日本唯一のIAOH(国際ヒーリング協会)認定ヒーラーによるタロット鑑定体験談 PART.1

「私の子どもは前世がゴキブリなんです」
~母親の葛藤~

「こんにちは。初めて予約した○○です」

初夏の日差しが眩しい頃、その女性は初めて私のオフィスを訪れた。私のオフィスは海岸町にあり、冬は暖かく夏は涼しい。初夏の爽やかな気候の中、それでもその女性はくすんだ顔色をしていた。気軽な雰囲気のオフィスであり、私も普段着程度の服しか着ていない。(普段着以上の服を持っていない、というのが正しいかと思う)。彼女もジーンズにポロシャツ、というラフなスタイルだった。ポロシャツの胸のロゴはブランドと思われる形をしていたが、残念なことに私はブランド音痴で、どこのブランドでどのくらいお高い品物なのかが全くわからないのだが。

「今日は子どものことを聞きに参りました」
「お子様のことですね。おいくつくらいのお子様ですか? 何を拝見して参りましょうか」

私の質問に女性はまず、一番で溜息を深くついた。
「……小学生の子どもです。落ち着きがなくて困っているんです」

そう言ったきり、後の説明が続かない。私は時間制でクライアントを拝見しているので、黙っているままにしたら時間はすぐに経過し、はい、それではおしまい、ということになってしまう。

「小学生のお子様が落ち着かないんですね。それではちょっと、日常の様子を拝見してみましょうか」
私から切り出すと、女性は
「はあ……」と言い、また深い溜息をついて下を向いている。私はカードを整理し、女性にシャッフルしてもらった上でスプレッドしていく。

「うーん、お子様は男の子ですよね?」
「あ……はい、そうです。男の子です」

最初に性別や年齢を聞く場合もあるが、この女性のようになかなか話題を自分から持ち出さないクライアントの場合、カードをリーディングしながら随時、質問をしていく形を取らないと話が一方通行になってしまう。一方通行の話は会話としては成立せず、クライアントとのやり取りがなくなってしまう。
そうなるとクライアントはあくまで「受け身」となり、「受けた」話はその人のなかで自分に都合よく整理されていく場合が多い。こんなことを言ったはずだ、そうですよね?という確認を後から何度も質問してくるクライアントは、会話というものを成立させず、ただ単に受け取った言葉を後から思い出し、思い出せる範囲で繋ぎ合わせて別の物語を作ってしまうことが多いようだ。「会話」をすればそれはかなり防げように私は感じている。

「そうですね、息子さんはかなり腕白でやんちゃで、じっとしているのが嫌いな様子ですね。時に、度を過ぎたように思われるやんちゃもしてしまうようです。ただ、社会的道義に反するようなことはとりあえずはしていないようですね。ですから、何もわからずただ勝手にやんちゃをしている、というわけでは無さそうです」
「……やんちゃ、なんかじゃありません。あの子は変なんです」

PART.2へ続く