるうちに、彼らの幕末マインドに共感し自然と「大丈夫、やれるさ!」とおおらかで前向きな気持ちになってしまうことだ。

活気に満ちた自由闊達な時代描写と、おおらかでウィットの効いた人物描写、何を説明するにも読者にストレスを感じさせない公平な視点。ポイントを突いた心理学的説明、ストレスをいかにケアするかという実用的なアドバイスの中にも、著者の温かなユーモアと、根底に横たわる深い人間愛が伝わってくる。多くの企業、官公庁、そして教育界から大きな信頼を寄せられているというのも納得だ。

本書の中には他にも共感できる箇所がたくさんあるが、限られた文字数では紹介しきれないのが残念だ。年末年始の休暇には、ぜひ本書をお伴にゆっくりと幕末偉人ツアーを楽しんで、ストレスを癒してほしい。

よいお年を!

米国認可登録スピリチュアルスクール
ワンネスインスティテュート
代表・講師 Rev.REMI