日本唯一のIAOH(国際ヒーリング協会)認定ヒーラーによるタロット鑑定体験談 PART.6

「先生。どうしてあの子はこんなにも私を困らせたり悩ませたりするのでしょう。実は、以前別の先生に見てもらったことがあります。前世のいろいろなことを教えてくれる先生なんですが。あの子の前世をみてもらいました。そうしましたらね、息子さんは前世はゴキブリだった、だから落ち着かなくても仕方ない、って・・・」

「前世、ですか・・私は否定もしないし肯定もしませんが、しかしゴキブリというのはまた・・・」

私もつい、絶句してしまう。が、気を取り直して

「例え、ゴキブリが前世だというのが確かだとしても、非常に生命力が強く、逞しく生きていけるということですから、男の子ですしこんなに安心なことはありませんよね。ただ、私は前世がゴキブリだとは全く、思わないですけれど。それに、前世がそうだと決める証拠は何もありませんし。」

とフォローになっているのかなっていないのか、わからないことをつい言ってしまう。前世がゴキブリとはまた、話が飛んだものだ。ただ、どうしてもこの女性の話し方の起点への戻り方、進路へのこだわり方の単一性が気になる。確かにこの女性は子どものこと、特に進路のことがとても心配で心配で仕方ないのだ。いつもいつも、そのことを考えては自問自答を繰り返し、子どもに勉強を強要しているのだろう。それは母親であれば誰にでも多かれ少なかれ、生じる感情であり、だからといってそれが悪いということでも無い。程度の問題はあるとしても。

ここで私は最初のリーディングで、息子さん自身がどうも、母親に対して苦手感、僅かながらだが圧迫感を持っていることを思い出した。第二次成長期に於ける親に対する反抗とはまた少しニュアンスが違う感じがする、少し独特な感情。瞬時にいろいろなことを考えめぐらせているのをさえぎるように、女性は淡々と続けた。

「先生、私、ゴキブリだからスリッパで殴っているんです。」

「え?息子さんを、ですか?それはやはり、まずいんじゃないでしょうか。」

「前世がゴキブリって言われる前は手のひらで叩いていたんですね。でも、ゴキブリって言われてからはスリッパで叩くようにしたんです。そのほうが似合うし、私も納得するし、子ども自身も納得するみたいだから。」

女性は話し続けた。

「それで、ですね。ゴキブリがイヤだったら勉強しなさい、と。落ち着いて勉強しなさい、と言っているんですよ。でも、ちっとも落ち着かなくて、それで今日ここに相談に来て・・」

また、話が起点に戻った。このままだと話が進展しないままに規定の時間が終了してしまう。それでは折角、いらして頂いた意味が無い。私は少し逡巡したが、思い切って切り出してみた。

つづく