感情美人への道Vol.20 ~ライバルを讃えると自分も上手く行く理由〜

つまりライバルの実力を認め、さらに成功を祈る事ができれば、これから自分の実力を伸ばすのに良い効用があるという事です。

The reason you should praise your rivals

仕事でもプライベートでも、大方自分と似たような力を持ったライバルがいますね。競争している時に相手が先んじると、つい妬みを感じて相手の失敗を願ってしまいがちです。

今回はライバルと自分の力が拮抗している時や負けてしまった時、どう気持ちを整理すれば自分自身の成功を引き寄せられるかお話しましょう。

世の中にはライバルが自分に勝ちそうになると
①手段選ばずに蹴落とそうとする人
②互いに切磋琢磨しつつ、自分を高めて行こうとする人
がいます。

実はこの両者には、神経伝達物質レベルで大きな違いが生じるのです。(*ちなみに、神経伝達物質というのは、メッセージを運び、感情や身体反応の引き金を引く脳内化学物質です)

 

①引きずり降ろしタイプ

「あの野郎、絶対ハシゴ外してやる!」とネチネチ思う事で「アドレナリン ・ノルアドレナリン・コルチゾール」というストレスや防衛に関するホルモンが分泌されます。

少し詳しく見て行くと、アドレナリンは心拍数や血圧を上昇させ、コルチゾールはストレスホルモンとも呼ばれ不安な気持ちを増幅させます(もちろんこの3つの物質は生命維持に必要なものなので、完全な悪役という訳ではありません)。この状態が慢性的に続くと、ライバルを攻撃しているつもりが実は自分自身の身体を蝕んでいるという事につながります。

更には理性を司る大脳新皮質という部分の働きも悪くなり、やること全てが裏目に出る悪循環に陥ります。

 

②ライバルを応援するタイプ

「今回は負けて悔しいけど、でもさすが、君の実力はすごい。このチャンスを応援するけど、次は自分も負けないぞ!」と相手の健闘を讃え、負けた事実を冷静に認められる人の場合

オキシトシン
セロトニン
ドーパミン

という快楽系のホルモンが分泌されます。特にオキシトシンは抗ストレス物質で「愛のホルモン」と呼ばれ、ストレスホルモンのコルチゾールの値を減少させるので免疫力もアップします。またセロトニンは気分を調整する役割が大きく、天然の抗うつ剤とも呼ばれています。そしてドーパミンは快楽ホルモンとも呼ばれ、脳内の報酬系ネットワークを活性化し、やる気を起こす働きもします。

つまりライバルの実力を認め、さらに成功を祈る事ができれば、これから自分の実力を伸ばすのに良い効用があるという事です。

 

②の典型的なタイプがタイガー・ウッズです。

2005年に行われたトーナメントで、T.ウッズのライバルが1mのパッドを外せば自分の優勝が決まるシーンがありました。凡人なら「外せ〜! 絶対入れるな!」と思ってしまいそうですが、ウッズは「入れ!」と願ったそうです。

試合後のインタビューで、彼は「自分のライバルには強くあってほしいから、心から入って欲しいと願った」と語っています(ちなみにこの時は相手がパッドを外してウッズが優勝しました)。

T.ウッズは、ライバルの失敗を願っても本当の強さは手に入らない事を知っていたのでしょう。最近では、「お互いがいたからここまで高められた」と語っていた甲子園で優勝した東海大付属相模高校のWエース・小笠原慎之介投手と、吉田凌―投手の関係も、非常に素晴らしいライバル関係だと思いました。

 

本当に自分の力を伸ばしたいなら、ライバルを汚い手で蹴落とそうとするのではなく、相手の力を認め、それを自分が頑張るエネルギーに変えて行けると良いですね。

 

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