「奇跡は自分の内から起きるもの」抱きしめる聖者アンマに会いに行きませんか?

抱きしめるという行為は誰にでもできること。しかし、相手を選ぶことなく、抱きしめ続けるということは、果たして誰にでもできることだろうか?

トリニティでも過去にインタビューをさせていただいたアンマ(母の意)こと、インドの聖者シュリー・マーター・アムリターナンダマイー・デーヴィ。彼女は世界中を駆け巡り、集まる人を無償で抱きしめ続ける。カーストが根強いインドで女性がそのような行為をすることは大変困難なことだ。事実、当初はずいぶん迫害されたそうだ。先日もアンマを襲おうとした人がいた。しかし、アンマは怯むことがない。
それどころか、そういう人にも愛を向けるのがアンマかもしれない。
初めてお会いしたとき、正直私にはその素晴らしさがわからなかった。“ふ~ん、抱きしめるだけじゃん”という感じ。私は何かしら奇跡的なことを期待していたのだろう。しかし、一週間が過ぎ、2ヶ月が過ぎ、 “私たち取材班がいたのなんて4時間弱。でも、アンマは3日間ほど抱きしめ続けていたのよね。トイレにも立たず、ご飯も取らず……。そういえば、ずぅ~っと笑顔だったな”。なぜかしらそんな風にアンマのことが心に思い浮かぶようになった。それは私の心にアンマの愛が灯されたから? 今でははっきりと、アンマの行為は奇跡と呼ぶに相応しいと感じている。

貧しい者も富める者も、伝染病患者も愛くるしい子供も、自分を必要としている人すべてを抱きしめるアンマ。彼女は人間の聖なる力の雛形かもしれない。そして、抱きしめられた人もまた聖なる自分を感じることができる。皆、本当は等しく聖人なのだと思える瞬間。奇跡は外からやってくるものではなくて、心の内から起きるものかもしれない。アンマは今年、ニューヨーク・インターフェイスセンター賞を受賞した。

(文:遠藤明美)