体力の衰えを感じ取るために、チェックしておくべき意外なポイントとは?

最近では数千円でデジタル式の安価な握力計を購入することもできますので、手軽に体調管理をしたいという方は、「握力を測るという習慣」を生活に取り入れてみてはいかがでしょうか?

【10万人以上の調査によって導き出された握力と死亡率の関係】

カナダの「マックマスター大学」の研究チームによって「世界17か国、人数にして14万人」を対象とした大規模な調査が行われ、あるものが強い人のほうが、「心臓病や脳卒中になるリスクが低い」ということが明らかになり話題となりました。その「あるもの」とは「握力」。

握力というのは、私たちにとってとても身近なものです。最近では、凹凸のある石が設置された壁を昇ることで、全身を鍛える「ボルダリング」が人気であり、こちらでは石を手でつかんで登っていくために、握力は必須となるので、そのために、注意しているという人もいるかもしれませんし、格闘技や筋力トレーニングを行う人は握力を鍛えることがあります。その一方で、「大人になるとあまり測る機会のないもの」でもあります。学生の頃の身体測定では定番でしたが、社会人になって健康診断がメインになってくると、握力の数値などを把握しているという人は減ってきます。

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【年齢と共に低下していく握力】

ちなみに、「握力の平均値」というのをご存じでしょうか? 文部科学省が発表している「体力・運動能力調査」の平成26年度版によると、「20代から30代は28㎏」前後、「40代が29㎏」前後、50代から徐々に下がり始めて、だいたい「5歳あがるごとに5㎏程度マイナス」になっていきます。男性の場合はピークが「20代後半で平均47㎏」前後、同じく50代から徐々に下がり始めますが、女性よりも低下率は低く、「5歳あがるごとに2㎏程度マイナス」になるというようになっています。ちなみに、前述した研究によると、握力が5㎏マイナスになると、「死亡リスクは16%上がる」ことがわかっています。

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このように「握力と死亡リスクには明確な関係」があり、日本でも1988年から2007年まで男女併せて2500人程度を追跡したところ、「握力レベルが高い方が死亡リスクが減少する」という研究結果がでています。このように紹介すると、「握力を鍛えることで健康になれる」というイメージがあるかもしれません。実際に、握力を鍛えることで死亡リスクを減らすという説もあるのですが、実際には「握力は健康をもたらすものではなく、体力の衰えを反映しやすいもの」といえます。

 

【握力を鍛えることが長生きに繋がるわけではない】

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さきほどの、平均値からもわかるように、「年齢と共に握力は低下」します。これは体力の低下と握力がかなり密接に関係しているといえるでしょう。つまり、握力が強い人というのは、普段から運動をしていたり、ある程度体力があり「健康だからこそ、死亡リスクが低くなる」わけです。ですので、長生きをしたいから握力を鍛えるというのは、まったく無駄ではありませんが、かなり「本末転倒な方法」ということになります。

では、「握力が健康と関係があることを知っても意味がないじゃないか」と思うかもしれませんが、そういうわけではありません。「握力を健康のバロメーターとして把握することができれば、自分自身の身体を手軽に理解することが可能」となります。といっても、握力計が家庭にあるという方も少ないので、握力が弱ってきたことを認識するための簡単な目安を紹介しましょう。

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「ペットボトルの蓋が開けにくくなると、20㎏以下」、「未開封の瓶の栓を開けるのが苦手というと30㎏以下」というようになります。女性の多くは30㎏以下なので、開封済みの瓶の蓋を開けるのに苦労するようになったならば、少し自分の体調に気を使ってみるといいでしょう。

 

【体調管理に握力の数値を取り入れてみませんか?】

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握力と様々な病気リスクを結びつけるというのは、世界各国で研究が進んでおり、「新血管疾患を握力検査から導き出す」という研究も行われたりしていますので、体重などと同じように、「握力を定期的に記録する」という癖をつけておくことで、「自分でも気がついていなかった体調不良に気づける」ことでしょう。最近では数千円でデジタル式の安価な握力計を購入することもできますので、手軽に体調管理をしたいという方は、「握力を測るという習慣」を生活に取り入れてみてはいかがでしょうか?

 

【参考サイト】
体力・運動能力調査(文部科学省)
http://www.mext.go.jp/b_menu/toukei/chousa04/tairyoku/1261241.htm

握力で心臓病リスクを判定、国際研究(AFP)
http://www.afpbb.com/articles/-/3048636

握力が強いと長生きする、という報告を勘違いしないようにしましょうね!!(五本木クリニック 美容皮膚科)
http://www.gohongi-beauty.jp/blog/?p=11745

Relationship of grip strength and life.
To manage the physical condition by measuring the grip strength.

 

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