一宮千桃のスピリチュアル☆シネマレビューPART.129 「ターシャ・テューダー 静かな水の物語」

「人生は短いのよ。人はやりたいことをやれるわ」 「楽しまなくちゃ」
一宮千桃のスピリチュアル☆シネマレビューPART.129 「ターシャ・テューダー 静かな水の物語」

ターシャの庭と暮らしと言葉に励まされ
元気をもらえるドキュメンタリー

近所の貸し農園を借りて今年で3年目になる。
小さな種を蒔くと、ちゃんと芽が出て葉が出て実ができて、野菜となることに驚いた。

こんな簡単に野菜って出来ちゃうんだ!
これって奇跡に近いことでは?
と思うのだが、そんな気持ちは日常の中に紛れて採れた野菜を「美味い、美味い」と食べて忘れてしまっていた。

本作のターシャの暮らしぶりを観て、その時の気持ちを思い出した。
自分の身の回りは奇跡に満ちているのだ。
そのことを私はあたりまえ、と流して立ち止まることなくさっさと通過していた。
忙しくて、早く早く、と生き急いでいたのだ。

本作を観た時に私は迷っていることがあって、そう、まさにターシャの言葉「忙しすぎて迷子になってない?」状態で「どうしたらいいんだろう?」ともやもやした日々を過ごしていた。
そして、ターシャは沢山の箴言で私を励ましてくれた。

「そうだよね、そうだったよね!」私は忘れていたことを思い出した。
大切なこともすぐ忘れるのだ。
だから、しょっちゅう何かに頼らなければならない。

 

元は名家のお嬢様だったターシャ
波乱の人生を意志の強さで生き抜く

アメリカを代表する絵本作家ターシャの自然に寄り添うスローライフな暮らしはテレビでもお馴染みで、知っている方も少なくないと思う。
私は名前だけは知っていたけど、実は詳しいことは知らなかった。

ターシャはバーモント州の山奥に、18世紀風の息子が手作りした農家に住む。
彼女が作り上げた季節ごとの花が咲き乱れる庭は広大で美しく、そこだけ別世界のような気配に包まれる。

ターシャ自身の服も19世紀の農婦のようで、ロウソクを手作りしたりしていて、時代が止まっている。
彼女は19世紀の農村の暮らしに憧れてそれを実現したのである。

しかし、元はボストンの名家の出自というのは驚いた。
元はお嬢さんなのに、彼女はやると決めたら必ずやる、という強靭な意志の強さを持っていたと言う。

映画は彼女や息子、孫たちとの日々の暮らしを追いながら名言を散りばめ、息子や編集者の言葉を挿入していく。
丁寧に淡々と記録する流れは時にうとうとしてしまうのだが、それはそれでいいのだと思う。

 

素晴らしいターシャの言葉の数々
人は健康と愛と自然があれば幸福だ

やはり、素晴らしいのはターシャの言葉だ。

「人生は短いのよ。人はやりたいことをやれるわ」
「楽しまなくちゃ」
「私たちは夢と同じもので出来ている」
「私たちは夢を一人で見るように、一人で人生を歩まなくてはならない」
「悲惨なことがあると人はうつむいてしまうけど、私は光に顔を向けて希望を感じることを選ぶわ」
「やりたいことがあったら、大切なことはすぐやり始めることよ」
「心が求めることを心に聞くしかないわね」
「私は沢山の忍耐をしてきたわ。自然も待つことが大事よ」

などなど……。
いくつものターシャの言葉は私の中に染み透って行った。

ターシャは2008年92歳で永眠したが、ターシャを10年間取材してきた松谷光絵監督の彼女への信頼と畏怖がフィルムに焼付けられている。

ターシャのような庭や家は無理だけど、植物や動物、自然とともに暮らしていくことが私たちの本来の姿なのだと諭される。
「人間は基本的に健康と愛と自然があれば無限に幸福な人生を生きることができる」という、ある人の言葉を思い出した。

元気をもらえた。
ターシャ、ありがとう。

 

監督 松谷光絵
企画・プロデュース 鈴木ゆかり
出演 ターシャ・テューダー セス・デューダー ウィンズロー・テューダー
エイミー・テューダー ジェニファー・T・ワイマン アン・K・ベネデュース
105分
(C)Richard W Brown、(C)2017 映画「ターシャ・テューダー」製作委員会
※4月15日(土)~全国ロードショー

 

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