身近な薬草でセルフケア~ヨモギの使いかた~

ヨモギ、ドクダミ、スギナ、柿、ミカン。どこでも見かける雑草や庭木が、実は何千年にもわたってわたしたち日本人の暮らしと健康をサポートしてきました。

「白い薬」も大切だけど、人間が古来から親しんできた「緑の薬」を暮らしにとりいれて、自然と季節にそった豊かな暮らしをしてみませんか?

「蓬」の字は中国からやってきました。 日本語のヨモギという言葉は「四方生」「善燃草」が由来とされています。 文字どおり四方八方によく繁殖する強い生命力、そして乾燥すると葉がよく燃える特徴があります。(葉のうらのうぶ毛は灸のもぐさに使われています)

健康に役立つヨモギの威力は古くから知られ、その茎葉は生薬としても使われています。民間でもその力は魔除け=病気予防の草として広く認識されていたようです。

たとえばひな祭りの際に飾る三段のひし餅の緑のものはヨモギの色です。平安時代には一家に男の子が生まれたときは、矢の羽としてヨモギの葉をつけ四方に弓で放ち健康を祈ったと記録されています。

ヨモギは春のはじめから夏の終わりに花が咲くまで採取できますが、私の経験では5月初旬までの若葉は殺菌や身体の浄化に、土用の頃の一番緑が濃く背が高くなったころの茎葉は冷えやぜんそくの改善に良いようです。

時間があるときにまとめて採取し、日陰で干しておけばさまざまな用途に使うことができます。
特に乾燥葉を焼酎やホワイトリカーにつけたヨモギチンキをたくさんつくっておけば、一年を通じて健康をサポートしてくれます。

民間療法としてのヨモギの効用は実に多岐にわたります。Trinityの読者世代の日常に役に立ちそうな使い方だけでもざっとこれだけあります。

○日焼け、肌荒れ、アトピーに ヨモギのお茶をさましてコットンパックをする

○傷に
 生のヨモギ葉を傷口にすり込む ヨモギチンキで湿布

○虫さされに ヨモギチンキのスプレー(ヘビイチゴのチンキ、ビワチンキとあわせて)

○ぜんそくに ヨモギの根と葉を焼酎につけて黒糖をくわえたヨモギチンキを少量飲む

○冷えに ヨモギを煎じた液で足湯や腰湯をする

○眠れないときに ヨモギ茶やヨモギ酒を飲む ヨモギまくらで寝る ヨモギチンキでゆっくりお風呂にはいる

○生理痛に ヨモギチンキで腰湯をする ヨモギで染めた布ナプキンをつかう

○のどの痛みに ヨモギチンキやお茶でうがいをする

○目のつかれに ヨモギ茶の湯気を目にあてる(温度に注意)

そのほか団子や餃子、おひたしなど、料理にも使われます。

大都会の真ん中やマンション暮らし、また日本の現在の状況を考えると、 皆さんが住んでいる場所の近くで薬草を採取することが難しい場合もあるかもしれません。そのような時は地方に住む方に季節の新鮮な薬草を送ってもらってはいかがでしょうか? 薬草を通じて地方と都会のネットワークができます。 マナーを守って楽しい薬草生活をはじめてみませんか?

《注意》 私たち人間のために役にたってくれる薬草も時と場合によっては害をもたらします。 ヨモギは幼児やてんかん体質の方は摂取をさけてください。 また薬草を採取、使用する際は各自の責任において慎重に扱ってください。